100日後にくっつくいちじろ52日目
「やべえ、三郎見ろ。カップルと家族連れしかいねえ」
「そりゃそうでしょ……」
「兄弟で来てる奴いねえのかよ……」
「見る限りはね。ていうか僕も恥ずかしいから少し距離空けて歩けよ」
「酷過ぎない?」
土曜日、晴天。絶好の水族館日和である。
兄は宣言通り、朝から依頼で出かけ、弟二人は昼過ぎに駅で待ち合わせをして合流。先日、二郎が良くしてもらっている肉屋のおばちゃんに貰った水族館の特別入場券。それを水族館の受付で出すと二人は館内へ通された。しかし水族館の中は二郎の言う通り、ほぼ肩を寄せ合うカップルか、子供を連れた家族ばかり。ちょっぴり肩身が狭いなと思いつつ、せっかくだからと二人は順路に沿って足を進める。
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