Recent Search

    2152n

    @2152n

    基本倉庫。i:騙々氏

    ☆quiet follow Send AirSkeb request
    POIPOI 94

    2152n

    DONEブラアキ。冬制服(ジャケット)の話。
    目隠し帽はご免だからな ニューミリオンにも冬は訪れる。先日の雨以降、大きく気温が下がり到来した寒波は街中の景色をガラリと変えた。薄手のカーディガンやコートを羽織っていた市民たちは毛皮やダウンに身を包み、厚手の衣類で体積を増やしながら身を縮めて歩いている。勿論エリオスも例外ではなく、今日からは皆、外出時は暖かなジャケットを着込んでいた。

     その日のブラッドは珍しくパトロールに参加する時間が取れ、司令室での会議を済ませたあと、サウスセクターのブリーフィングルームへと足を向けていた。
     エリオス内は廊下も含めて空調が管理されているため、屋内は快適な温度が保たれているが、外ではそうもいかない。ブラッドは同室の寒さに弱い部下のことを脳裏に過らせる。昨夜、彼にリトルトーキョーで買ってきた「貼るホッカイロ」という使い捨てのウォーマーパッドを贈ったのだが、今朝早速ジャケットの中に貼りつけて「とても暖かいです」と笑顔を見せていた。思い出して笑みがこぼれる。今年のオスカーはルーキーを指導する立場だ。寒さに震えていては威厳もないだろう。そう思い、対策を考えてみたのだが、あんなにも喜ばれるとは思わなかった。これなら彼も今年の冬を乗り切ることが出来るだろうと、ブリーフィングルームの扉の前に立つ。
    9722