なりひさ
DOODLE現パロガン→マト。幼馴染ガンマト沈む恋 呼び出された公園にその姿を見つけた。ブランコに腰掛けて俯くマトリフは、街灯にぼんやりと照らされていた。
ガンガディアは無言のままブランコまで歩き、隣の空いている方へと腰を下ろそうとして、子ども用のブランコでは座れないだろうと気付いた。仕方がないので向かいにあった柵へと腰を下ろす。
「それで?」
呼び出された理由は聞いていないが、大体の予想はつく。マトリフは顔を上げた。
「フラれた」
「だと思ったよ」
夜の公園に突然に来いと呼びつけられるのは何度目だろう。マトリフは惚れやすく、そしてモテなかった。フラれたと言っていじけるマトリフを毎度慰めるのはガンガディアの役目だった。
「オレのどこがいけねえんだ」
「下心が表情に出るところかな」
16709ガンガディアは無言のままブランコまで歩き、隣の空いている方へと腰を下ろそうとして、子ども用のブランコでは座れないだろうと気付いた。仕方がないので向かいにあった柵へと腰を下ろす。
「それで?」
呼び出された理由は聞いていないが、大体の予想はつく。マトリフは顔を上げた。
「フラれた」
「だと思ったよ」
夜の公園に突然に来いと呼びつけられるのは何度目だろう。マトリフは惚れやすく、そしてモテなかった。フラれたと言っていじけるマトリフを毎度慰めるのはガンガディアの役目だった。
「オレのどこがいけねえんだ」
「下心が表情に出るところかな」
なりひさ
DOODLE転生現パロガンマト1990、晩夏、再会 静寂を突き破る音がした。それに起こされたものの、正体はわからなかった。
窓から差し込む日の明るさからまだ朝だとわかる。昨夜の残り香を感じて窓を開ければ、違う季節の風が吹いていた。外の世界は自堕落な人間を置き去りにして秋になっていたらしい。小さな庭には夏草がぼうぼうと生えているのに、その隙間には秋の虫が身を隠している。蝉もどこかで腹を見せて死んでいるに違いない。
部屋の中にはまだ先月のカレンダーが捲られもせずにかかっていた。ちょっと手を伸ばして破ればいいのだが、それを億劫に思う気持ちが大きくて、まあ二三日は構わないだろうという気がする。夏になったら書こうと思っていた友人への手紙も、ついぞ手をつけぬまま机の上に放り出してあった。
26870窓から差し込む日の明るさからまだ朝だとわかる。昨夜の残り香を感じて窓を開ければ、違う季節の風が吹いていた。外の世界は自堕落な人間を置き去りにして秋になっていたらしい。小さな庭には夏草がぼうぼうと生えているのに、その隙間には秋の虫が身を隠している。蝉もどこかで腹を見せて死んでいるに違いない。
部屋の中にはまだ先月のカレンダーが捲られもせずにかかっていた。ちょっと手を伸ばして破ればいいのだが、それを億劫に思う気持ちが大きくて、まあ二三日は構わないだろうという気がする。夏になったら書こうと思っていた友人への手紙も、ついぞ手をつけぬまま机の上に放り出してあった。
なりひさ
DOODLEガンマト。金でガンガさんを買ってるマト夜を買う ガンガディアには金が必要だった。大学の学費を払うためだ。マトリフには有り余る金があった。苦労もせずに相続した金で、それは残りの人生で使いきれないほどだった。
それをお互いに知ったことから、この関係が始まった。
ガンガディアに抱かれながらマトリフは天井を見上げる。身体への快楽を楽しむよりも、金の計算をしていた。ガンガディアが必要としている金額と、これまで渡した額を計算して、今日渡す金額を考える。
金を渡すからセックスの相手をしてくれと提案したのはマトリフだった。本当は金だけを渡してもよかったのだが、ガンガディアは何もせずに金を貰うわけにはいかないと言い張った。雑用でもなんでもすると言われて、じゃあ夜の相手をしろと言った。流石に断ると思ったのだが、ガンガディアは逡巡してからわかったと頷いた。
5875それをお互いに知ったことから、この関係が始まった。
ガンガディアに抱かれながらマトリフは天井を見上げる。身体への快楽を楽しむよりも、金の計算をしていた。ガンガディアが必要としている金額と、これまで渡した額を計算して、今日渡す金額を考える。
金を渡すからセックスの相手をしてくれと提案したのはマトリフだった。本当は金だけを渡してもよかったのだが、ガンガディアは何もせずに金を貰うわけにはいかないと言い張った。雑用でもなんでもすると言われて、じゃあ夜の相手をしろと言った。流石に断ると思ったのだが、ガンガディアは逡巡してからわかったと頷いた。
なりひさ
DOODLEガンマトとハドアバ。手違いで一緒の部屋に入るマトとハド。しないと出られない部屋 何事にも間違いはある。それが些細な間違いであれ、大変な間違いであれ、間違いには違いない。特にひとは間違いを犯しやすく、反省すらしない。その挙げ句に同じ間違いを繰り返す。
ここにその間違いに巻き込まれた二人がいた。
一人は魔族で、かつては地上を征服するために魔王を名乗っていた男だ。現在は肉体を改造して超魔生物となっている。名をハドラーといった。
そしてもう一人は自らを大魔道士と名乗った人間で、かつて勇者と一緒に魔王軍に戦いを挑んだ男だ。今は一線を退いたものの、魔法勝負ならまだまだ負けないと自負している。名をマトリフといった。
この二人、元々が敵対した間柄であったために仲が悪い。顔を合わせるたびにお互いを罵り合っていた。もし仮に敵対していなかったとしても、反りが合わないために仲良くはなれないだろう。
10471ここにその間違いに巻き込まれた二人がいた。
一人は魔族で、かつては地上を征服するために魔王を名乗っていた男だ。現在は肉体を改造して超魔生物となっている。名をハドラーといった。
そしてもう一人は自らを大魔道士と名乗った人間で、かつて勇者と一緒に魔王軍に戦いを挑んだ男だ。今は一線を退いたものの、魔法勝負ならまだまだ負けないと自負している。名をマトリフといった。
この二人、元々が敵対した間柄であったために仲が悪い。顔を合わせるたびにお互いを罵り合っていた。もし仮に敵対していなかったとしても、反りが合わないために仲良くはなれないだろう。
なりひさ
DOODLEガンマトと求愛行動愛を求む「それは求愛行動であると理解して行なっているのかね?」
ガンガディアの言葉にマトリフは固まった。寝起きで覚醒しきっていない頭が急激に動き出す。
「きゅう、あい??」
マトリフは知らない言葉のように繰り返す。半端に脱いだ寝衣をそのままにガンガディアを見上げた。
「そのように人前で服を脱ぐのは、我々トロルには求愛行動なのだよ」
マトリフは慌てて脱ぎかけの襟元を合わせた。マトリフは何の気なしに服を着替えようと思っただけだ。
「そ、そうなのかよ。知らなかった」
「そうだと思ったよ。まさかあなたが私に求愛するとは思わなかったからね」
ガンガディアは眼鏡を指で押し上げた。それがどこか寂しそうに見えてマトリフは急に罪悪感のようなものを感じる。知らなかったとはいえガンガディアも良い気分はしなかっただろう。
13261ガンガディアの言葉にマトリフは固まった。寝起きで覚醒しきっていない頭が急激に動き出す。
「きゅう、あい??」
マトリフは知らない言葉のように繰り返す。半端に脱いだ寝衣をそのままにガンガディアを見上げた。
「そのように人前で服を脱ぐのは、我々トロルには求愛行動なのだよ」
マトリフは慌てて脱ぎかけの襟元を合わせた。マトリフは何の気なしに服を着替えようと思っただけだ。
「そ、そうなのかよ。知らなかった」
「そうだと思ったよ。まさかあなたが私に求愛するとは思わなかったからね」
ガンガディアは眼鏡を指で押し上げた。それがどこか寂しそうに見えてマトリフは急に罪悪感のようなものを感じる。知らなかったとはいえガンガディアも良い気分はしなかっただろう。
なりひさ
DOODLE現パロガンマト甘えんぼう ガンガディアが帰ったとき、玄関にもリビングにも電気がついていた。テレビの音声らしいものも聞こえてくる。ガンガディアは今日も終電での帰宅だった。マトリフはまだ起きているのかとガンガディアはリビングの戸を開ける。
リビングダイニングに置かれたテレビは賑やかなバラエティを流していた。マトリフの姿が見えなかったので寝室を覗きに行くが、ベッドは空だった。
「マトリフ?」
ふと見ればテレビとソファの間に置かれたローテブルに酒瓶があった。もしやと思って見てみれば、マトリフはソファに丸まって眠ていた。
おおかた酒を飲みながらテレビを見ていて、そのまま寝落ちたのだろう。見れば酒瓶は空になっている。ガンガディアは瓶をキッチンへと持って行った。
817リビングダイニングに置かれたテレビは賑やかなバラエティを流していた。マトリフの姿が見えなかったので寝室を覗きに行くが、ベッドは空だった。
「マトリフ?」
ふと見ればテレビとソファの間に置かれたローテブルに酒瓶があった。もしやと思って見てみれば、マトリフはソファに丸まって眠ていた。
おおかた酒を飲みながらテレビを見ていて、そのまま寝落ちたのだろう。見れば酒瓶は空になっている。ガンガディアは瓶をキッチンへと持って行った。
なりひさ
DOODLEガンマトと花不滅の愛 マトリフは花になんて興味はなかった。それなのに洞窟には花が飾られている。
この洞窟に花を持って訪れるのはガンガディアだ。ガンガディアは訪れる度に花を持ってきては、せっせと花瓶に入れて飾っていた。おかげで殺風景だった洞窟は華やかになり、空気さえ澄んでいるように思える。
マトリフはその花を指先で触れた。ベッドのすぐそばに置かれたのは昨日持ってきたばかりのもので、微かに甘いような匂いもする。紫色の花だが、マトリフの故郷に咲いていた花とは形が違った。ガンガディアが持って来るのは決まってこの紫の花だった。
マトリフはこの花の名前すら知らない。花に興味なんてないからだ。薬効があるわけでもない植物を、その見た目の美しさだけで側に置きたいと思ったことはない。
1933この洞窟に花を持って訪れるのはガンガディアだ。ガンガディアは訪れる度に花を持ってきては、せっせと花瓶に入れて飾っていた。おかげで殺風景だった洞窟は華やかになり、空気さえ澄んでいるように思える。
マトリフはその花を指先で触れた。ベッドのすぐそばに置かれたのは昨日持ってきたばかりのもので、微かに甘いような匂いもする。紫色の花だが、マトリフの故郷に咲いていた花とは形が違った。ガンガディアが持って来るのは決まってこの紫の花だった。
マトリフはこの花の名前すら知らない。花に興味なんてないからだ。薬効があるわけでもない植物を、その見た目の美しさだけで側に置きたいと思ったことはない。
なりひさ
DOODLE現パロガンマト帰り道 夏の遅い夕暮れに向かって歩いていた。マトリフの手にもガンガディアの手にも紙袋が下げされ、中には何冊もの本が入っている。
たまに重なった休日だからと一緒に出かけ、見つけた古書店で二人して大量に買い込んだ。その古書店はかなり充実しており、お互いにじっくり吟味したら欲しい本がいっぱいになってしまった。ガンガディアは図鑑を多く買ったので紙袋はずしりと重く、マトリフもつい気分が高揚して買い込み、指に食い込む紙袋の重さに後悔の念が募った。
「持とうか?」
ガンガディアの申し出に、素直に頷いて紙袋を渡す。マトリフの手は赤くなっていた。
「すまない。もっと早くに気付くべきだった」
「お前だって重いだろ」
「鍛えているから大丈夫だ。なんならあなたを背負って歩ける」
1199たまに重なった休日だからと一緒に出かけ、見つけた古書店で二人して大量に買い込んだ。その古書店はかなり充実しており、お互いにじっくり吟味したら欲しい本がいっぱいになってしまった。ガンガディアは図鑑を多く買ったので紙袋はずしりと重く、マトリフもつい気分が高揚して買い込み、指に食い込む紙袋の重さに後悔の念が募った。
「持とうか?」
ガンガディアの申し出に、素直に頷いて紙袋を渡す。マトリフの手は赤くなっていた。
「すまない。もっと早くに気付くべきだった」
「お前だって重いだろ」
「鍛えているから大丈夫だ。なんならあなたを背負って歩ける」
なりひさ
DOODLEガンマトのポメガバースポメガバース その白くてふわふわの毛並みはまるで綿毛のようだった。太陽に照らされてきらきらと輝いて見える。
「見たことのない魔物だな」
ガンガディアはその白い毛並みの生き物を見つめて呟いた。場所はマトリフの洞窟のすぐそばだ。その白い毛並みの生き物はガンガディアを見て驚き、逃げ出そうとした。
「待ちたまえ」
ガンガディアは片手でその生き物を捕まえる。四つ足だが足は短く、いくらばたつかせても逃げられはしない。ガンガディアははじめて見た生き物に目を輝かせた。
だがガンガディアが捕まえたその生き物は魔物ではなく犬だった。それもポメラニアンという犬種である。ガンガディアは犬を見るのは初めてだった。
「君を詳しく調べてみたい。もしかしたら何かの亜種だろうか」
7851「見たことのない魔物だな」
ガンガディアはその白い毛並みの生き物を見つめて呟いた。場所はマトリフの洞窟のすぐそばだ。その白い毛並みの生き物はガンガディアを見て驚き、逃げ出そうとした。
「待ちたまえ」
ガンガディアは片手でその生き物を捕まえる。四つ足だが足は短く、いくらばたつかせても逃げられはしない。ガンガディアははじめて見た生き物に目を輝かせた。
だがガンガディアが捕まえたその生き物は魔物ではなく犬だった。それもポメラニアンという犬種である。ガンガディアは犬を見るのは初めてだった。
「君を詳しく調べてみたい。もしかしたら何かの亜種だろうか」
なりひさ
DOODLEガンマトとハグハグの日「あなたを……抱きしめる?」
ガンガディアは虚をつかれたような顔をしてマトリフを見返した。マトリフは腕を組んで踏ん反り返っている。
「おう、ギュッとやれ」
「何故?」
「オレの頼みが聞けねえのか」
マトリフはガンガディアの質問には答えずに不遜な態度で言った。ガンガディアは眼鏡を指で押し上げてマトリフを見下ろす。マトリフは早くしろと言わんばかりな様子だ。
ガンガディアはハグという人間の習慣がよく理解できない。人間は身体を接触させることに意味を持たせるという。それは愛情だったり親愛だったりするが、魔族にはそんな習慣はなかった。
しかし本で読んだ知識によると、そのハグにはストレス軽減の作用もあるという。もしかしたらマトリフはストレスが溜まっており、それの対処としてハグを求めたのかもしれない。そうでなければこんな醜いトロルと抱き合いたいと思うはずがないからだ。
1772ガンガディアは虚をつかれたような顔をしてマトリフを見返した。マトリフは腕を組んで踏ん反り返っている。
「おう、ギュッとやれ」
「何故?」
「オレの頼みが聞けねえのか」
マトリフはガンガディアの質問には答えずに不遜な態度で言った。ガンガディアは眼鏡を指で押し上げてマトリフを見下ろす。マトリフは早くしろと言わんばかりな様子だ。
ガンガディアはハグという人間の習慣がよく理解できない。人間は身体を接触させることに意味を持たせるという。それは愛情だったり親愛だったりするが、魔族にはそんな習慣はなかった。
しかし本で読んだ知識によると、そのハグにはストレス軽減の作用もあるという。もしかしたらマトリフはストレスが溜まっており、それの対処としてハグを求めたのかもしれない。そうでなければこんな醜いトロルと抱き合いたいと思うはずがないからだ。
なりひさ
DOODLE黒マト&ガンガvsロカ マトリフは闘技場の上空に浮かんでいた。身に纏った黒衣が風に揺れている。隣に同じように浮かぶガンガディアは監視するようにマトリフを横目で見た。
闘技場には魔物たちに追い立てられてきた勇者たちがいた。アバン、レイラ、そしてロカ。彼らはまだ戸惑いを残した表情でマトリフを見上げている。もっと怒ってもいいだろうとマトリフは思った。こっちは魔王軍に寝返った裏切り者なのだから。
「アバン、先に行け」
ロカの言葉にアバンは小さく頷く。ここに来るまでに取り決めでもしたのか、アバンとレイラは揃って走り出した。こちらとしてもアバンまで足止めするつもりはない。
「大魔道士」
ガンガディアの声は釘を刺すようだった。それを煩く思いながらマトリフは手に魔法力を高める。
6258闘技場には魔物たちに追い立てられてきた勇者たちがいた。アバン、レイラ、そしてロカ。彼らはまだ戸惑いを残した表情でマトリフを見上げている。もっと怒ってもいいだろうとマトリフは思った。こっちは魔王軍に寝返った裏切り者なのだから。
「アバン、先に行け」
ロカの言葉にアバンは小さく頷く。ここに来るまでに取り決めでもしたのか、アバンとレイラは揃って走り出した。こちらとしてもアバンまで足止めするつもりはない。
「大魔道士」
ガンガディアの声は釘を刺すようだった。それを煩く思いながらマトリフは手に魔法力を高める。
なりひさ
DOODLEポップはマトの洞窟で「誰か」を感じるそこにいる ポップはカゴに入れたパンや果物が濡れていないかと確かめた。マントに包んできたが、少し湿ってしまったかもしれない。
パプニカに珍しく長雨が続いているとレオナがぼやいていた。もちろんそれは彼女の個人的な不快感ではなく、自国の民を案じての言葉であったから、ポップも真面目な返答を心がけた。だがそうしていても、頭の片隅では自分の師のことを考えていた。不摂生を絵に描いたような人であるから、弟子としては心配が尽きない。
そうしてポップは昼の休憩になるとカゴに食料を詰め込んで、ルーラで海沿いの洞窟を訪れた。
ポップは濡れた髪を払いながらいつものように師匠と呼ぼうとして、ふと言いようのない違和感を覚えた。肌に触れる風のようでありながら、もっと頼りない気配のようなものが、体に触れたような気がしたからだ。
1685パプニカに珍しく長雨が続いているとレオナがぼやいていた。もちろんそれは彼女の個人的な不快感ではなく、自国の民を案じての言葉であったから、ポップも真面目な返答を心がけた。だがそうしていても、頭の片隅では自分の師のことを考えていた。不摂生を絵に描いたような人であるから、弟子としては心配が尽きない。
そうしてポップは昼の休憩になるとカゴに食料を詰め込んで、ルーラで海沿いの洞窟を訪れた。
ポップは濡れた髪を払いながらいつものように師匠と呼ぼうとして、ふと言いようのない違和感を覚えた。肌に触れる風のようでありながら、もっと頼りない気配のようなものが、体に触れたような気がしたからだ。
なりひさ
DOODLE現パロガンマト。前世の記憶ありマト七夕 晴れた夏の夜空を、立ち昇った紫煙が横切っていく。マトリフは指に挟んだ煙草が短くなっていくのを見て、もう一本火をつけるかどうか考えていた。
広くて見晴らしのいいベランダで、マトリフは裸足にサンダルを突っ掛けて煙草を吸っていた。
夜空では年に一度の逢瀬をする恋人がいるという。そんな不遇な恋人たちは残りの三百六十四日を、どんな気持ちで過ごすのだろうか。
「マトリフ」
ベランダのガラス戸が空いてガンガディアが姿を見せた。室内の明るい光がガンガディアを照らしている。マトリフは煙草を口元に運んで吸い込んだ。
「風呂へ入らないか?」
「これが終わったらな」
マトリフが煙草を吸い込めば、火が強く灯る。ぎりぎりまで吸おうとしていると、ガンガディアはじっとマトリフを待っていた。
815広くて見晴らしのいいベランダで、マトリフは裸足にサンダルを突っ掛けて煙草を吸っていた。
夜空では年に一度の逢瀬をする恋人がいるという。そんな不遇な恋人たちは残りの三百六十四日を、どんな気持ちで過ごすのだろうか。
「マトリフ」
ベランダのガラス戸が空いてガンガディアが姿を見せた。室内の明るい光がガンガディアを照らしている。マトリフは煙草を口元に運んで吸い込んだ。
「風呂へ入らないか?」
「これが終わったらな」
マトリフが煙草を吸い込めば、火が強く灯る。ぎりぎりまで吸おうとしていると、ガンガディアはじっとマトリフを待っていた。
なりひさ
DOODLE現パロガンマトの花火が怖いマト夏空の大輪 一緒に行こうと誘われた夏祭りに、マトリフは僅かに浮き足立っていた。夜空を灯す色とりどりの提灯に、方々から漂ってくる屋台の匂いに、どうしたって心が弾む。ただそれを、最近恋人になったばかりのガンガディアに悟られるのは格好がつかないように思えて、マトリフはズボンのポケットに手を入れたままゆっくりと歩いた。
少し前を歩くガンガディアは、マトリフの歩調に合わせて歩き、何度も振り返ってはマトリフの存在を確かめているようだった。迷子になる歳でもないのに、生真面目で心配性の恋人はマトリフから目を離してはいけないとでも思っているらしい。
「手、繋ぐか?」
見かねてマトリフが言えば、ガンガディアは控えめな笑みを見せてからマトリフの手をそっと握った。ガンガディアの大きな手に包まれると安心する。ガンガディアに手を引かれて人混みを歩いた。
1025少し前を歩くガンガディアは、マトリフの歩調に合わせて歩き、何度も振り返ってはマトリフの存在を確かめているようだった。迷子になる歳でもないのに、生真面目で心配性の恋人はマトリフから目を離してはいけないとでも思っているらしい。
「手、繋ぐか?」
見かねてマトリフが言えば、ガンガディアは控えめな笑みを見せてからマトリフの手をそっと握った。ガンガディアの大きな手に包まれると安心する。ガンガディアに手を引かれて人混みを歩いた。
なりひさ
DOODLEガンマトと指輪2君から貰ったひとつの指輪「本当に貰っていいのだろうか」
ガンガディアは感激のあまり打ち震えながら手にした指輪を見た。
「ああ、貰っとけ貰っとけ」
マトリフはやや投げやりに言いながらベッドに寝そべっている。昼前になってようやく起きたマトリフに、ガンガディアは指輪のことについて訊ねた。するとマトリフは寝癖のついた頭を掻きながら「お前にやる」とだけ言った。
「私に? 何故?」
「理由なんていいんだよ。それはただの指輪だ。呪いもなければ効果もない」
マトリフは随分と寝たのに、まだ眠たそうに欠伸をしている。ガンガディアは礼を言って指輪を受け取った。思えばそれはマトリフから貰った初めての物だった。
マトリフはまだ起きる気がないらしく、頬杖をついてガンガディアを見ている。そしてガンガディアの持つ指輪を指差した。
2976ガンガディアは感激のあまり打ち震えながら手にした指輪を見た。
「ああ、貰っとけ貰っとけ」
マトリフはやや投げやりに言いながらベッドに寝そべっている。昼前になってようやく起きたマトリフに、ガンガディアは指輪のことについて訊ねた。するとマトリフは寝癖のついた頭を掻きながら「お前にやる」とだけ言った。
「私に? 何故?」
「理由なんていいんだよ。それはただの指輪だ。呪いもなければ効果もない」
マトリフは随分と寝たのに、まだ眠たそうに欠伸をしている。ガンガディアは礼を言って指輪を受け取った。思えばそれはマトリフから貰った初めての物だった。
マトリフはまだ起きる気がないらしく、頬杖をついてガンガディアを見ている。そしてガンガディアの持つ指輪を指差した。
なりひさ
DOODLEガンマトと指輪君に渡すひとつの指輪「師匠〜!」
元気のいい声が外から響いて、ガンガディアは読んでいた魔導書を閉じた。
「いらっしゃいポップ君」
「おじゃましまーすって、あれ、師匠は?」
ポップは洞窟内を見渡してマトリフがいないことに気づいた。ガンガディアは立ち上がるとポップに椅子をすすめる。
「大魔道士は出かけている。だがすぐに帰ってくるだろう。かけたまえ。お茶を淹れる」
「そっかー。あ、これお土産」
ポップは椅子に腰掛けると手土産を机に並べた。それらは焼き菓子で、アバン特製のものだろう。それに合う茶葉があったはずだとガンガディアは棚の中を探した。
「師匠どこ行ってんの?」
「ベンガーナだ。探し物だと言っていたが」
「じゃあ帰ってくんの遅いんじゃねえの?」
8335元気のいい声が外から響いて、ガンガディアは読んでいた魔導書を閉じた。
「いらっしゃいポップ君」
「おじゃましまーすって、あれ、師匠は?」
ポップは洞窟内を見渡してマトリフがいないことに気づいた。ガンガディアは立ち上がるとポップに椅子をすすめる。
「大魔道士は出かけている。だがすぐに帰ってくるだろう。かけたまえ。お茶を淹れる」
「そっかー。あ、これお土産」
ポップは椅子に腰掛けると手土産を机に並べた。それらは焼き菓子で、アバン特製のものだろう。それに合う茶葉があったはずだとガンガディアは棚の中を探した。
「師匠どこ行ってんの?」
「ベンガーナだ。探し物だと言っていたが」
「じゃあ帰ってくんの遅いんじゃねえの?」
なりひさ
DOODLE英霊ガンマト魔導図書館の英霊「大魔道士」
ガンガディアは思わずマトリフに呼びかける。マトリフは多くの兵士に囲まれて、地図を広げながら指示を出していた。
ヨミカイン魔導図書館の泉のすぐそば。パプニカ王家の兵士たちは物々しい警戒をしていた。その中心にマトリフがいる。
ガンガディアは戸惑いながらもマトリフに近付く。沢山いるパプニカの兵士たちは誰一人としてガンガディアに気付かなかった。
ガンガディアは死んで霊となった。あの地底魔城の闘技場で炎に包まれ、そこで意識が途切れたが、次に気がついたときにはヨミカインにいた。
ヨミカインは湖に沈んでいた。水に揺蕩う魔導書を目にしてガンガディアは改めて罪の意識に苛まれた。どうにかできないかと泉の奥深くに沈んだ魔導書を拾おうとしても、ガンガディアの体では物に触れることはできなかった。透き通った手は魔導書を貫通してしまう。魔導書だけでなく、ガンガディアは実在する物に触れられなかった。
1098ガンガディアは思わずマトリフに呼びかける。マトリフは多くの兵士に囲まれて、地図を広げながら指示を出していた。
ヨミカイン魔導図書館の泉のすぐそば。パプニカ王家の兵士たちは物々しい警戒をしていた。その中心にマトリフがいる。
ガンガディアは戸惑いながらもマトリフに近付く。沢山いるパプニカの兵士たちは誰一人としてガンガディアに気付かなかった。
ガンガディアは死んで霊となった。あの地底魔城の闘技場で炎に包まれ、そこで意識が途切れたが、次に気がついたときにはヨミカインにいた。
ヨミカインは湖に沈んでいた。水に揺蕩う魔導書を目にしてガンガディアは改めて罪の意識に苛まれた。どうにかできないかと泉の奥深くに沈んだ魔導書を拾おうとしても、ガンガディアの体では物に触れることはできなかった。透き通った手は魔導書を貫通してしまう。魔導書だけでなく、ガンガディアは実在する物に触れられなかった。
なりひさ
DOODLEマトを鎖で繋ぎたい鎖「勇者の弱点、あるいは拠点の一つでも構わない。何か教えてはくれないかな」
ガンガディアは丁寧な口調ではあったが、それは圧倒的に優位な立場から下される命令に他ならなかった。
マトリフは口を開かないまま、力が抜けていく体が倒れないように耐えていた。しかし体が揺れるせいで手首に繋がれた鎖が音を立てる。その鎖はマトリフの魔法力を吸い取っているので、輝きを放っていた。
マトリフがいるのは地底魔城の闘技場だった。その一角に鎖で繋がれている。魔法力は常に吸い取られているので空が見えてもルーラさえできなかった。
ガンガディアはだんまりを続けるマトリフに溜息一つ吐かずに、部下に目配せをした。ガンガディアはマトリフを捕らえてから毎日のように尋問を繰り返していたが、マトリフは何も喋らなかった。
3703ガンガディアは丁寧な口調ではあったが、それは圧倒的に優位な立場から下される命令に他ならなかった。
マトリフは口を開かないまま、力が抜けていく体が倒れないように耐えていた。しかし体が揺れるせいで手首に繋がれた鎖が音を立てる。その鎖はマトリフの魔法力を吸い取っているので、輝きを放っていた。
マトリフがいるのは地底魔城の闘技場だった。その一角に鎖で繋がれている。魔法力は常に吸い取られているので空が見えてもルーラさえできなかった。
ガンガディアはだんまりを続けるマトリフに溜息一つ吐かずに、部下に目配せをした。ガンガディアはマトリフを捕らえてから毎日のように尋問を繰り返していたが、マトリフは何も喋らなかった。
なりひさ
DOODLEドラゴラムするマト火竜の鱗 マトリフは魔導書を広げた。既に契約は済んでいる。契約出来たということは、不可能ではないのだろう。
ガンガディアから託された火竜変化呪文の魔導書を、マトリフは結局は手放さなかった。目の前で燃え尽きたガンガディアの形見のように思えたからだ。
火竜変化呪文は魔法使いの体力では使いこなせない。それをマトリフは十分にわかっていた。だからこの魔導書を使えなくても、形見として持っていればいい。マトリフは最初こそそう考えていた。だが時間が経つにつれ、マトリフはガンガディアの影を追うようになっていった。
マトリフは常に火竜変化呪文の魔導書を持ち歩くようになった。そして何度もそれを読み返してはガンガディアのことを思った。
1118ガンガディアから託された火竜変化呪文の魔導書を、マトリフは結局は手放さなかった。目の前で燃え尽きたガンガディアの形見のように思えたからだ。
火竜変化呪文は魔法使いの体力では使いこなせない。それをマトリフは十分にわかっていた。だからこの魔導書を使えなくても、形見として持っていればいい。マトリフは最初こそそう考えていた。だが時間が経つにつれ、マトリフはガンガディアの影を追うようになっていった。
マトリフは常に火竜変化呪文の魔導書を持ち歩くようになった。そして何度もそれを読み返してはガンガディアのことを思った。
なりひさ
DOODLEガンマトと復活の灰夏至の夜 マトリフは昼が一番長い日の夜を待っていた。海に沈む夕陽は美しいが、マトリフからすれば今日ばかりは早く沈んでくれと祈る気持ちだった。
やがて複雑な色を残して太陽が沈む。反対側からは夜が始まっていた。
マトリフは月を見上げる。低い位置にいる月は寂しげに光を放っていた。
「ガンガディア」
マトリフの声に応えるように風が吹く。マトリフはその風に託すように瓶の中の灰を手に取った。それは火竜の炎に焼かれて燃え尽きたガンガディアの灰だ。戦いの後でマトリフが掻き集めたものだ。
灰は風に舞い、月光を受けて姿を変える。淡く光ったかと思うと、虚像を作り上げた。それはデストロールの姿だった。
「よお、久しぶり」
マトリフの言葉にガンガディアは無言で頷く。灰からガンガディアを甦らせることが出来るのは夏至の夜だけだった。朝になればガンガディアは消えて、元の灰に戻る。
1087やがて複雑な色を残して太陽が沈む。反対側からは夜が始まっていた。
マトリフは月を見上げる。低い位置にいる月は寂しげに光を放っていた。
「ガンガディア」
マトリフの声に応えるように風が吹く。マトリフはその風に託すように瓶の中の灰を手に取った。それは火竜の炎に焼かれて燃え尽きたガンガディアの灰だ。戦いの後でマトリフが掻き集めたものだ。
灰は風に舞い、月光を受けて姿を変える。淡く光ったかと思うと、虚像を作り上げた。それはデストロールの姿だった。
「よお、久しぶり」
マトリフの言葉にガンガディアは無言で頷く。灰からガンガディアを甦らせることが出来るのは夏至の夜だけだった。朝になればガンガディアは消えて、元の灰に戻る。
なりひさ
DOODLEガンマトと魔導書最後の魔導書 マトリフはベッドに横になったまま咳を繰り返す。引き攣った喉は細く息を吸ったが、それは込み上げる喀血に邪魔されて長くは続かなかった。
気休めの回復呪文も薬草もとうに諦めた。マトリフは手のひらに広がった血を服で拭う。あの戦いから十数年。だが命はまだ終わろうとしない。
マトリフは咳を堪えながら起き上がると枕元の棚に手を伸ばした。そこには一冊の魔叢書が置かれてある。マトリフはそれを迷わずに手に取った。
マトリフはその魔導書を開かずに胸に抱える。中に書かれたことは暗唱できるほどに覚えていた。マトリフは魔導書を胸に抱くと安心したように身体の力を抜く。その身体は前のめりに倒れていった。
「……ガンガディア」
呟いた言葉は響くことなく消えていく。何故よりにもよってこの本を託されたのかとマトリフは思った。
670気休めの回復呪文も薬草もとうに諦めた。マトリフは手のひらに広がった血を服で拭う。あの戦いから十数年。だが命はまだ終わろうとしない。
マトリフは咳を堪えながら起き上がると枕元の棚に手を伸ばした。そこには一冊の魔叢書が置かれてある。マトリフはそれを迷わずに手に取った。
マトリフはその魔導書を開かずに胸に抱える。中に書かれたことは暗唱できるほどに覚えていた。マトリフは魔導書を胸に抱くと安心したように身体の力を抜く。その身体は前のめりに倒れていった。
「……ガンガディア」
呟いた言葉は響くことなく消えていく。何故よりにもよってこの本を託されたのかとマトリフは思った。
なりひさ
DOODLE俳優パロのガンマトエンドロールのあとで マトリフが立ち尽くしている。闘技場には彼しかいなかった。抜けるような青空が広がっているが、マトリフの表情は痛みに耐えるようだった。彼の体は傷つき血を流している。しかし彼の感じる痛みは体のものではなかった。
マトリフは何かを探すように空を見上げてから、胸に手を当てた。やがて力をなくしたように膝をつく。戦いに勝ったはずのマトリフだが、そこに喜びはなかった。
「カット!!」
その声が響いても彼は暫く立ち上がらなかった。どこからか拍手が湧き起こる。私も自然と手を打ち鳴らしていた。迫真の演技に心が引き込まれて、監督の声が無ければこれが演技だということを忘れそうだった。
「お疲れ様です!」
その声と同時にスタッフが彼に花束を持っていく。このシーンがマトリフを演じた彼のクランクアップだった。監督の手を借りて立ち上がった彼は花束を受け取ってにこやかに笑みを浮かべている。多くのスタッフが労いの言葉をかけに彼の元へと行った。
2726マトリフは何かを探すように空を見上げてから、胸に手を当てた。やがて力をなくしたように膝をつく。戦いに勝ったはずのマトリフだが、そこに喜びはなかった。
「カット!!」
その声が響いても彼は暫く立ち上がらなかった。どこからか拍手が湧き起こる。私も自然と手を打ち鳴らしていた。迫真の演技に心が引き込まれて、監督の声が無ければこれが演技だということを忘れそうだった。
「お疲れ様です!」
その声と同時にスタッフが彼に花束を持っていく。このシーンがマトリフを演じた彼のクランクアップだった。監督の手を借りて立ち上がった彼は花束を受け取ってにこやかに笑みを浮かべている。多くのスタッフが労いの言葉をかけに彼の元へと行った。
なりひさ
DOODLEガンマトとドーナツやわらかい「お、うまそう」
そのドーナツを見た途端にマトリフは滅多に見せない純粋な笑みを浮かべた。
ガンガディアは最近発売したというそのドーナツを買ってマトリフの家へと来ていた。ガンガディアがドーナツ屋の袋を持っているのを見たマトリフは、嬉々としてコーヒーを淹れてテーブルへとついた。
「どうぞ」
ガンガディアはドーナツをマトリフの前に置く。マトリフが嬉しいならガンガディアも嬉しい。意外とミーハーというか、新し物好きのマトリフは、新発売と名のつくものを好んでいた。
マトリフはさっそくドーナツを手にする。そのドーナツは随分と柔らかいらしく、マトリフはそっと持ち上げていた。
ガンガディアはマトリフが淹れてくれたコーヒーを飲む。苦味と酸味のバランスが丁度良かった。
1082そのドーナツを見た途端にマトリフは滅多に見せない純粋な笑みを浮かべた。
ガンガディアは最近発売したというそのドーナツを買ってマトリフの家へと来ていた。ガンガディアがドーナツ屋の袋を持っているのを見たマトリフは、嬉々としてコーヒーを淹れてテーブルへとついた。
「どうぞ」
ガンガディアはドーナツをマトリフの前に置く。マトリフが嬉しいならガンガディアも嬉しい。意外とミーハーというか、新し物好きのマトリフは、新発売と名のつくものを好んでいた。
マトリフはさっそくドーナツを手にする。そのドーナツは随分と柔らかいらしく、マトリフはそっと持ち上げていた。
ガンガディアはマトリフが淹れてくれたコーヒーを飲む。苦味と酸味のバランスが丁度良かった。
なりひさ
DOODLEガンマトとプロポーズプロポーズ マトリフは口付けられた手を呆気に取られて見ていた。ガンガディアは恭しく膝をつき、マトリフの手の甲に口付けている。
「おまッ……なにやってんだ」
マトリフは焦ってる手を引くが、ガンガディアの力には敵わないので失敗に終わる。ガンガディアはマトリフの手から唇を離すと顔を上げた。
「あなたに愛を誓っている」
「だからなんで……おまっ、それ、プププ」
「プププ?」
「まさかプロポーズじゃねえだろうな?」
マトリフの声は裏返っていた。ガンガディアは魔王軍の幹部であり、マトリフにとっては敵だ。地底魔城の闘技場で戦っていた二人だが、先ほど勝敗が決まった。勝ったのはマトリフだ。するとガンガディアは負けを認めた上で、マトリフの前に跪き、手を取って口付けた。
17224「おまッ……なにやってんだ」
マトリフは焦ってる手を引くが、ガンガディアの力には敵わないので失敗に終わる。ガンガディアはマトリフの手から唇を離すと顔を上げた。
「あなたに愛を誓っている」
「だからなんで……おまっ、それ、プププ」
「プププ?」
「まさかプロポーズじゃねえだろうな?」
マトリフの声は裏返っていた。ガンガディアは魔王軍の幹部であり、マトリフにとっては敵だ。地底魔城の闘技場で戦っていた二人だが、先ほど勝敗が決まった。勝ったのはマトリフだ。するとガンガディアは負けを認めた上で、マトリフの前に跪き、手を取って口付けた。
なりひさ
DOODLEガンマトと惚気お前だよ ガンガディアは釣った魚を見て満足げに笑みを浮かべた。丁寧に針を魚の口から外す。それはガンガディアが初めて釣った魚だった。
ガンガディアがマトリフから魚釣りを教わったのは数日前のことだ。ガンガディアは釣りを効率の悪い行為だと思っていた。釣り糸を垂れて魚を待つより、素手で捕まえたほうが早いし確実だからだ。しかしマトリフはこれも修行の一環だと言った。
ガンガディアは己の短絡的な考えを改めた。そして自分で身を持って体験しようと思い、釣りをはじめた。しかし全く釣れないまま数日が経過した。気持ちが挫けそうになっていたが、さっきようやく最初の一匹が釣れた。
ガンガディアはその魚を早くマトリフに見せたくて、急いで釣具を持って洞窟へと戻った。きっとマトリフは喜んでくれるだろう。
1604ガンガディアがマトリフから魚釣りを教わったのは数日前のことだ。ガンガディアは釣りを効率の悪い行為だと思っていた。釣り糸を垂れて魚を待つより、素手で捕まえたほうが早いし確実だからだ。しかしマトリフはこれも修行の一環だと言った。
ガンガディアは己の短絡的な考えを改めた。そして自分で身を持って体験しようと思い、釣りをはじめた。しかし全く釣れないまま数日が経過した。気持ちが挫けそうになっていたが、さっきようやく最初の一匹が釣れた。
ガンガディアはその魚を早くマトリフに見せたくて、急いで釣具を持って洞窟へと戻った。きっとマトリフは喜んでくれるだろう。
なりひさ
DOODLEガンマトと誕生日君の存在に祝福を「あなたの誕生日を教えてほしい」
ガンガディアにキラキラした顔で言われる。それが答えのない質問だったのでマトリフはすぐに視線を読んでいた本へと戻した。
「わからねえ」
「わからない?」
「知らねえんだよ。誕生日だとかを大事にするような場所で育ってねえからな」
もし仮にあの里で誕生日を祝う習慣があったとしても、マトリフには祝いのケーキひとつなかっただろう。マトリフはどこで誰から生まれたかすらわからないのだ。
「そうなのかね。人間の面白い風習なのでやってみたかったのだが」
「残念だったな」
本当に残念そうな顔をするガンガディアに、マトリフは読んでいた本から顔を上げた。
「そういやお前の誕生日はいつなんだよ」
「私が生まれた日かね。我々には生まれた日を祝う習慣などないから、いちいち日付を記憶したりしない」
891ガンガディアにキラキラした顔で言われる。それが答えのない質問だったのでマトリフはすぐに視線を読んでいた本へと戻した。
「わからねえ」
「わからない?」
「知らねえんだよ。誕生日だとかを大事にするような場所で育ってねえからな」
もし仮にあの里で誕生日を祝う習慣があったとしても、マトリフには祝いのケーキひとつなかっただろう。マトリフはどこで誰から生まれたかすらわからないのだ。
「そうなのかね。人間の面白い風習なのでやってみたかったのだが」
「残念だったな」
本当に残念そうな顔をするガンガディアに、マトリフは読んでいた本から顔を上げた。
「そういやお前の誕生日はいつなんだよ」
「私が生まれた日かね。我々には生まれた日を祝う習慣などないから、いちいち日付を記憶したりしない」
なりひさ
DOODLEガンマトと嫉妬オレだけの青い龍「じゃあなぁ師匠!」
元気なポップの声にガンガディアは洞窟を出た。マトリフは既に見送りのために洞窟の外まで出ている。
見上げればルーラで飛び上がった少年の姿が太陽に重なって眩しい。ガンガディアは手をかざして目を細めた。
ガンガディアはそっと横に立つマトリフを見やる。あの戦いが終わってからは顰めっ面が定着してしまった顔が、ポップを見るときは和らいでいた。そのことにガンガディアは自分の感情が揺らぐのを感じる。
ポップがマトリフにとって可愛い存在であることはわかっている。ポップのその性格も、またその見た目も愛くるしい。それ以外にも彼が愛される理由はたくさんあるだろう。
それに引き換え、とガンガディアは自分の手を見る。可愛らしさ、愛らしさとはかけ離れた肉体だ。そして性格も愛嬌があるとは到底いえない。じわりと劣等感が高まる。
1693元気なポップの声にガンガディアは洞窟を出た。マトリフは既に見送りのために洞窟の外まで出ている。
見上げればルーラで飛び上がった少年の姿が太陽に重なって眩しい。ガンガディアは手をかざして目を細めた。
ガンガディアはそっと横に立つマトリフを見やる。あの戦いが終わってからは顰めっ面が定着してしまった顔が、ポップを見るときは和らいでいた。そのことにガンガディアは自分の感情が揺らぐのを感じる。
ポップがマトリフにとって可愛い存在であることはわかっている。ポップのその性格も、またその見た目も愛くるしい。それ以外にも彼が愛される理由はたくさんあるだろう。
それに引き換え、とガンガディアは自分の手を見る。可愛らしさ、愛らしさとはかけ離れた肉体だ。そして性格も愛嬌があるとは到底いえない。じわりと劣等感が高まる。
なりひさ
DOODLE雨の日のガンマト驟雨 ふと静けさが響く。日が落ちた頃に急に降り出した雨はいつの間にか止んでいた。それに気付けないほどガンガディアは夢中になっていた。
雨の日に情を交わすようになったのはいつからだろうか。激しい雨の日は岩戸を閉めきって肌を合わせるのが暗黙の了解だった。
腕の中のマトリフは息を荒げて声を殺している。ガンガディアの背に立てた爪は、絶頂が近いためか更に食い込んできた。
やがて短い声を上げてマトリフが果てる。夜目がきくガンガディアは、マトリフの顔に浮かんだ笑みを見た。満足そうでいて、狡猾さが滲む。それは目的を遂げた策士の含み笑いであった。
ガンガディアはふと、自分が罠にかかった獲物であると知った。この世には天候を操る呪文があるという。そして今夜の雨は急であった。雲の流れから雨など降りそうもなかったのに。
538雨の日に情を交わすようになったのはいつからだろうか。激しい雨の日は岩戸を閉めきって肌を合わせるのが暗黙の了解だった。
腕の中のマトリフは息を荒げて声を殺している。ガンガディアの背に立てた爪は、絶頂が近いためか更に食い込んできた。
やがて短い声を上げてマトリフが果てる。夜目がきくガンガディアは、マトリフの顔に浮かんだ笑みを見た。満足そうでいて、狡猾さが滲む。それは目的を遂げた策士の含み笑いであった。
ガンガディアはふと、自分が罠にかかった獲物であると知った。この世には天候を操る呪文があるという。そして今夜の雨は急であった。雲の流れから雨など降りそうもなかったのに。
なりひさ
DOODLEメイドの日のガンマト冥土へようこそ マトリフは青い巨体を見上げた。ガンガディアが身に纏っている服から目が離せないからだ。ガンガディアが身につけているのは黒を基調としたワンピースと白いエプロンで、いわゆるメイド服と呼ばれるものだった。
「どうかな?」
どうかなじゃねえよ、とマトリフは叫びそうになったものの、なんとか押し留めた。そして何と言うべきか悩んだ。何故こんなことになってしまったのか、皆目見当がつかない。
ガンガディアの鍛え上げられた肉体は窮屈そうにメイド服に包まれている。黒のワンピースはミニスカートで、胸元も大きく開いている。エプロンにはフリルやリボンがふんだんにあしらわれていて、服だけ見れば可愛らしい作りだった。
「……君がこういうものを好むと聞いたのだが」
1584「どうかな?」
どうかなじゃねえよ、とマトリフは叫びそうになったものの、なんとか押し留めた。そして何と言うべきか悩んだ。何故こんなことになってしまったのか、皆目見当がつかない。
ガンガディアの鍛え上げられた肉体は窮屈そうにメイド服に包まれている。黒のワンピースはミニスカートで、胸元も大きく開いている。エプロンにはフリルやリボンがふんだんにあしらわれていて、服だけ見れば可愛らしい作りだった。
「……君がこういうものを好むと聞いたのだが」
なりひさ
DOODLE転生現パロHey ガンガディアはエレベーターを待っていた。だがエレベーターはまだ上の階にいるらしく、焦ったい気持ちで表示を見上げる。階を表す数字が光り、ゆっくりと下降を知らせてくるが、その遅さが苛立たせてくる。
ガンガディアは無意識に手に持った書類を整えた。ガンガディアの部署に持ち込まれる書類のうち、完璧に整ったものはごく一部だ。どこか抜けがあったり、記載ミスがあるなど、訂正を必要とするものが多い。いくら社内文書とはいえ、提出前に十分に確認すべきだとガンガディアは思う。そしてその訂正を必要とする書類を抱えて、ガンガディアはエレベーターを待っていた。特に一番上の書類ときたら、付箋が何枚も貼られている。いったいどんな書き方をすればこんなにミスをするのかと思うほどだった。
37424ガンガディアは無意識に手に持った書類を整えた。ガンガディアの部署に持ち込まれる書類のうち、完璧に整ったものはごく一部だ。どこか抜けがあったり、記載ミスがあるなど、訂正を必要とするものが多い。いくら社内文書とはいえ、提出前に十分に確認すべきだとガンガディアは思う。そしてその訂正を必要とする書類を抱えて、ガンガディアはエレベーターを待っていた。特に一番上の書類ときたら、付箋が何枚も貼られている。いったいどんな書き方をすればこんなにミスをするのかと思うほどだった。
なりひさ
DOODLEシャンプー「おーい師匠ぉ」
その声に顔を上げれば、ポップが洞窟に入ってきたところだった。ポップは駆け足でこちらへ来ると、そのままオレの背にへばりついた。
「なあ師匠〜、やっぱり相談役に戻ってくれよう」
「嫌だね」
ポップの提案をきっぱりと切り捨てる。ポップはパプニカ王家の相談役として宮仕えしていた。
「だからやめとけって言っただろうが」
「だって姫さんと約束しちまったしさ。ダイが帰ってきたらおれが姫さんの相談役になるって」
「あの姫さんの抜け目の無さは親父譲りか」
つい意地が悪い笑い声をあげてしまう。自分も似たような経緯で相談役になったからだ。背でポップがむくれるのがわかる。
「まさか嫌がらせされてるわけじゃねえだろうな」
1782その声に顔を上げれば、ポップが洞窟に入ってきたところだった。ポップは駆け足でこちらへ来ると、そのままオレの背にへばりついた。
「なあ師匠〜、やっぱり相談役に戻ってくれよう」
「嫌だね」
ポップの提案をきっぱりと切り捨てる。ポップはパプニカ王家の相談役として宮仕えしていた。
「だからやめとけって言っただろうが」
「だって姫さんと約束しちまったしさ。ダイが帰ってきたらおれが姫さんの相談役になるって」
「あの姫さんの抜け目の無さは親父譲りか」
つい意地が悪い笑い声をあげてしまう。自分も似たような経緯で相談役になったからだ。背でポップがむくれるのがわかる。
「まさか嫌がらせされてるわけじゃねえだろうな」
なりひさ
DOODLEガンガさんを想うマト青 繰り返し見る夢がある。あいつが出てくる夢だ。
夢の中であいつは遠くからじっとオレを見ている。場所はその時々によって違うものの、何もせず、ただこちらを見ているのだ。
後悔を罪の意識で包んだような夢だ。それが原因に違いない。
ガンガディア。あの戦いで、オレの腕の中で死んでいった男。温かな青い血が法衣に染み込んでいくあの感覚をまだ鮮明に覚えている。
だがその夢を、オレは夢だと気づけないまま、ガンガディアを呼ぶのだ。緊張を持って呼ぶこともあれば、友人のように呼ぶときもあった。だがガンガディアはその声が聞こえないかのように何の反応もしない。焦れてオレが近付いていくと、途端にガンガディアの体の輪郭は歪んでいく。まるで水に溶けるようにその体は失われていくのだ。そして伸ばした手は空を切る。
1497夢の中であいつは遠くからじっとオレを見ている。場所はその時々によって違うものの、何もせず、ただこちらを見ているのだ。
後悔を罪の意識で包んだような夢だ。それが原因に違いない。
ガンガディア。あの戦いで、オレの腕の中で死んでいった男。温かな青い血が法衣に染み込んでいくあの感覚をまだ鮮明に覚えている。
だがその夢を、オレは夢だと気づけないまま、ガンガディアを呼ぶのだ。緊張を持って呼ぶこともあれば、友人のように呼ぶときもあった。だがガンガディアはその声が聞こえないかのように何の反応もしない。焦れてオレが近付いていくと、途端にガンガディアの体の輪郭は歪んでいく。まるで水に溶けるようにその体は失われていくのだ。そして伸ばした手は空を切る。
なりひさ
DOODLE禁呪法でマトを作ったガンガさん禁呪法 アバンがガンガディアの姿を見たのは久しぶりだった。深い森の奥の、誰からも忘れられたような遺跡に彼はいた。その姿は以前と変わらないように見える。
「お久しぶりですね」
ガンガディアと会ったのは二十年ぶりだろうか。最後に会ったのはマトリフを見送った日だ。みんなが泣きながら別れを惜しむ中で、ガンガディアは毅然としていた。最後までマトリフと共に過ごしたのだから、誰よりもその喪失を感じていただろう。しかし彼は最後の最後まで涙を流さず、その墓をじっと見つめていた。
「勇者か。久しいな」
「ここに住んでいたのですか。実は興味深い文献を読んで……」
アバンは各地の遺跡調査を行っていた。この遺跡を記した書物を手に入れて、調べに来たのだ。
1145「お久しぶりですね」
ガンガディアと会ったのは二十年ぶりだろうか。最後に会ったのはマトリフを見送った日だ。みんなが泣きながら別れを惜しむ中で、ガンガディアは毅然としていた。最後までマトリフと共に過ごしたのだから、誰よりもその喪失を感じていただろう。しかし彼は最後の最後まで涙を流さず、その墓をじっと見つめていた。
「勇者か。久しいな」
「ここに住んでいたのですか。実は興味深い文献を読んで……」
アバンは各地の遺跡調査を行っていた。この遺跡を記した書物を手に入れて、調べに来たのだ。
なりひさ
DOODLE「コーヒーと紅茶」でコーヒーを選んだルートコーヒー「オレはコーヒーを」
「私も同じものを」
店員は小さくお辞儀をして去っていく。ガンガディアは神妙な顔でマトリフを見た。
「暫く会えなかったから寂しかったよ」
ガンガディアはそう言って机にあったマトリフの手に手を重ねた。マトリフはその温もりに思わず目頭が熱くなる。今の自分にガンガディアの存在がいかに必要なのか、嫌というほどわかっていた。
前世の記憶が思い出さられたのは突然だった。それはマトリフが二人で住むための家を探していた時だった。
マトリフはガンガディアから同棲しようと誘われていたが、ずっと断っていた。その覚悟を持てなかったからだ。ガンガディアはマトリフより若い。それを言い訳にしながら、自分が一歩踏み込む勇気が持てないでいた。
15216「私も同じものを」
店員は小さくお辞儀をして去っていく。ガンガディアは神妙な顔でマトリフを見た。
「暫く会えなかったから寂しかったよ」
ガンガディアはそう言って机にあったマトリフの手に手を重ねた。マトリフはその温もりに思わず目頭が熱くなる。今の自分にガンガディアの存在がいかに必要なのか、嫌というほどわかっていた。
前世の記憶が思い出さられたのは突然だった。それはマトリフが二人で住むための家を探していた時だった。
マトリフはガンガディアから同棲しようと誘われていたが、ずっと断っていた。その覚悟を持てなかったからだ。ガンガディアはマトリフより若い。それを言い訳にしながら、自分が一歩踏み込む勇気が持てないでいた。
なりひさ
DOODLE「コーヒーと紅茶」で紅茶を選んだルート紅茶「オレは紅茶を」
「私も同じものを」
店員は小さくお辞儀をして去っていく。ガンガディアは神妙な顔でマトリフを見た。
「暫く会えなかったから寂しかったよ」
ガンガディアはそう言って机にあったマトリフの手に手を重ねた。マトリフはその温もりに思わず目頭が熱くなる。今の自分にガンガディアの存在がいかに必要なのか、充分にわかっていたからだ。
前世の記憶が思い出さられたのは突然だった。それはマトリフが二人で住むための家を探していた時だった。
マトリフはガンガディアから同棲しようと誘われていたが、ずっと断っていた。その覚悟を持てなかったからだ。ガンガディアはマトリフより若い。それを言い訳にしながら、自分が一歩踏み込む勇気が持てないでいた。
14099「私も同じものを」
店員は小さくお辞儀をして去っていく。ガンガディアは神妙な顔でマトリフを見た。
「暫く会えなかったから寂しかったよ」
ガンガディアはそう言って机にあったマトリフの手に手を重ねた。マトリフはその温もりに思わず目頭が熱くなる。今の自分にガンガディアの存在がいかに必要なのか、充分にわかっていたからだ。
前世の記憶が思い出さられたのは突然だった。それはマトリフが二人で住むための家を探していた時だった。
マトリフはガンガディアから同棲しようと誘われていたが、ずっと断っていた。その覚悟を持てなかったからだ。ガンガディアはマトリフより若い。それを言い訳にしながら、自分が一歩踏み込む勇気が持てないでいた。
なりひさ
DOODLE現パロガンマトコーヒーと紅茶 ガンガディアの部屋の、ガンガディアが選んだらしい家具はやたらと豪華だ。そのひとつのソファに寝そべりながら、マトリフは天井を見上げていた。高い天井には、くるくると回るファンが付いていて、金持ちはなぜあんなものを天井に付けたがるのかと不思議に思う。
バスルームからはシャワーの音が聞こえていた。ガンガディアが出てくるまであと数分。先にベッドルームに行っていてもいいのだが、面倒臭さが勝っていてソファでだらけている。飲み終わったミネラルウォーターのペットボトルを手で弄びながら、ガンガディアが出てくる前に帰ってしまおうかと考えた。
だが数分も待たない間にガンガディアがバスローブを着て出てきた。なぜ金持ちはバスローブを着るのだろうか。
18640バスルームからはシャワーの音が聞こえていた。ガンガディアが出てくるまであと数分。先にベッドルームに行っていてもいいのだが、面倒臭さが勝っていてソファでだらけている。飲み終わったミネラルウォーターのペットボトルを手で弄びながら、ガンガディアが出てくる前に帰ってしまおうかと考えた。
だが数分も待たない間にガンガディアがバスローブを着て出てきた。なぜ金持ちはバスローブを着るのだろうか。
なりひさ
DOODLEガンマトバレンタインオレの この甘ったるい季節がまたやってきた。マトリフは街を歩きながら、赤やら茶色の飾り付けを見る。並ぶチョコレートとその芳香が、準備は大丈夫かとお節介を焼いてくるように思えた。
正月がついさっき終わったと思ったら、もうバレンタインだという。そう同僚に溢せば「歳を取ると時間の経過を早く感じるそうですよ」と笑われた。ついでに「今年も楽しみですね」と付け加えられ、バレンタインの話題を振ったことを後悔した。
楽しみですね、と言われた通り、マトリフは今日を楽しみにしていた。今年はバレンタインが平日であるからお互いに半日休を取るくらいには浮かれている。待ち合わせを街の有名な待ち合わせスポットに指定したのはマトリフだ。
1253正月がついさっき終わったと思ったら、もうバレンタインだという。そう同僚に溢せば「歳を取ると時間の経過を早く感じるそうですよ」と笑われた。ついでに「今年も楽しみですね」と付け加えられ、バレンタインの話題を振ったことを後悔した。
楽しみですね、と言われた通り、マトリフは今日を楽しみにしていた。今年はバレンタインが平日であるからお互いに半日休を取るくらいには浮かれている。待ち合わせを街の有名な待ち合わせスポットに指定したのはマトリフだ。
なりひさ
DOODLE現パロガンマトとヒュンおじさんの恋人 店のチャイムが鳴る。夜のコンビニは煌々とした明かりを灯していた。
「いらっしゃいませ」
ヒュンケルは小さな声を上げる。コンビニのアルバイトは数日目だがまだ慣れなかった。元より接客に向く性格でないことはわかっている。だが親がいないヒュンケルを引き取って、一人で育ててくれている父を少しでも助けたくて、ヒュンケルはアルバイトを始めた。
ヒュンケルは棚の前に屈みながら、減っている商品を補充していく。すると客がレジへと向かうのが見えた。ヒュンケルは立ち上がって急足でレジへと向かう。ちょうど客がカウンターにカゴを置いたところだった。ヒュンケルはバーコードスキャナーを片手に持ち、カゴの商品を手に取る。
「ヒュンケル?」
1962「いらっしゃいませ」
ヒュンケルは小さな声を上げる。コンビニのアルバイトは数日目だがまだ慣れなかった。元より接客に向く性格でないことはわかっている。だが親がいないヒュンケルを引き取って、一人で育ててくれている父を少しでも助けたくて、ヒュンケルはアルバイトを始めた。
ヒュンケルは棚の前に屈みながら、減っている商品を補充していく。すると客がレジへと向かうのが見えた。ヒュンケルは立ち上がって急足でレジへと向かう。ちょうど客がカウンターにカゴを置いたところだった。ヒュンケルはバーコードスキャナーを片手に持ち、カゴの商品を手に取る。
「ヒュンケル?」
yuma
DONE復活IF 魔力供給ガンマト微修正済み
「そろそろ魔力が足りないんじゃないか?」
床に座り込んで熱心に古書のページを捲るガンガディアの背中に向かって、マトリフは声をかける。
「いや、まだ結構だ」
精一杯の誘いの言葉に対して、ガンガディアはあまりにもそっけなく、マトリフは眉をしかめる。
マトリフとガンガディアが一緒に暮らし始めて、しばらく経つ。
死の間際のガンガディアから譲り受けたドラゴラムの書には、ガンガディアの魂が僅かに残っていた。その魂は、マトリフの魔力に触れ続けたことで、ふたたび生を得て、さらには実体を伴うことまでできるようになったのであった。
初めて本の中からガンガディアに語りかけられた時、マトリフは大変驚いたものだが、好敵手が蘇ったことは嬉しくないわけがなかった。今度こそ、平和に友情を築きたいと思ったのだ。
1730床に座り込んで熱心に古書のページを捲るガンガディアの背中に向かって、マトリフは声をかける。
「いや、まだ結構だ」
精一杯の誘いの言葉に対して、ガンガディアはあまりにもそっけなく、マトリフは眉をしかめる。
マトリフとガンガディアが一緒に暮らし始めて、しばらく経つ。
死の間際のガンガディアから譲り受けたドラゴラムの書には、ガンガディアの魂が僅かに残っていた。その魂は、マトリフの魔力に触れ続けたことで、ふたたび生を得て、さらには実体を伴うことまでできるようになったのであった。
初めて本の中からガンガディアに語りかけられた時、マトリフは大変驚いたものだが、好敵手が蘇ったことは嬉しくないわけがなかった。今度こそ、平和に友情を築きたいと思ったのだ。
yuma
DONE求愛行動ガンマト書きたくて…色々ネタを混ぜました。バルマト風味(誤解)も混ざるので何でも大丈夫な方向け。
ガンガディアの与える過ぎた快楽に、マトリフの身体は翻弄されている。普段はよく回る舌も今はただただ吐息を漏らすことしかできず、その最中で何かを口走った気もするが、自分ではわからない。
突然、ガンガディアの動きが止まった。
「マトリフ……?」
たったいま絶頂を極めた恋人にかけるには、戸惑いの多い声にマトリフは違和感を覚えてゆっくりと目を開けた。
「どうした?」
覆い被さる巨体の顔は逆光で、よくわからない。
だが、長年の付き合いで、なんらかの理由で目の前の男が絶句している、ということは伝わってきた。
「すまない。君の過去にはこだわらないつもりだったが……」ガンガディアは、口元を手で覆って、かなりショックを受けているような口ぶりだ。
2240突然、ガンガディアの動きが止まった。
「マトリフ……?」
たったいま絶頂を極めた恋人にかけるには、戸惑いの多い声にマトリフは違和感を覚えてゆっくりと目を開けた。
「どうした?」
覆い被さる巨体の顔は逆光で、よくわからない。
だが、長年の付き合いで、なんらかの理由で目の前の男が絶句している、ということは伝わってきた。
「すまない。君の過去にはこだわらないつもりだったが……」ガンガディアは、口元を手で覆って、かなりショックを受けているような口ぶりだ。
yuma
TRAINING現パロガンマトでコマ割りの練習。描きたいとこだけ。せっかくなのでSSではあまり書かなかったガンガさんの反応とかマトの表情をもっと描いた方が良いのかなあ……と思うのだけど、淡々とさせたくもあり……?
p2の3コマ目のマトの目線をガンガさんに向けるかどうか迷った……夜だし、車内が暗い設定だし、ガンガさん運転していて見えていないけど、良い表情みたいな‥‥。
飄々としている感を出したかったので、結局目線はやめ。
コマを割って見て、このお話で注目してもらいたいのはマトのセリフだな〜って感じたので、漫画にする意味があまり出てない……
難しい!!!他の人がコマ割るとどうなるのか見てみたいです……
現パロだけど、ガンガさんはトロルのままでサイズとタトゥーだけ控えめに。 4