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DOODLE6/4azm3月の終わりの話「速度はいい。飛び立つときの羽の角度を意識しろ」
「イエッサー! わ、さっきより速い!」
「羽と踏み込みのタイミングを合わせろ」
「イエッサー!!」
三月最後の午前中。私はグラウンドでアミィ様に飛行訓練を見てもらっていた。アミィ様は手元のボードにいろいろ書き込んでいる。
私が外周を終えて戻ったら、アミィ様がふと思い出したように顔を上げた。
「明日は登校日だったな」
「はい。研修報告をしてきます」
止まらない汗を拭きながら答える。昼休みにシャワー浴びよ。
「明後日には辞令を渡す。ハメを外し過ぎないように」
「イエッサー!」
まあ、マルバス先生と進路の相談して、久しぶりに友達と喋るくらいの予定しかない。ヘムとドルーガも登校日でいないし、そんなに遊びすぎるようなことはないと思う。
1383「イエッサー! わ、さっきより速い!」
「羽と踏み込みのタイミングを合わせろ」
「イエッサー!!」
三月最後の午前中。私はグラウンドでアミィ様に飛行訓練を見てもらっていた。アミィ様は手元のボードにいろいろ書き込んでいる。
私が外周を終えて戻ったら、アミィ様がふと思い出したように顔を上げた。
「明日は登校日だったな」
「はい。研修報告をしてきます」
止まらない汗を拭きながら答える。昼休みにシャワー浴びよ。
「明後日には辞令を渡す。ハメを外し過ぎないように」
「イエッサー!」
まあ、マルバス先生と進路の相談して、久しぶりに友達と喋るくらいの予定しかない。ヘムとドルーガも登校日でいないし、そんなに遊びすぎるようなことはないと思う。
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DOODLE6/3azm冬のある日「調子はどうだ?」
ある朝、私と准尉が道場で魔術の訓練をしてたら、アミィ様が様子を見に来た。そして私の手元のホワイトボードを見て、顔をしかめる。
「呪物か何かか?」
途端に准尉が吹き出す。
「水華草です」
「すっ……?」
水華草は攻撃されると水を吐き出す花だ。だから火災現場でよく使われるって、准尉に教わった。
種に魔力を注いで育ててみようってことで、准尉が育てた水華草を見ながら、イメージしやすいように絵に描いてたわけ。
完成したのは、アミィ様曰く『呪物』だったけど……。
「こんなんですけど、結果はそんなに悪くないですよ。ほれ、やってみ?」
「はい……」
渡された鉢に魔力を込める。土がふわっと温かくなって、芽が出て、あっという間に葉が茂って薄青の花が咲く。
1015ある朝、私と准尉が道場で魔術の訓練をしてたら、アミィ様が様子を見に来た。そして私の手元のホワイトボードを見て、顔をしかめる。
「呪物か何かか?」
途端に准尉が吹き出す。
「水華草です」
「すっ……?」
水華草は攻撃されると水を吐き出す花だ。だから火災現場でよく使われるって、准尉に教わった。
種に魔力を注いで育ててみようってことで、准尉が育てた水華草を見ながら、イメージしやすいように絵に描いてたわけ。
完成したのは、アミィ様曰く『呪物』だったけど……。
「こんなんですけど、結果はそんなに悪くないですよ。ほれ、やってみ?」
「はい……」
渡された鉢に魔力を込める。土がふわっと温かくなって、芽が出て、あっという間に葉が茂って薄青の花が咲く。
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DOODLE6/2azm冬のはじめの話「あ、エリーリだ。おつかれー」
「おー、おつかれ」
昼に食堂でごはんを食べてたら、エリーリが向かいに座ってきた。トレーには山盛りのごはん。やっぱ男子って食べる量が違うよね。
……でもアミィ様は、そんなに山ほど食べるイメージないんだよね。
「お前、今アミィ様のことを考えたろ」
エリーリが苦笑しながらフォークを向けてきた。
「えっ、なんで」
「顔に思いっきり出てたぞ」
「そんなことないよ」
「ある」
そんなことないと思うけど、当てられてる時点で説得力ゼロだよね。
「ねえ、もしかして、顔緩んでた?」
「うん。ゆるゆる」
「……やっぱり」
アミィ様だけ変身魔術がうまくできないって話をしたら、めっちゃ笑われた。
「ある意味仕方ない気もするけど……」
1355「おー、おつかれ」
昼に食堂でごはんを食べてたら、エリーリが向かいに座ってきた。トレーには山盛りのごはん。やっぱ男子って食べる量が違うよね。
……でもアミィ様は、そんなに山ほど食べるイメージないんだよね。
「お前、今アミィ様のことを考えたろ」
エリーリが苦笑しながらフォークを向けてきた。
「えっ、なんで」
「顔に思いっきり出てたぞ」
「そんなことないよ」
「ある」
そんなことないと思うけど、当てられてる時点で説得力ゼロだよね。
「ねえ、もしかして、顔緩んでた?」
「うん。ゆるゆる」
「……やっぱり」
アミィ様だけ変身魔術がうまくできないって話をしたら、めっちゃ笑われた。
「ある意味仕方ない気もするけど……」
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DOODLE6/1azm秋の終わりの話 戦場帰りの研修生を寮まで送り届け、牙隊の執務室へ戻った。引き出しから、彼女の研修報告書を取り出す。
報告書に並んだ成果と、先ほど肩を震わせていた彼女の姿が、どうにも一致しない。
思い返せば、それは研修初期からその傾向は見られた。実技訓練時の勇ましい背中と、教室に入ってくる際の花のような笑顔。
試験時に物怖じせずにキマリスに挑んだ彼女と、医務室から出てきた際の頼りなげな彼女。
この落差は、何なのだ。
どちらが、彼女の本質に近いのか。
不安を覚える一方で、その姿をもっと見ていたくもなる。彼女をどのような悪魔に育てようか。魔関署の悪魔として、力強く羽ばたかせたい。それを、見守ることができるだろうか。
956報告書に並んだ成果と、先ほど肩を震わせていた彼女の姿が、どうにも一致しない。
思い返せば、それは研修初期からその傾向は見られた。実技訓練時の勇ましい背中と、教室に入ってくる際の花のような笑顔。
試験時に物怖じせずにキマリスに挑んだ彼女と、医務室から出てきた際の頼りなげな彼女。
この落差は、何なのだ。
どちらが、彼女の本質に近いのか。
不安を覚える一方で、その姿をもっと見ていたくもなる。彼女をどのような悪魔に育てようか。魔関署の悪魔として、力強く羽ばたかせたい。それを、見守ることができるだろうか。
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DOODLE5/31azm夏の終わりの話 爪隊に配属された初日の夕方、なんとか日報を書いてキマリス様に提出した。
「初日お疲れさま。疲れたでしょ。早めに休みなよ」
「はい! そうします!」
「あと、体調はどう? 試験のときにやりすぎて、アミィくんに怒られちゃったからさ」
……怒られちゃったのか。アミィ様は、やりすぎたキマリス様に怒ったんだ。……それって、私としてはどう受け止めればいいの?
「大丈夫です。私がへなちょこだっただけです」
「そんなことないって、アミィくんにも言われたでしょう? 強情だな」
キマリス様が苦笑した。
だって、悔しいもの。ていうか、相手が強かったから仕方ないなんて言いたくない。
……そういうところを強情だと言われているのかもしれない。
974「初日お疲れさま。疲れたでしょ。早めに休みなよ」
「はい! そうします!」
「あと、体調はどう? 試験のときにやりすぎて、アミィくんに怒られちゃったからさ」
……怒られちゃったのか。アミィ様は、やりすぎたキマリス様に怒ったんだ。……それって、私としてはどう受け止めればいいの?
「大丈夫です。私がへなちょこだっただけです」
「そんなことないって、アミィくんにも言われたでしょう? 強情だな」
キマリス様が苦笑した。
だって、悔しいもの。ていうか、相手が強かったから仕方ないなんて言いたくない。
……そういうところを強情だと言われているのかもしれない。
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DOODLE5/30azm五月頭の話 夕刻の教室には、橙の光が差し込んでいた。私――アミィ・アザミの手元と、机越しに座る研修生の少女のノートを照らしている。
「……わかんない……」
教室に残っているのは、私と少女の二人だけだった。少女は肩を落とし、ぽつりとつぶやいた。
「何がわからないんだ」
「何がわからないのか、自分でもわかりません」
ノートが濡れていないのが不思議に思えるほど、少女の瞳には涙が浮かんでいた。
「最初から説明する」
「説明を受けたときには理解できた気がしたんです。でも、その後の小テストの問題はまったく解けなくて」
「ならば、先に問題を確認しろ。そのあとに説明する」
「……わかりました」
教卓から小テストの用紙を持ってくる。彼女の小テスト用紙には不正解の印ばかりが並んでいたため、回収して破棄した。
994「……わかんない……」
教室に残っているのは、私と少女の二人だけだった。少女は肩を落とし、ぽつりとつぶやいた。
「何がわからないんだ」
「何がわからないのか、自分でもわかりません」
ノートが濡れていないのが不思議に思えるほど、少女の瞳には涙が浮かんでいた。
「最初から説明する」
「説明を受けたときには理解できた気がしたんです。でも、その後の小テストの問題はまったく解けなくて」
「ならば、先に問題を確認しろ。そのあとに説明する」
「……わかりました」
教卓から小テストの用紙を持ってくる。彼女の小テスト用紙には不正解の印ばかりが並んでいたため、回収して破棄した。
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DOODLE5/29azm四月も終わりの話 魔関署のグラウンドから、私……アミィ・アザミは空を見上げた。遥か高いところで、キマリスが研修生を率いて周回コースを飛んでいる。
とはいえ、ついていけてるのは、ほんの数名。その筆頭は小柄な少女、その次は大柄な少年。今期の研修生の実技において、この二人が抜きん出ている。
「……やはり、あの馬鹿が早いか」
少女はほぼキマリスの真後ろ、少年はやや離れて追いかけている。
他の研修生は周回遅れがほとんどであることを考えれば、キマリスが視界に入っていれば上出来で、ぴったり付いていく少女がおかしい。
やがて、規定の周回を終えたキマリスが降りてきた。私の横で、キマリスの部下がタオルを差し出しつつ、研修生の成績を記録している。
1031とはいえ、ついていけてるのは、ほんの数名。その筆頭は小柄な少女、その次は大柄な少年。今期の研修生の実技において、この二人が抜きん出ている。
「……やはり、あの馬鹿が早いか」
少女はほぼキマリスの真後ろ、少年はやや離れて追いかけている。
他の研修生は周回遅れがほとんどであることを考えれば、キマリスが視界に入っていれば上出来で、ぴったり付いていく少女がおかしい。
やがて、規定の周回を終えたキマリスが降りてきた。私の横で、キマリスの部下がタオルを差し出しつつ、研修生の成績を記録している。
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DOODLE6/4mfst6月8日の夜の話 彼女からの魔インを読んで、我慢できずに通話ボタンを押してした。
『はい、どうかなさいましたか?』
まだまだ硬い話し方。でも、口調はこの一週間でかなり柔らかくなったと思う。
「声、聞きたくなっちゃった」
俺の声は情けなくて、自分でも呆れるほどだった。このまま幻滅されてしまいそうで怖い。
『さっき分かれたばかりじゃないですか。お送りしたデザートビュッフェ、見ました?』
「うん。おいしそうだから、そこにしようか」
君が俺のために選んでくれた場所だから、そこにしたい。
こんな情けない声でも、君は呆れずに受け止めてくれる。
ああ、会いたいな。
「そうだ、他の悪魔にはセフレじゃなくて彼氏って言ってね」
『彼氏、ですか』
1370『はい、どうかなさいましたか?』
まだまだ硬い話し方。でも、口調はこの一週間でかなり柔らかくなったと思う。
「声、聞きたくなっちゃった」
俺の声は情けなくて、自分でも呆れるほどだった。このまま幻滅されてしまいそうで怖い。
『さっき分かれたばかりじゃないですか。お送りしたデザートビュッフェ、見ました?』
「うん。おいしそうだから、そこにしようか」
君が俺のために選んでくれた場所だから、そこにしたい。
こんな情けない声でも、君は呆れずに受け止めてくれる。
ああ、会いたいな。
「そうだ、他の悪魔にはセフレじゃなくて彼氏って言ってね」
『彼氏、ですか』
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DOODLE6/3mfst6/6の午後の話 メフィストさんとの通話を終えて席に戻ると、隣に座っていた先輩がちらりとこちらを見た。
「ずいぶんご機嫌じゃない。いいことあった?」
「夜にちょっと楽しみな予定があって」
つい、そう言うと先輩はにっこり笑う。
「あら、いいじゃない。金曜日だもの。私もたまには旦那と二人で飲みに行こうかしらね」
おしゃべりしながら、ゆるっと午後の仕事を始めた。
……私は、そんなに機嫌良く見えるんだな。ほんの三十分ほど前までは、気分は最悪で泣きたいくらいだったのに。
メフィストさんが電話してくれただけで、他の人にもわかるくらい機嫌よくなっちゃうらしい。あまりにチョロいのでは? 彼氏に捨てられて一週間で、他の男に慰められてニコニコしてるのって、ちょっと軽すぎじゃない?
1109「ずいぶんご機嫌じゃない。いいことあった?」
「夜にちょっと楽しみな予定があって」
つい、そう言うと先輩はにっこり笑う。
「あら、いいじゃない。金曜日だもの。私もたまには旦那と二人で飲みに行こうかしらね」
おしゃべりしながら、ゆるっと午後の仕事を始めた。
……私は、そんなに機嫌良く見えるんだな。ほんの三十分ほど前までは、気分は最悪で泣きたいくらいだったのに。
メフィストさんが電話してくれただけで、他の人にもわかるくらい機嫌よくなっちゃうらしい。あまりにチョロいのでは? 彼氏に捨てられて一週間で、他の男に慰められてニコニコしてるのって、ちょっと軽すぎじゃない?
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DOODLE6/2mfst6/4の夜遅く、街から離れたある邸宅で 女の子を、彼女の住む魔ンションまで送った。エントランスで見送って外に出ると、誰かが走り去っていくのが見えた。
何か手は打たないといけないけど、いきなり手を出すのはためらわれる。わかりやすい理由でもあればいいんだけど。昔なら「視界に入ったから」と言って消せたのに、今はそうもいかないらしい。
帰宅して軽く仕事を済ませ、シャワーを浴びてベッドに横になった。
彼女と約束したパンケーキとチョコレートファウンテンの予約をいれなきゃ。他に何が好きなんだろう。
デザートビュッフェにはワッフルやフルーツ、アイスに、それにパスタやサンドイッチといった軽食もあるらしい。
「……あの子、けっこう食べそだよね」
彼女が食べているところは、月曜日に一度見ただけだ。けど、大きな口を開けて、本当に美味しそうに食べてた。
808何か手は打たないといけないけど、いきなり手を出すのはためらわれる。わかりやすい理由でもあればいいんだけど。昔なら「視界に入ったから」と言って消せたのに、今はそうもいかないらしい。
帰宅して軽く仕事を済ませ、シャワーを浴びてベッドに横になった。
彼女と約束したパンケーキとチョコレートファウンテンの予約をいれなきゃ。他に何が好きなんだろう。
デザートビュッフェにはワッフルやフルーツ、アイスに、それにパスタやサンドイッチといった軽食もあるらしい。
「……あの子、けっこう食べそだよね」
彼女が食べているところは、月曜日に一度見ただけだ。けど、大きな口を開けて、本当に美味しそうに食べてた。
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DOODLE6/1mfst6月2日の夜の話「ほとんど飲んでないけど、お腹空いてる? 何か食べる?」
メフィストさんがメニューを私の方に向けた。
明日も仕事し、13冠のセフレなんて意味不明な話まで出てきて、食欲なんて吹っ飛んだ。
でも、こんなに穏やかな笑顔で気遣われたら、無下にはできない。……ってこうやって、付けこまれてる気もする。
「えっと、あまりお腹が空いていないので軽いもので……」
「好き嫌いとかなければ、俺が適当に頼んでいい?」
「はい、お任せします」
メフィストさんはメニューをざっと見て、さっさと注文した。すぐにフルーツの盛り合わせとカクテルグラスが運ばれてくる。
「飲みやすそうなのを頼んだから、良ければ」
「あの、あんまり強いのは」
「ノンアルコールだよ」
884メフィストさんがメニューを私の方に向けた。
明日も仕事し、13冠のセフレなんて意味不明な話まで出てきて、食欲なんて吹っ飛んだ。
でも、こんなに穏やかな笑顔で気遣われたら、無下にはできない。……ってこうやって、付けこまれてる気もする。
「えっと、あまりお腹が空いていないので軽いもので……」
「好き嫌いとかなければ、俺が適当に頼んでいい?」
「はい、お任せします」
メフィストさんはメニューをざっと見て、さっさと注文した。すぐにフルーツの盛り合わせとカクテルグラスが運ばれてくる。
「飲みやすそうなのを頼んだから、良ければ」
「あの、あんまり強いのは」
「ノンアルコールだよ」
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DOODLE5/31mfst5月31日の夕方の話「ふわ……」
目が覚めたら、もう夕方だった。
ス魔ホを見たら、5月31日の17時。帰宅したのが10時くらいだったから、かなりがっつり寝てしまった。
「……わ、ほんとにある」
ベッドに寝転んだままス魔ホをスクロールすると、連絡先にも魔インの友達リストにもメフィストさんの名前があった。
どうやら、今朝のことは夢じゃなかったらしい。
ていうか、なにあれ、ほんとに。
昨日の夜から今朝までのことが、まったくピンとこない。メフィストさんに聞いたり、教えてもらったりして、なんとか記憶は繋がったけど……。
少なくとも、バーには行った。それは覚えてる。先輩が野次馬しに行くのを見送って、私はいつものバーのカウンターに座った。座ったとたんに気が抜けて、マスターに気遣われたことは覚えてる。
817目が覚めたら、もう夕方だった。
ス魔ホを見たら、5月31日の17時。帰宅したのが10時くらいだったから、かなりがっつり寝てしまった。
「……わ、ほんとにある」
ベッドに寝転んだままス魔ホをスクロールすると、連絡先にも魔インの友達リストにもメフィストさんの名前があった。
どうやら、今朝のことは夢じゃなかったらしい。
ていうか、なにあれ、ほんとに。
昨日の夜から今朝までのことが、まったくピンとこない。メフィストさんに聞いたり、教えてもらったりして、なんとか記憶は繋がったけど……。
少なくとも、バーには行った。それは覚えてる。先輩が野次馬しに行くのを見送って、私はいつものバーのカウンターに座った。座ったとたんに気が抜けて、マスターに気遣われたことは覚えてる。
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DOODLE5/30mfst5月30日夜の話 私は、デビールのジョッキを煽る。アルコールにはそこそこだけど、すぐ赤くなる。
「よくやるわねえ」
隣の女の先輩が、とっくりを傾けて言う。視線の先には、後輩の女の子と、その肩に腕を回す男悪魔。
……私の彼氏だと思っていた相手だ。
見ていても、どうしようもない。目を逸らして、大皿の焼き鳥に手を伸ばす。所詮会社の飲み会。ぼんじりがないし、皮も焼き加減がイマイチ。
そんなふうに現実逃避してた。
「あら、なくなっちゃった」
先輩が呟いてとっくりを逆さに振る。
「お代わり頼みましょうか」
「熱燗ってまだあるかしら?」
「えっと……、あ、ダメです。熱燗の提供は三月までだそうです」
「じゃあ冷でいいわ。あと白湯」
「了解です。私は魔牛ステーキ串にしようかな」
826「よくやるわねえ」
隣の女の先輩が、とっくりを傾けて言う。視線の先には、後輩の女の子と、その肩に腕を回す男悪魔。
……私の彼氏だと思っていた相手だ。
見ていても、どうしようもない。目を逸らして、大皿の焼き鳥に手を伸ばす。所詮会社の飲み会。ぼんじりがないし、皮も焼き加減がイマイチ。
そんなふうに現実逃避してた。
「あら、なくなっちゃった」
先輩が呟いてとっくりを逆さに振る。
「お代わり頼みましょうか」
「熱燗ってまだあるかしら?」
「えっと……、あ、ダメです。熱燗の提供は三月までだそうです」
「じゃあ冷でいいわ。あと白湯」
「了解です。私は魔牛ステーキ串にしようかな」
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DOODLE5/29mfst5月30日の昼から夜の話 目の前には豪華な食事。その奥には、笑みを浮かべた貴族の一家。
「メフィスト様を我が家にお招きできるとは、光栄の至りにございます」
「こちらこそ、お招きいただき、ありがとう」
ふくよかな悪魔に穏やかに笑い返す。
相手は「ところで……」と手を揉む。
「よろしければ、娘の話し相手になっていただけませんかな? 13冠のメフィスト様が我が家にお越しになると聞いてから、楽しみにしておりまして」
ワイングラスに手を伸ばし、悩んでいる振りで軽く揺らしてから香りを確かめる。
答えなんて、決まっているけれど。
「あいにく、お嬢さんを楽しませるような話題なんて、持ち合わせてないんだ。ぜひ、同世代の男の子を薦めてあげてほしい」
979「メフィスト様を我が家にお招きできるとは、光栄の至りにございます」
「こちらこそ、お招きいただき、ありがとう」
ふくよかな悪魔に穏やかに笑い返す。
相手は「ところで……」と手を揉む。
「よろしければ、娘の話し相手になっていただけませんかな? 13冠のメフィスト様が我が家にお越しになると聞いてから、楽しみにしておりまして」
ワイングラスに手を伸ばし、悩んでいる振りで軽く揺らしてから香りを確かめる。
答えなんて、決まっているけれど。
「あいにく、お嬢さんを楽しませるような話題なんて、持ち合わせてないんだ。ぜひ、同世代の男の子を薦めてあげてほしい」
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DOODLE #mirmプラス #mirm夢mfstが嫉妬する話。
嫉妬する話はね、なんぼあってもいいですからね!
mfst/つきあってる/夢主ネームレス/モブ有り
左側が温かい 13冠は忙しい。新米ともなれば、あちこちに顔を出して挨拶をしたり、愛想も振りまく。もちろん、面倒にならない範囲で、だけど。
そうやって忙しくするのも嫌いじゃない。でも、そのぶん彼女との時間が減ってしまう。
それでも今日はなんとか早めに切り上げられて、彼女も勤め先近くのショッピングモールで待ち合わせた。
「この辺りかな」
彼女からはもう着いたと連絡があった。待ち合わせの場所であたりを見回す呂と、いた。
駆け寄ろうとしたとき、別の男が彼女に声をかけた。
「……」
思わず足が止まる。
彼女は笑顔で何かを答えている。
羽管と尻尾の付け根が、ずしりと重くなった。
拳を握ると、爪が手のひらに食い込んだ。
男の手が彼女に伸びるのが見えた瞬間、足が動いた。
1012そうやって忙しくするのも嫌いじゃない。でも、そのぶん彼女との時間が減ってしまう。
それでも今日はなんとか早めに切り上げられて、彼女も勤め先近くのショッピングモールで待ち合わせた。
「この辺りかな」
彼女からはもう着いたと連絡があった。待ち合わせの場所であたりを見回す呂と、いた。
駆け寄ろうとしたとき、別の男が彼女に声をかけた。
「……」
思わず足が止まる。
彼女は笑顔で何かを答えている。
羽管と尻尾の付け根が、ずしりと重くなった。
拳を握ると、爪が手のひらに食い込んだ。
男の手が彼女に伸びるのが見えた瞬間、足が動いた。
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DOODLE #mirmプラス #mirm夢azm/幼馴染み/付き合ってる/ねつ造しかない/モブ有り
azm大佐と幼馴染みは一応これで完結です。でも思いついたら何か湧くかもしれない。
あなたに誓う その日、短期出張の届けを出しに総務部へ行った。
「アザミくんだ……」
総務部のカウンターでは、あたしの幼馴染で彼氏で、婚約者でもあるアミィ・アザミが何か話していた。申請に来たようには見えない。書類を見ながら考え込んでいる様子だ。
カウンターの向こうにいる総務部の綺麗なお姉さんは笑顔で書類を差し出している。それを受け取るアザミくんは、どんな顔をしているのかな。あたしからは背中しか見えなかった。
「……いやいや」
扉に添えた左手には、アザミくんとお揃いの指輪が光っていた。
顔を上げて、戸をそっとノックする。こちらに気づいた二人に軽く会釈してカウンターに申請書を置く。
「これ、お願いします」
お姉さんは頷いて奥に引っ込む。
2669「アザミくんだ……」
総務部のカウンターでは、あたしの幼馴染で彼氏で、婚約者でもあるアミィ・アザミが何か話していた。申請に来たようには見えない。書類を見ながら考え込んでいる様子だ。
カウンターの向こうにいる総務部の綺麗なお姉さんは笑顔で書類を差し出している。それを受け取るアザミくんは、どんな顔をしているのかな。あたしからは背中しか見えなかった。
「……いやいや」
扉に添えた左手には、アザミくんとお揃いの指輪が光っていた。
顔を上げて、戸をそっとノックする。こちらに気づいた二人に軽く会釈してカウンターに申請書を置く。
「これ、お願いします」
お姉さんは頷いて奥に引っ込む。
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DOODLE #mirmプラス #mirm夢azm/幼馴染み/付き合ってる/ねつ造しかない/azmママいます
デビラムに行く話/いちゃついてるだけです
差し出された手は、あたしだけのものだ 初夏の涼しい夜。寮に戻ってシャワーを浴びていたら、母から電話がかかってきた。
『貴族会に出てらっしゃいな』
「えっ、面倒だし行きたくないな」
『あらそう。じゃあアザミくんのパートナーはお姉ちゃんに頼もうかしらね』
「それ、先に言ってよ!?」
母が言うには、月末の貴族会にアザミくんのご両親が呼ばれているけれど、都合が悪いらしい。それで家長代理としてアザミくんが出るけど、パートナーが必要だからって、あたしに声をかけた。
『アザミくんから聞いてない?』
「……聞いてない。あたしから聞いてみる」
そういうことなら、アザミくんがあたし以外を誘うなんてことないと思うんだけど。ちょっともやもやしつつ、アザミくんに電話する。
3329『貴族会に出てらっしゃいな』
「えっ、面倒だし行きたくないな」
『あらそう。じゃあアザミくんのパートナーはお姉ちゃんに頼もうかしらね』
「それ、先に言ってよ!?」
母が言うには、月末の貴族会にアザミくんのご両親が呼ばれているけれど、都合が悪いらしい。それで家長代理としてアザミくんが出るけど、パートナーが必要だからって、あたしに声をかけた。
『アザミくんから聞いてない?』
「……聞いてない。あたしから聞いてみる」
そういうことなら、アザミくんがあたし以外を誘うなんてことないと思うんだけど。ちょっともやもやしつつ、アザミくんに電話する。
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DOODLE #mirmプラス #mirm夢azm/幼馴染/付き合ってる/捏造しかない/直接表現はないけど、匂わせている/微エロ
どうか、腕の中で 目を覚ますと、腕の中で幼馴染が眠っていた。そっと抱え直すと、小さく名前を呼ばれる。起きたかと思ったが、すぐに寝息が聞こえたから、寝ぼけていただけなのだろう。
昨晩は牙隊の飲み会だった。新人歓迎会の名目ではあったが、実際には飲みたい連中が開催しただけの飲み会。
私が居ると盛り上がりづらいという配慮、という言い訳で、一次会が終わるとすぐに引き上げてきた。
本当は、家で彼女を待たせていたので、早く帰りたかっただけだ。彼女は、私の家に一人でいるのを好まない。
案の定、帰宅すると彼女は飛びついてきた。腕の中に入れておけば安心できるのは、きっとお互い様なのだろう。
そのとき、指輪を買いに行きたいと言われた。家族向けの官舎が空いてからと考えていたが、欲しいのなら用意しない理由はなかった。
2228昨晩は牙隊の飲み会だった。新人歓迎会の名目ではあったが、実際には飲みたい連中が開催しただけの飲み会。
私が居ると盛り上がりづらいという配慮、という言い訳で、一次会が終わるとすぐに引き上げてきた。
本当は、家で彼女を待たせていたので、早く帰りたかっただけだ。彼女は、私の家に一人でいるのを好まない。
案の定、帰宅すると彼女は飛びついてきた。腕の中に入れておけば安心できるのは、きっとお互い様なのだろう。
そのとき、指輪を買いに行きたいと言われた。家族向けの官舎が空いてからと考えていたが、欲しいのなら用意しない理由はなかった。
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DOODLE #mirmプラス #mirm夢azm/付き合ってる/幼馴染み/ねつ造しかない/甘い/とっても甘い
ぐだぐだ甘える話が書きたかった
今夜のあなたはお酒の匂いがする 春の終わりの週末。あたしは一人でアザミくんの家にいた。
「寂しいなー。まだかなー」
今夜は牙隊が飲み会をしていた。少し前の爪隊の飲み会のときにアザミくんが牽制のために迎えに来た。あたしも迎えに行きたかったけど、「遅くなるから家で待っていろ」って言われて、こうしてアザミくんの家で時間をつぶしている。
仕事を終えて、寮でシャワーを浴びて着替えて、ごはんも済ませてから来た。
……アザミくんの家に一人でいたくなかった。アザミくんの家の合鍵は、もともとずっと持ってたけど、使うのは初めて。
「寂しいなー……」
ここは、アザミくんの家だ。アザミくんが「いいよ」ってドアを開けてくれて、初めてあたしの居場所になる。
2256「寂しいなー。まだかなー」
今夜は牙隊が飲み会をしていた。少し前の爪隊の飲み会のときにアザミくんが牽制のために迎えに来た。あたしも迎えに行きたかったけど、「遅くなるから家で待っていろ」って言われて、こうしてアザミくんの家で時間をつぶしている。
仕事を終えて、寮でシャワーを浴びて着替えて、ごはんも済ませてから来た。
……アザミくんの家に一人でいたくなかった。アザミくんの家の合鍵は、もともとずっと持ってたけど、使うのは初めて。
「寂しいなー……」
ここは、アザミくんの家だ。アザミくんが「いいよ」ってドアを開けてくれて、初めてあたしの居場所になる。
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DOODLE #mirmプラスazm/幼馴染/付き合ってる/モブ有り/捏造しかない
甘いです
並んで撮って、今も、これからも その日の仕事を終えて、寮の食堂に行くと、同期とその先輩が盛り上がっていた。
「何見てるの?」
トレーを持って同期の隣に座り、覗き込むとアルバムだった。
「これ、実家から送ってきたんだ。バビルスにいたときのアルバム」
そこには制服姿の先輩が笑顔で写っている。同期が一枚の写真を指差す。
「これ、何してるんですか?」
「一年の時の収穫祭だね」
「収穫祭?」
同期はレビアロン卒だから、バビルスの行事が珍しいみたい。ごはんを食べながら一緒に見ていると、見覚えのある顔を見つけた。
「……これって」
「あ、気づいた? アミィ大佐。学年が二つ上なんだよね」
アザミくんの写真は何枚かある。たくさんの女の子に囲まれているものがほとんど。一枚だけ一人で写っているのもある。……これ、本人の許可取ってなさそう。
2320「何見てるの?」
トレーを持って同期の隣に座り、覗き込むとアルバムだった。
「これ、実家から送ってきたんだ。バビルスにいたときのアルバム」
そこには制服姿の先輩が笑顔で写っている。同期が一枚の写真を指差す。
「これ、何してるんですか?」
「一年の時の収穫祭だね」
「収穫祭?」
同期はレビアロン卒だから、バビルスの行事が珍しいみたい。ごはんを食べながら一緒に見ていると、見覚えのある顔を見つけた。
「……これって」
「あ、気づいた? アミィ大佐。学年が二つ上なんだよね」
アザミくんの写真は何枚かある。たくさんの女の子に囲まれているものがほとんど。一枚だけ一人で写っているのもある。……これ、本人の許可取ってなさそう。
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DOODLE #mirmプラス #mirm夢azm/付き合ってる/幼馴染/モブ有/捏造しかない
続き物だけど、これだけで読めるように頑張りましたが、ダメでした。
ハチャメチャに甘やかされている自覚は、ある 今夜は爪隊の新人歓迎会、なんて名ばかりの飲み会!
下っぱのあたしは下座で、飲み物を頼んだりお皿を回したりしている。隣にはバディを組んでいる准尉。中堅の先輩なのに、なんでこんな隅っこに?
「准尉、なんでこんな端っこにいるんですか?」
「うるせえ中に混ざりたくないから。あとお前のダーリンからよろしく言われてるから」
「アザミく……アミィ様にですか?」
「そ。なんなの、アザミ様。過保護?」
「過保護ですかね? 甘いのはそうなんですけど」
「上官と後輩ののろけとか聞きたくねえな……」
そう言いながら、准尉はグラスや皿を片付けてくれる。
メインの肉料理もほぼ無くなり、ごはんものを配ったころ、准尉とあたしの間に先輩が来た。
1392下っぱのあたしは下座で、飲み物を頼んだりお皿を回したりしている。隣にはバディを組んでいる准尉。中堅の先輩なのに、なんでこんな隅っこに?
「准尉、なんでこんな端っこにいるんですか?」
「うるせえ中に混ざりたくないから。あとお前のダーリンからよろしく言われてるから」
「アザミく……アミィ様にですか?」
「そ。なんなの、アザミ様。過保護?」
「過保護ですかね? 甘いのはそうなんですけど」
「上官と後輩ののろけとか聞きたくねえな……」
そう言いながら、准尉はグラスや皿を片付けてくれる。
メインの肉料理もほぼ無くなり、ごはんものを配ったころ、准尉とあたしの間に先輩が来た。
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DOODLE #mirm夢azm夢/azm視点/幼馴染/付き合ってる/甘〜い/モブ有
すり減るあの子に注ぐ 四月も後半のある日。私、アミィ・アザミは書類を手に爪隊の執務室へ向った。
「キマリスはいるか?」
「いるよー」
部屋の奥でヒラヒラと手を振るキマリスに、書類を渡す。
室内に幼馴染の彼女の姿はなかった。定時も近いため、いるものと思ったが。
「先日、バビルスから受け入れた研修生の成績だ。座学は問題ないが、体力に難がある」
「レビアロンとジャポカも同じだね。今年はそういう傾向なのかな。基礎訓練に体力増強のメニューを追加しようか……」
研修生の成績を広げて相談していると、執務室の扉がガラガラと開き、彼女が入ってきた。――顔色は蒼白で、口はへの字に歪み、肩を落として背中を丸めている。おまけに、その背後には爪隊の若手が付きまとい、「話聞くよ? 飯奢るからさ」「もうあんな奴のところに行かなくていいようにキマリス様に言おうか?」「大変だったよね」としきりに言い立てている。
2680「キマリスはいるか?」
「いるよー」
部屋の奥でヒラヒラと手を振るキマリスに、書類を渡す。
室内に幼馴染の彼女の姿はなかった。定時も近いため、いるものと思ったが。
「先日、バビルスから受け入れた研修生の成績だ。座学は問題ないが、体力に難がある」
「レビアロンとジャポカも同じだね。今年はそういう傾向なのかな。基礎訓練に体力増強のメニューを追加しようか……」
研修生の成績を広げて相談していると、執務室の扉がガラガラと開き、彼女が入ってきた。――顔色は蒼白で、口はへの字に歪み、肩を落として背中を丸めている。おまけに、その背後には爪隊の若手が付きまとい、「話聞くよ? 飯奢るからさ」「もうあんな奴のところに行かなくていいようにキマリス様に言おうか?」「大変だったよね」としきりに言い立てている。
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DOODLEazm/幼馴染/付き合ってる捏造しかない/甘〜い/モブ有
繁忙期の充電係 四月はとにかく忙しい。爪隊も牙隊もいつも慌ただしいけど、四月は群を抜いている。
新人や研修生の受け入れ、お役所的手続き、春に盛って暴れる魔獣や悪魔の制圧、要人警固任務の増加……。あたしはペーペーだから、言われた仕事を走り回ってこなすだけ。
でも、責任のある立場の悪魔は違う。
キマリス様の顔色は日に日に悪くなるし、アザミくんの眉間のシワもどんどん深くなる。
「アミィ大佐、お疲れ様です」
「……ああ」
たまに廊下ですれ違っても、アザミくんは険しい顔で軽く頷くだけで、早足で歩いて行っちゃう。
ここしばらく、アザミくんの家に行ってない。たぶん、あたしだけじゃなくてアザミくん自身も帰ってない。署内の仮眠室を使っているかどうかも怪しい。 シャワーは浴びてるみたい。たまに髪が濡れてるし。
2430新人や研修生の受け入れ、お役所的手続き、春に盛って暴れる魔獣や悪魔の制圧、要人警固任務の増加……。あたしはペーペーだから、言われた仕事を走り回ってこなすだけ。
でも、責任のある立場の悪魔は違う。
キマリス様の顔色は日に日に悪くなるし、アザミくんの眉間のシワもどんどん深くなる。
「アミィ大佐、お疲れ様です」
「……ああ」
たまに廊下ですれ違っても、アザミくんは険しい顔で軽く頷くだけで、早足で歩いて行っちゃう。
ここしばらく、アザミくんの家に行ってない。たぶん、あたしだけじゃなくてアザミくん自身も帰ってない。署内の仮眠室を使っているかどうかも怪しい。 シャワーは浴びてるみたい。たまに髪が濡れてるし。
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DOODLEみんなの前の顔、あなたの前の顔 四月後半のある日。
牙隊の新人と若手を連れ、私、アミィ・アザミは魔関署の隅の道場へ向かった。
道場では爪隊が訓練中で、中央には汗ひとつかいていないキマリスが微笑んでいる。
「あ、アミィくん。そろそろ時間?」
「いや、まだいい。ちょうどいいから見学させてもらう」
「わかった。あとちょっとで終わるよ」
キマリスの周囲には、爪隊の隊員が倒れて散らばっていた。
その内の一人の女悪魔――私の幼馴染が新人の面倒を見ている。
「キマリス様相手によく粘ったねー」
「でも全然敵いませんでした……」
「そりゃそうだ。爪隊大佐は伊達じゃないよ」
彼女はニコニコと新人の怪我を治している。
言いたいことは山ほどあるが、すべてを飲み込み、目を逸らす。
2565牙隊の新人と若手を連れ、私、アミィ・アザミは魔関署の隅の道場へ向かった。
道場では爪隊が訓練中で、中央には汗ひとつかいていないキマリスが微笑んでいる。
「あ、アミィくん。そろそろ時間?」
「いや、まだいい。ちょうどいいから見学させてもらう」
「わかった。あとちょっとで終わるよ」
キマリスの周囲には、爪隊の隊員が倒れて散らばっていた。
その内の一人の女悪魔――私の幼馴染が新人の面倒を見ている。
「キマリス様相手によく粘ったねー」
「でも全然敵いませんでした……」
「そりゃそうだ。爪隊大佐は伊達じゃないよ」
彼女はニコニコと新人の怪我を治している。
言いたいことは山ほどあるが、すべてを飲み込み、目を逸らす。
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DOODLE #mirmプラスazmと年下幼馴染🌸の話
めちゃくちゃ甘やかされてえな!!つって書いたものの、メフィとはまた違うほうに行きました。なんだろうね。
溶かされたのは、なに 休みの日の昼。ぼんやりとベッドから起き上がろうとしたとき、ス魔ホが鳴った。
『もしもしアザミくん!? 今日休み?』
「休みだが、来るな」
『今から行くね。愛してる』
「だから来るなと――切れた……」
ため息をついても無駄だ。昔からこっちの話をまったくなん聞かない年下の幼馴染だ。
どうして私はアレを好きになってしまったのだろう。アレの『愛してる』は、口先だけで、付き合ってすらいないのに。
寝直したい気持ちを抑え、起き上がる。身支度を終えて洗面所から廊下に出たところで呼び鈴が鳴った。
「こんにちは! お昼ごはん買ってきたよ!」
「はー、これだから。まあいい。上がれ」
「ありがとー」
ヤツは満面の笑みでズカズカと上がる。図々しいが、実家にいた頃からこうだし、たぶん死ぬまで変わらない。
1935『もしもしアザミくん!? 今日休み?』
「休みだが、来るな」
『今から行くね。愛してる』
「だから来るなと――切れた……」
ため息をついても無駄だ。昔からこっちの話をまったくなん聞かない年下の幼馴染だ。
どうして私はアレを好きになってしまったのだろう。アレの『愛してる』は、口先だけで、付き合ってすらいないのに。
寝直したい気持ちを抑え、起き上がる。身支度を終えて洗面所から廊下に出たところで呼び鈴が鳴った。
「こんにちは! お昼ごはん買ってきたよ!」
「はー、これだから。まあいい。上がれ」
「ありがとー」
ヤツは満面の笑みでズカズカと上がる。図々しいが、実家にいた頃からこうだし、たぶん死ぬまで変わらない。
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DOODLE #mirmプラスmfstと機嫌の悪い彼女🌸の話
めちゃくちゃ甘やかされるやつが読みてえな!つって書いたものの、普通に下品です。すみません。
俺の可愛い娘は、怒らせるともっと可愛い「うっわ、びっくりした」
俺、メフィストが帰宅してリビングの灯りをつけたら、ソファに女悪魔が突っ伏していた。
「……なんだ、君か。あ、魔イン来てたのか。ごめん、飛んでて気付かなかった」
「ん……」
ソファの横に座って覗き込んでも彼女――俺のかわいいかわいい女の子は顔を上げない。
改めて魔インを見ると、
『悪周期に入りそうなくらい疲れたから会いに行く。癒やしてね、ハニー』
と書かれていた。
「じゃあ疲れたダーリンに特別なお酒でも出そうか?」
「いらない。甘やかして」
やっと顔を上げた彼女は地獄の底みたいな声を出した。
「お酒より?」
「もちろん」
「ゴム無しでいい?」
「引っ叩くよ。そもそもメフィストに生殖機能ないんだからゴムとか使ったことないじゃん」
1564俺、メフィストが帰宅してリビングの灯りをつけたら、ソファに女悪魔が突っ伏していた。
「……なんだ、君か。あ、魔イン来てたのか。ごめん、飛んでて気付かなかった」
「ん……」
ソファの横に座って覗き込んでも彼女――俺のかわいいかわいい女の子は顔を上げない。
改めて魔インを見ると、
『悪周期に入りそうなくらい疲れたから会いに行く。癒やしてね、ハニー』
と書かれていた。
「じゃあ疲れたダーリンに特別なお酒でも出そうか?」
「いらない。甘やかして」
やっと顔を上げた彼女は地獄の底みたいな声を出した。
「お酒より?」
「もちろん」
「ゴム無しでいい?」
「引っ叩くよ。そもそもメフィストに生殖機能ないんだからゴムとか使ったことないじゃん」
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DONE #mirmプラスmfstと秘書🌸で映画を観る話
2/28気が合うってそういうことだ「そういうわけで、今夜はこれを観ます」
金曜日の夜。ごはんを終えたあとにメフィスト様が取り出したのは、最近人気の映画だった。
R18で、放送ギリギリのえっちなシーンが話題になっている。
「これを観て、気分を盛り上げてから寝室になだれ込みます」
「……はあ」
相変わらずバカなことを考えるんだなと思いつつ、言い出したら聞かないので言われたとおりに先に風呂を済ませる。
ソファに並んで座って、いざ再生!
「……おおう」
しょっぱなから、なかなかえっちだ。私の腰にメフィスト様の腕が回されて引き寄せられる。
「……ん?」
けど、なんか、こう? えっちなんだけど、それだけじゃない。登場悪魔がたまに意味深な動きをするから気になって目が離せない。
894金曜日の夜。ごはんを終えたあとにメフィスト様が取り出したのは、最近人気の映画だった。
R18で、放送ギリギリのえっちなシーンが話題になっている。
「これを観て、気分を盛り上げてから寝室になだれ込みます」
「……はあ」
相変わらずバカなことを考えるんだなと思いつつ、言い出したら聞かないので言われたとおりに先に風呂を済ませる。
ソファに並んで座って、いざ再生!
「……おおう」
しょっぱなから、なかなかえっちだ。私の腰にメフィスト様の腕が回されて引き寄せられる。
「……ん?」
けど、なんか、こう? えっちなんだけど、それだけじゃない。登場悪魔がたまに意味深な動きをするから気になって目が離せない。
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DONE #mirmプラスmfstと秘書🌸と隙を見られる話
2/27たまに見せる隙がかわいい「ふんふふんふふーん」
最近ずいぶん暖かくなってきて、家事がはかどる。とーってもはかどる。
「ふふふーん」
家中のホコリをはたいたり、天気がいいからカーテンや絨毯の大物を掃除しちゃうし、玄関とかベランダに水も流す。
「ふふふん」
あとはどこを掃除しようかなー。台所は明日一日ガッツリ時間をかけたいし……。
「たったらったたー」
鼻歌交じりで掃除道具の手入れをする。まだ日が高いし庭の手入れでもしてこようか。魔草を集めて干してもいい。
「よし、気分がいいうちに庭に行こう!」
そう独りごちて振り向いたら――メフィスト様がいた。
「え、わ、えっ……あの、いつから?」
「け、けっこう、まえ」
メフィスト様は口元を押さえて肩を震わせている。
881最近ずいぶん暖かくなってきて、家事がはかどる。とーってもはかどる。
「ふふふーん」
家中のホコリをはたいたり、天気がいいからカーテンや絨毯の大物を掃除しちゃうし、玄関とかベランダに水も流す。
「ふふふん」
あとはどこを掃除しようかなー。台所は明日一日ガッツリ時間をかけたいし……。
「たったらったたー」
鼻歌交じりで掃除道具の手入れをする。まだ日が高いし庭の手入れでもしてこようか。魔草を集めて干してもいい。
「よし、気分がいいうちに庭に行こう!」
そう独りごちて振り向いたら――メフィスト様がいた。
「え、わ、えっ……あの、いつから?」
「け、けっこう、まえ」
メフィスト様は口元を押さえて肩を震わせている。
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DONE #mirmプラスmfstと秘書🌸とリップクリームの話
2/26潤いを移す その朝、先に起きようとしたらメフィスト様がしがみついてくる。いつものことなので、引き剥がして起きつつキスをしたら、めちゃくちゃ痛かった。
「いったあ」
「ん……、どしたの」
思わずつぶやいてしまい、メフィスト様が起きてしまった。
「あ、すいません。その、キスしたら何か痛くて」
「え」
いつもはなかなか起きてこないメフィスト様がパッと起き上がる。
「なんで、どうして」
「そんなに慌てなくても。たぶん、メフィスト様の唇が荒れてるんですね」
メフィスト様は指で自分の唇を触って顔をしかめる。
「――ほんとだ」
「リップクリームってお持ちじゃないですよね。じゃあ、今は私のをお貸ししますね」
ベッドサイドに置いてあるリップクリームを手に取り、メフィスト様の頬に手を添える。
869「いったあ」
「ん……、どしたの」
思わずつぶやいてしまい、メフィスト様が起きてしまった。
「あ、すいません。その、キスしたら何か痛くて」
「え」
いつもはなかなか起きてこないメフィスト様がパッと起き上がる。
「なんで、どうして」
「そんなに慌てなくても。たぶん、メフィスト様の唇が荒れてるんですね」
メフィスト様は指で自分の唇を触って顔をしかめる。
「――ほんとだ」
「リップクリームってお持ちじゃないですよね。じゃあ、今は私のをお貸ししますね」
ベッドサイドに置いてあるリップクリームを手に取り、メフィスト様の頬に手を添える。
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DONE #mirmプラス帰ってこないmfstを待つ秘書🌸の話
2/25寂しさを埋める 今夜はメフィスト様がいない。13冠の集いのためにバベルに行っている。
ついていかなかったのは、他にも仕事が溜まっていたからだけど、こんなに遅くなるなら無理にでもついて行けば良かった。
夜ごはんを終えて、片付けも済ませた。それから30分おきに玄関へ行き、日付が変わる頃には諦めて玄関に座り込んでいる。
……この屋敷に一人でいることはあっても、こんな遅い時間まで一人きりなのは初めてだ。
寂しいし、不安がつのる。もちろんメフィスト様が帰ってこないとは思わないけど、事故とかトラブルとか、そういうことを考え出したらキリがない。
――外から、羽の音がした。急いでドアを開けるとメフィスト様がちょうど着地したところで。
881ついていかなかったのは、他にも仕事が溜まっていたからだけど、こんなに遅くなるなら無理にでもついて行けば良かった。
夜ごはんを終えて、片付けも済ませた。それから30分おきに玄関へ行き、日付が変わる頃には諦めて玄関に座り込んでいる。
……この屋敷に一人でいることはあっても、こんな遅い時間まで一人きりなのは初めてだ。
寂しいし、不安がつのる。もちろんメフィスト様が帰ってこないとは思わないけど、事故とかトラブルとか、そういうことを考え出したらキリがない。
――外から、羽の音がした。急いでドアを開けるとメフィスト様がちょうど着地したところで。
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DONE #mirmプラスmfstと秘書🌸となくなったアクセサリーの話
2/24無限に菓子を食べさせたくなる 風呂上りに厨房に行くと、秘書がカウンターの下に潜っていた。
「なにしてるのさ」
「メフィストさまぁ」
声をかけると、メソメソしながら出てきた秘書の顔はいつもとは違って悲しそうだ。
「どしたの」
「メフィスト様にもらったピアスが一個どっかいっちゃって」
よれよれしながら擦り寄ってきて、珍しいしかわいい。
俺があげたものを一つ無くしたくらいで、そんなにしょげなくても。
「また買ってくるよ」
「そういう問題じゃないんです! 気に入ってずっと着けてた、あれがいいんです!!」
かわいいことを言う。
どうやら、ずっと着けていたらピアスのキャッチャーが緩くなっていて、いつの間にか外れていたらしい。
「昼ごはんの後にはあったんです。それに今日は家を出ていないので、絶対にどこかにあるはずなんですよ」
864「なにしてるのさ」
「メフィストさまぁ」
声をかけると、メソメソしながら出てきた秘書の顔はいつもとは違って悲しそうだ。
「どしたの」
「メフィスト様にもらったピアスが一個どっかいっちゃって」
よれよれしながら擦り寄ってきて、珍しいしかわいい。
俺があげたものを一つ無くしたくらいで、そんなにしょげなくても。
「また買ってくるよ」
「そういう問題じゃないんです! 気に入ってずっと着けてた、あれがいいんです!!」
かわいいことを言う。
どうやら、ずっと着けていたらピアスのキャッチャーが緩くなっていて、いつの間にか外れていたらしい。
「昼ごはんの後にはあったんです。それに今日は家を出ていないので、絶対にどこかにあるはずなんですよ」
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DONE #mirmプラスmfstと秘書🌸と魔茶をいれる話
魔王の側近なら茶をいれるくらいするかなってことで
おサリがdrkrのためにいれたコーヒーに文句を言いながらおかわりするprちゃん様はいたと思ってるよ。
2/23茶葉が踊る「いつもコーヒーを淹れてもらってばかりだから、今朝は俺が用意します」
ある朝、食事を終えて片付けているとメフィスト様が、そう宣言した。
「そうですか?」
「魔茶の方が好きだよね。そっちにしようか」
「ありがとうございます」
メフィスト様が食器を積んだワゴンを押して食堂を出て行くので、慌ててついて行く。
「茶葉ってどこ?」
「こちらに。んー、じゃあ、これでお願いします」
茶葉とポット、カップ、ヤカンを出してカウンターに並べる。
私は朝ごはんの片付けだ。
……道具だけ渡したけど、大丈夫かな。いやいや、元は歴代魔王の補佐をされていたのだから、魔茶くらい淹れられるでしょ。
そわそわしながら皿を洗い、クロスを洗って干して、食堂のテーブルを拭いて戻ってきたら、メフィスト様が満面の笑みで待ち構えていた。
849ある朝、食事を終えて片付けているとメフィスト様が、そう宣言した。
「そうですか?」
「魔茶の方が好きだよね。そっちにしようか」
「ありがとうございます」
メフィスト様が食器を積んだワゴンを押して食堂を出て行くので、慌ててついて行く。
「茶葉ってどこ?」
「こちらに。んー、じゃあ、これでお願いします」
茶葉とポット、カップ、ヤカンを出してカウンターに並べる。
私は朝ごはんの片付けだ。
……道具だけ渡したけど、大丈夫かな。いやいや、元は歴代魔王の補佐をされていたのだから、魔茶くらい淹れられるでしょ。
そわそわしながら皿を洗い、クロスを洗って干して、食堂のテーブルを拭いて戻ってきたら、メフィスト様が満面の笑みで待ち構えていた。
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DONE #mirmプラスmfstと秘書🌸のアルバムの話
猫の日なのを忘れてたので、猫要素皆無です
2/22君の過去をなぞる ある日の夕方、秘書が荷物を受け取っていたので手元を覗き込む。
「それは?」
「実家からですね。なんだろうなあ」
彼女は箱を抱えてリビングに運びこむと、適当に開ける。中には紙束? 本? が詰まっている。
「あー、古いアルバムですね。そういえば、なんか連絡がきてました」
彼女がス魔ホをポチポチしている間に、勝手に中のアルバムを取り出す。
パラパラと捲ると小さな女の子がアイスをこぼして泣いている。
「――これ、君?」
「そうです。いつのかなあ」
彼女曰く、実家の大掃除をしたら出てきたから送ってきたと言うことだ。
「これが、たぶん最初かな? まだ羽が出せなくて、尻尾もしまえてないですね」
「かわいい……」
「赤ん坊ならそんなものでは? こっちは近所の公園かな」
997「それは?」
「実家からですね。なんだろうなあ」
彼女は箱を抱えてリビングに運びこむと、適当に開ける。中には紙束? 本? が詰まっている。
「あー、古いアルバムですね。そういえば、なんか連絡がきてました」
彼女がス魔ホをポチポチしている間に、勝手に中のアルバムを取り出す。
パラパラと捲ると小さな女の子がアイスをこぼして泣いている。
「――これ、君?」
「そうです。いつのかなあ」
彼女曰く、実家の大掃除をしたら出てきたから送ってきたと言うことだ。
「これが、たぶん最初かな? まだ羽が出せなくて、尻尾もしまえてないですね」
「かわいい……」
「赤ん坊ならそんなものでは? こっちは近所の公園かな」
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DOODLE #mirmプラスazm大佐と部下🌸が喧嘩→仲直りするまでの話です。
リクエスト、ありがとうございました!
次がないように、首輪のサイズを知りたい その日の仕事を終え、ス魔ホを見る。
……業後、魔インの通知が途絶えて一週間が経つ。
始まりは些細なことだったはずだ。
きっかけは、付き合って一年ほどになる彼女が研修生の教育係に任命されたことだった。
「アザミさんに教わったみたいに、私も頑張りますね」
「ああ」
念子の様にすり寄る彼女を撫で、送り出したのがひと月ほど前。
彼女は実技と座学の指導に熱心で、研修生からの評判も良かった。
魔関署に女悪魔は少ない。そのため、若いうちに教育係に選ばれたが、そのせいで研修生に頼られやすい。
――舐められやすいということだ。
研修後、教室に残り明日の準備をしていた彼女を迎えに行き、つい余計なことを言ってしまった。
2948……業後、魔インの通知が途絶えて一週間が経つ。
始まりは些細なことだったはずだ。
きっかけは、付き合って一年ほどになる彼女が研修生の教育係に任命されたことだった。
「アザミさんに教わったみたいに、私も頑張りますね」
「ああ」
念子の様にすり寄る彼女を撫で、送り出したのがひと月ほど前。
彼女は実技と座学の指導に熱心で、研修生からの評判も良かった。
魔関署に女悪魔は少ない。そのため、若いうちに教育係に選ばれたが、そのせいで研修生に頼られやすい。
――舐められやすいということだ。
研修後、教室に残り明日の準備をしていた彼女を迎えに行き、つい余計なことを言ってしまった。
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DONE #mirmプラスmfstと秘書🌸で愛してるゲームをリベンジする話
2/21何度だって愛してる ある日ののどかな昼時。食器をワゴンに積んでいたら、コーヒーを飲んでいたメフィスト様がパッと顔を上げた。
「愛してるゲームのリベンジがしたい」
「愛してますよ、メフィスト様」
「不意打ち!!」
メフィスト様が口を尖らせて目を逸らした。弱すぎると思う。
ランチョンマットを畳んで、カトラリーを回収する。メフィスト様のコーヒーカップを待とうかどうしようか。
――と、メフィスト様が立ち上がり、机の上に上半身を押し倒された。
「愛してる」
「存じております」
メフィスト様の胸ぐらを掴んで口付ける。離れた瞬間に「わたくしも愛しておりますよ」と、囁く。
「ズルいでしょ、それは」
そう言ってメフィスト様はフラフラと壁にもたれかかった。
911「愛してるゲームのリベンジがしたい」
「愛してますよ、メフィスト様」
「不意打ち!!」
メフィスト様が口を尖らせて目を逸らした。弱すぎると思う。
ランチョンマットを畳んで、カトラリーを回収する。メフィスト様のコーヒーカップを待とうかどうしようか。
――と、メフィスト様が立ち上がり、机の上に上半身を押し倒された。
「愛してる」
「存じております」
メフィスト様の胸ぐらを掴んで口付ける。離れた瞬間に「わたくしも愛しておりますよ」と、囁く。
「ズルいでしょ、それは」
そう言ってメフィスト様はフラフラと壁にもたれかかった。
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DONE #mirmプラスmfstと秘書🌸とぬいの話
昨日の続きです。「俺の方がかわいい」ってメフィ様なら言うと思うわけですよ。
2/20それが、人形だとしても、だ「なに、それ」
バビルスから出てきた彼女の肩に、謎の生き物――らしきものが乗っていた。
「これはメフィぬいです」
「メフィぬい?」
ドヤっとした彼女は可愛かったけど、肩に乗っているそいつまでドヤ顔でこちらを見ている。――なんだ、こいつ。
「――と、言うわけでして。私が魔力を込めたらメフィスト様の姿になりました」
「君が考える俺が、こんな感じってこと? ……なるほど」
指でそいつを突こうとしたら、小さい手で叩かれた。
「捨ててくる」
つまみ上げたら、素早く取り返される。
「な、ダメですよ! こんなにかわいいのに!」
「俺の方がかわいいでしょうが!」
彼女は「なに言ってるんですか」と、呆れた顔で家の方へ歩き出す。肩に乗るぬいぐるみが、やっぱりドヤ顔で振り返ってきて、腹立たしい。
957バビルスから出てきた彼女の肩に、謎の生き物――らしきものが乗っていた。
「これはメフィぬいです」
「メフィぬい?」
ドヤっとした彼女は可愛かったけど、肩に乗っているそいつまでドヤ顔でこちらを見ている。――なんだ、こいつ。
「――と、言うわけでして。私が魔力を込めたらメフィスト様の姿になりました」
「君が考える俺が、こんな感じってこと? ……なるほど」
指でそいつを突こうとしたら、小さい手で叩かれた。
「捨ててくる」
つまみ上げたら、素早く取り返される。
「な、ダメですよ! こんなにかわいいのに!」
「俺の方がかわいいでしょうが!」
彼女は「なに言ってるんですか」と、呆れた顔で家の方へ歩き出す。肩に乗るぬいぐるみが、やっぱりドヤ顔で振り返ってきて、腹立たしい。
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DONE #mirmプラスmfst秘書🌸とぬいの話。
メフィ様ぬいを作ったらめちゃくちゃかわいくてテンション上がったので書きました。メフィ様出てこないです。
明日、メフィ様サイドの話を書きます。
2/19手のひらのあなた「パイセーン、こっち、こっちぃ!」
クララちゃんに手を引かれて、私がやって来たのは魔具研の師団室だった。
中に入るとイルマくんとアスモデウスくんもいる。
「見てこれ、かわいいっしょ!!」
「……これは、イルマくんとアスモデウスくん、かな?」
クララちゃんの手の上にはス魔ホと同じくらいの、人形?みたいなものが二体立っていた。イルマくんとアスモデウスくんにそっくりだ。
「そう! これはマチぬいとアズぬい!」
「ぬい?」
「これです」
イルマくんが出してきてくれたのは顔も服もない、まっさらなぬいぐるみだ。アスモデウスくんが手に取ると、途端にクララちゃんそっくりになる。
「このぬいぐるみに魔力を込めると、その時に思う相手の姿になるのです」
983クララちゃんに手を引かれて、私がやって来たのは魔具研の師団室だった。
中に入るとイルマくんとアスモデウスくんもいる。
「見てこれ、かわいいっしょ!!」
「……これは、イルマくんとアスモデウスくん、かな?」
クララちゃんの手の上にはス魔ホと同じくらいの、人形?みたいなものが二体立っていた。イルマくんとアスモデウスくんにそっくりだ。
「そう! これはマチぬいとアズぬい!」
「ぬい?」
「これです」
イルマくんが出してきてくれたのは顔も服もない、まっさらなぬいぐるみだ。アスモデウスくんが手に取ると、途端にクララちゃんそっくりになる。
「このぬいぐるみに魔力を込めると、その時に思う相手の姿になるのです」
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DONE #mirmプラスmfstと犬の話。念子がいるなら、犬もいると思うけど、出てこないね。
2/17犬と悪魔と怖い悪魔 メフィスト様とバベルの帰りに、公園を散歩していたら使い魔らしき犬を散歩させている悪魔がたくさんいた。
夜もわりと遅い時間だけど、ちょうど夜の散歩の時間らしくて、思ったりよりもたくさんの悪魔が歩いているし、みんな犬を連れている。
「犬は好き?」
メフィスト様も同じようなことを考えてらしたのか、すれ違う犬を眺めながら言う。
「好きでも嫌いでもないですけど、好かれないです」
「ああ、犬が好きそうな雰囲気じゃないからね」
「犬が好きそうな雰囲気?」
「ちなみに俺は勝手にシンパシーを感じているけれど、やっぱり好かれない」
「……怖いですからね」
そう言うとメフィスト様は目を丸くした。
「俺、怖い?」
「何を考えているのか、犬目線でわかりにくいというか。あと体が大きくて上からくるから怖いと思いますよ」
935夜もわりと遅い時間だけど、ちょうど夜の散歩の時間らしくて、思ったりよりもたくさんの悪魔が歩いているし、みんな犬を連れている。
「犬は好き?」
メフィスト様も同じようなことを考えてらしたのか、すれ違う犬を眺めながら言う。
「好きでも嫌いでもないですけど、好かれないです」
「ああ、犬が好きそうな雰囲気じゃないからね」
「犬が好きそうな雰囲気?」
「ちなみに俺は勝手にシンパシーを感じているけれど、やっぱり好かれない」
「……怖いですからね」
そう言うとメフィスト様は目を丸くした。
「俺、怖い?」
「何を考えているのか、犬目線でわかりにくいというか。あと体が大きくて上からくるから怖いと思いますよ」
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DOODLE #mirmプラスmfstがカッコつけようとしたら🌸の方がカッコ良かった話
2/16俺のかわいい娘は、たまにやたらとカッコイイ ある日、秘書と共に管轄領地内に新しくできた施設の視察に行った。
視察に行くことは事前に通達してあったので、着いたらすぐに責任者が出てきて案内をしてくれる。
通路を歩いていたら、突然目つきのおかしい悪魔が飛び出してきた。
「お前が! お前のせいで!!」
怒鳴りながら手をこちらに向ける。バチバチと魔力が弾けるような音がした。
「っ」
咄嗟に秘書を庇おうとしたけど、ソイツは白目をむいて倒れてしまった。
「メフィスト様、お怪我はございませんか?」
後ろから涼しい声がする。
振り返ると秘書がいつもと変わらない澄ました顔で俺を見上げていた。
「君が、やったの?」
「はい。殺してはいません。あの、この方は警備に引き渡せばよろしいでしょうか」
866視察に行くことは事前に通達してあったので、着いたらすぐに責任者が出てきて案内をしてくれる。
通路を歩いていたら、突然目つきのおかしい悪魔が飛び出してきた。
「お前が! お前のせいで!!」
怒鳴りながら手をこちらに向ける。バチバチと魔力が弾けるような音がした。
「っ」
咄嗟に秘書を庇おうとしたけど、ソイツは白目をむいて倒れてしまった。
「メフィスト様、お怪我はございませんか?」
後ろから涼しい声がする。
振り返ると秘書がいつもと変わらない澄ました顔で俺を見上げていた。
「君が、やったの?」
「はい。殺してはいません。あの、この方は警備に引き渡せばよろしいでしょうか」
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DOODLE #mirmプラスmfstと秘書🌸とそういう服の話。
下ネタです。我ながらバカな話書いたなって思うけど、楽しかったです。かっこいいメフィ様はいない。
2/15そういう服の取り扱い「この間さ、やたらエッチな給仕服着ていたでしょう?」
「……はい」
休みの日の朝。主――メフィスト様がなんか言い出した。こんなに天気がいいのに、私の主は何を言っているんだろう。
「それで、俺も調べたんだよね。そういう服について」
いらんことを。
先に余計なことをしたのが私である手前、口には出さないけど、なんとなく何を言われるかお察しである。
「それで、最近下着のサイズが合わないって言っていたでしょう」
「言いましたねえ」
「なので、サイズの合う下着と併せて、そういう下着を買おうね」
「……はあ」
そっちかあ。エッチなコスプレ衣装を取り寄せたから、今日届くとかそういう話かと思ったら。
「乗り気じゃない?」
「いきなり話されて、テンションに付いていけないです」
929「……はい」
休みの日の朝。主――メフィスト様がなんか言い出した。こんなに天気がいいのに、私の主は何を言っているんだろう。
「それで、俺も調べたんだよね。そういう服について」
いらんことを。
先に余計なことをしたのが私である手前、口には出さないけど、なんとなく何を言われるかお察しである。
「それで、最近下着のサイズが合わないって言っていたでしょう」
「言いましたねえ」
「なので、サイズの合う下着と併せて、そういう下着を買おうね」
「……はあ」
そっちかあ。エッチなコスプレ衣装を取り寄せたから、今日届くとかそういう話かと思ったら。
「乗り気じゃない?」
「いきなり話されて、テンションに付いていけないです」
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DOODLE #mirmプラスfnrrとバレンタインの話。数日前にめちゃくちゃエモいフェンちゃんのイラストを見てしまい、描かれた方に許可をいただいて書きました。
フェンちゃんは強引であってほしいじゃないですか。
狼は獲物を逃さない はい、バレンタインですね。
魔関署にバレンタインなどない。嘘つきました。バレンタイン自体は存在する。
世間一般的な意味とは違って、魔関署的には仕事がひたすら増えるだけ……甘い雰囲気も彼ピとのキャッキャウフフもなんにもなく、ただただ殺伐とした事案が増えるだけの、鬼のような期間である。
――つまり男女のあれこれによるトラブルの頻発で生活安全課が炎上していた。
生活安全課の少佐から人手不足で泣きつかれた、私の上官であるアザミ大佐が、
「次の昇進試験のために他の課で働いてこい」
と言い、牙隊所属の私もお目付け役の先輩と共に応援に入っている。
まあ要するに火消しに研修の名目でぶち込まれたわけです。その分、先輩ともども考課へ加点してもらうことをアザミ様に約束させたからいいんですけど。
4215魔関署にバレンタインなどない。嘘つきました。バレンタイン自体は存在する。
世間一般的な意味とは違って、魔関署的には仕事がひたすら増えるだけ……甘い雰囲気も彼ピとのキャッキャウフフもなんにもなく、ただただ殺伐とした事案が増えるだけの、鬼のような期間である。
――つまり男女のあれこれによるトラブルの頻発で生活安全課が炎上していた。
生活安全課の少佐から人手不足で泣きつかれた、私の上官であるアザミ大佐が、
「次の昇進試験のために他の課で働いてこい」
と言い、牙隊所属の私もお目付け役の先輩と共に応援に入っている。
まあ要するに火消しに研修の名目でぶち込まれたわけです。その分、先輩ともども考課へ加点してもらうことをアザミ様に約束させたからいいんですけど。
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DOODLE #mirmプラスazm大佐とバレンタインの話。
前半azmさん出てこないです。
短気なのを部下が理解してたら嬉しいなって話。
後ろ手のチョコ「魔関にバレンタインとか、ねえんだよなあ」
「そうですねえ」
ぼやく先輩に相槌を打つ。
今日はバレンタインデーだ。皆のモノが浮かれている。けど、我々牙隊隊員一同はな〜んにも浮かれていない。何故か。
みんな大好き最強きゃわいいアクドル、くろむちゃんの魔苦針ドームバレンタインライブの警備に突っ込まれたからである。
私は准将である先輩と並んで関係者入り口に突っ立っていた。ドームの中からは盛大に盛り上がる声が響いている。
「でもよ、お前はダーリンにチョコレート渡すんだろ?」
「私のダーリン、そんな浮かれたイベントに付き合ってくれると思います?」
私のダーリン……牙隊大佐のアミィ・アザミはライブの警備に牙隊をという話が出た時点でハチャメチャに機嫌が悪かった。そもそもは警備の部署から悪魔を出す予定だったのが、ライブ宛てに爆破予告が届けられ、なにかあったときのためにと急遽割り振られたのである。
4310「そうですねえ」
ぼやく先輩に相槌を打つ。
今日はバレンタインデーだ。皆のモノが浮かれている。けど、我々牙隊隊員一同はな〜んにも浮かれていない。何故か。
みんな大好き最強きゃわいいアクドル、くろむちゃんの魔苦針ドームバレンタインライブの警備に突っ込まれたからである。
私は准将である先輩と並んで関係者入り口に突っ立っていた。ドームの中からは盛大に盛り上がる声が響いている。
「でもよ、お前はダーリンにチョコレート渡すんだろ?」
「私のダーリン、そんな浮かれたイベントに付き合ってくれると思います?」
私のダーリン……牙隊大佐のアミィ・アザミはライブの警備に牙隊をという話が出た時点でハチャメチャに機嫌が悪かった。そもそもは警備の部署から悪魔を出す予定だったのが、ライブ宛てに爆破予告が届けられ、なにかあったときのためにと急遽割り振られたのである。
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DONE #mirmプラスmfstと秘書🌸のバレンタインの話
メフィ様、めちゃくちゃチョコくれそうだよね。
2/14もらう分とあげた分は釣り合うだろうか 今日はバレンタインデー! ということで数日前からいくつかのチョコレートのお菓子を用意しておいた。おやつ時にコーヒーと一緒にお出しする予定だ。
昼過ぎ、コーヒーを淹れながら鼻歌まじりでガトーショコラを切り分ける。チョコレートプリンにココアを振って、ビスコッティを添える。生チョコは小さなグラスに盛り付ける。
「よし、完璧」
我ながら美しいデザートプレートができたと思う。あとはメフィスト様にお出しするだけ!!
――というタイミングで玄関の呼び鈴が鳴った。
厨房を出ると玄関から声が聞こえる。
「?」
メフィスト様が出た? 今までそんなことしたことないのに……?
首を傾げつつ玄関に向かうと、大きな箱を抱えたメフィスト様がニコニコしながら立っていた。
1502昼過ぎ、コーヒーを淹れながら鼻歌まじりでガトーショコラを切り分ける。チョコレートプリンにココアを振って、ビスコッティを添える。生チョコは小さなグラスに盛り付ける。
「よし、完璧」
我ながら美しいデザートプレートができたと思う。あとはメフィスト様にお出しするだけ!!
――というタイミングで玄関の呼び鈴が鳴った。
厨房を出ると玄関から声が聞こえる。
「?」
メフィスト様が出た? 今までそんなことしたことないのに……?
首を傾げつつ玄関に向かうと、大きな箱を抱えたメフィスト様がニコニコしながら立っていた。
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DONE #mirmプラスmfstと家のことを仕切っている秘書🌸の話。
SDってそういうことだよねっていう話です。
2/13貴方を作り上げているのは私の愛だ 朝、食事の用意をしていたらメフィスト様がパジャマのままやってきた。
「ねえ、こんなシャツあったっけ」
見せられたのは先日買ってきたシャツだ。他のシャツが汚れていたので買い換えたのだ。それを伝えるとメフィスト様は首を傾げた。
「もしかして、下着も買い換えた?」
「はい」
「昨日の風呂上りに、なんか違和感があったのだけど、そういうことか。……そっか」
何故かメフィスト様はちょっと肩を落としてしまった。
「あの、なにか大切な品などでしたか?」
「いや、そうじゃないよ。そうじゃなくて……。君に対してキメ顔で迫ってるときも、君に買ってもらって、君に洗ってもらった服を着てるんだよなって気付いちゃって」
「はあ」
ちなみに迫ったあとの布団を干すのもシーツを交換して洗っているのも私だけど黙っておこう。
953「ねえ、こんなシャツあったっけ」
見せられたのは先日買ってきたシャツだ。他のシャツが汚れていたので買い換えたのだ。それを伝えるとメフィスト様は首を傾げた。
「もしかして、下着も買い換えた?」
「はい」
「昨日の風呂上りに、なんか違和感があったのだけど、そういうことか。……そっか」
何故かメフィスト様はちょっと肩を落としてしまった。
「あの、なにか大切な品などでしたか?」
「いや、そうじゃないよ。そうじゃなくて……。君に対してキメ顔で迫ってるときも、君に買ってもらって、君に洗ってもらった服を着てるんだよなって気付いちゃって」
「はあ」
ちなみに迫ったあとの布団を干すのもシーツを交換して洗っているのも私だけど黙っておこう。
nappa_fake
DONE #mirmプラスmfstと秘書🌸がナンパされる話。
なんか似たような話を最近書いた気がします。
こちらは対応がスマートに出来なかったことが気に入らない🌸の話。
2/12後手に回ったことを悔しく思うタイプ その日は買い出しにメフィスト様がついていらして、あれこれ言いながら消耗品や食材を買い込む。
一通りの買い物を済ませて家に転送してからお茶でもということでスタ魔にやってきた。
「俺注文してくるから、席取ってきてよ」
「承知しました。ソファとカウンターどっちがいいですか?」
「ソファがいいな。二人がけの」
「はーい、取ってきます」
店内の奥の方にある二人がけのソファに座ってメフィスト様を待つ。
しばらくしたらテーブルに影が落ちたので顔を上げたら、知らない悪魔だった。
「お姉さん一人? ここいい?」
「いえ、連れがおりますので」
なんだ、コイツ。断っているのに、その男悪魔はへらへらと笑いながら横に座ってくる。
「そんな怖い顔しないでよー。綺麗な顔が台無し」
1096一通りの買い物を済ませて家に転送してからお茶でもということでスタ魔にやってきた。
「俺注文してくるから、席取ってきてよ」
「承知しました。ソファとカウンターどっちがいいですか?」
「ソファがいいな。二人がけの」
「はーい、取ってきます」
店内の奥の方にある二人がけのソファに座ってメフィスト様を待つ。
しばらくしたらテーブルに影が落ちたので顔を上げたら、知らない悪魔だった。
「お姉さん一人? ここいい?」
「いえ、連れがおりますので」
なんだ、コイツ。断っているのに、その男悪魔はへらへらと笑いながら横に座ってくる。
「そんな怖い顔しないでよー。綺麗な顔が台無し」
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DONE #mirmプラスmfstとホラー映画を見る秘書🌸の話
2/9怖い思いは間に合ってます「映画観よ」
そう言ってメフィスト様が持ってきたのは今流行りのホラー映画だった。
誰だよ、そんなもんメフィスト様に教えたの。いや、言われなくてもわかる。イルマくんからバチコちゃん、バチコちゃんからメフィスト様の流れだ。間違いない。
魔具研のお化け屋敷以降、バビルス内でホラー物が流行っているのである。
「……承知しました。今からであれば、飲み物と軽食をご用意いたします」
「ホラー苦手? 顔が引きつっているけれど」
ものすんごい優しい顔で言われた。
「……得意とは言えない程度ですのでお気になさらず」
「無理しなくていいよ?」
ちょっと悩んでからメフィスト様にはソファに浅く座ってもらう。それから私はメフィスト様とソファの背もたれの間に座った。
987そう言ってメフィスト様が持ってきたのは今流行りのホラー映画だった。
誰だよ、そんなもんメフィスト様に教えたの。いや、言われなくてもわかる。イルマくんからバチコちゃん、バチコちゃんからメフィスト様の流れだ。間違いない。
魔具研のお化け屋敷以降、バビルス内でホラー物が流行っているのである。
「……承知しました。今からであれば、飲み物と軽食をご用意いたします」
「ホラー苦手? 顔が引きつっているけれど」
ものすんごい優しい顔で言われた。
「……得意とは言えない程度ですのでお気になさらず」
「無理しなくていいよ?」
ちょっと悩んでからメフィスト様にはソファに浅く座ってもらう。それから私はメフィスト様とソファの背もたれの間に座った。
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DONE #mirmプラスmfstと秘書🌸がクラスメイトに告白され(そうにな)る話。
🌸は告白なのをわかっててすっとぼけていて、mfはそれくらい🌸が告白されたことを面倒に想っているのを察している……と、思われます。
2/8特別なのは俺だけでいい その日、俺の秘書がバビルスに研修報告に行っていたので夕方に迎えに行った。
パトラ室を出たと連絡が来たので校門へ向かうと、彼女がこちらに向かってくるのが見えたので手を振る。
けど彼女が走り出そうとした途端に、横から制服姿の男悪魔が彼女に声をかけた。
その男の熱のこもった眼差しと、彼女の困惑の顔、そして伸ばされた手で用件を察する。
即座に彼女の元へ向かい後ろから抱きすくめた。
「帰ろ」
「メフィスト様!」
彼女がこちらを向いて嬉しそうにする。男悪魔は明らかな敵愾心をこちらに向ける。
「誰だよ!?」
「俺? この子のダーリンですけど。君こそ、この娘のなんなの」
「お、おれは」
「去年同じクラスだったヒトです」
「そっか、じゃあ知らないヒトだね。帰ろ」
863パトラ室を出たと連絡が来たので校門へ向かうと、彼女がこちらに向かってくるのが見えたので手を振る。
けど彼女が走り出そうとした途端に、横から制服姿の男悪魔が彼女に声をかけた。
その男の熱のこもった眼差しと、彼女の困惑の顔、そして伸ばされた手で用件を察する。
即座に彼女の元へ向かい後ろから抱きすくめた。
「帰ろ」
「メフィスト様!」
彼女がこちらを向いて嬉しそうにする。男悪魔は明らかな敵愾心をこちらに向ける。
「誰だよ!?」
「俺? この子のダーリンですけど。君こそ、この娘のなんなの」
「お、おれは」
「去年同じクラスだったヒトです」
「そっか、じゃあ知らないヒトだね。帰ろ」