面影 その2 瘴奸の看病の成果か、皆の体調は快方に向かっていた。ところが安堵も束の間で、今度は瘴奸が倒れた。
誰より元気そうに振る舞っていた瘴奸だったが、粥を作っている最中に急にその場にへたりこんだという。手伝いをしていた白骨がそれを見つけて、大慌てで広間に運び込んだ。
「嘘だろ……」
腐乱が思わず声を漏らした。殺しても死なないと思っていた瘴奸が病で倒れて素直に驚いていた。
「大丈夫かよお頭」
既に回復していた郎党たちが寄ってくる。瘴奸の体は熱を帯び、虚な目は潤んでいた。
「ただの寝不足だ」
瘴奸はそう言い張って立ち上がろうとする。弱味を見せたくないのか強がる瘴奸に、皆が対応に困った。迂闊に手を出せば殴られそうだが、かといって無理をさせてはならないと皆が及び腰になる。
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