ホラー映画を見に行こう 頼まれると断れないと言うのは考えものだ。校舎裏のコンクリートに並んで腰掛けて、眼の前で困ったようにハートのシールで封をされた手紙の裏表をくるくると見つめながら困った顔をする真練を見て、そう思う。
「……見てしまって悪かった」
「ううん。堅輔くんはたまたま下駄箱にいただけだし……むしろ、いきなり変なこと打ち明けちゃってごめんね?」
ついさっき真練から打ち明けられた『僕の欠点』は『頼まれると断れない』というものだった。それが真練の手にしたラブレターとどう繋がるのかはなんとなく察しがついたし、友人がその心の優しさ故に誰かにつけこまれかねない欠点を持っていることが悲しかった。そして、それを本人が自覚していることも。
4085