100日後にくっつくいちじろ53日
AM11:30、一郎はカフェのカウンター席にいた。
依頼人との待ち合わせまであと30分あるが、その前に時間ができたのでリリックを考えているところだ。ノートを開き、ペンを持ち、ガラスの向こうに見える喧騒を眺めて考える。しかし少し行き詰まったところであった。ふうと息を吐くとコーラのグラスを持ち上げる。するとグラスに、カツン、横に置いていた原付の鍵が当たった。その鍵に昨日からつけたラッコの一郎。つん、とペンの先で小突いてみるとゆらゆら揺れる。一郎は頬を緩めていた。
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「兄貴ー、今ちょっといい?」
PM11:00、一郎の自室を二郎がノックした。
いいぞ、と返事をするとおずおず、スマホ片手に入ってきた二郎。ベッドで横になり漫画を読んでいた一郎は体を起こした。その隣に自然に腰を下ろした二郎。ベッドが沈む。
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