いなばリチウム @inaba_hondego 小説メイン刀:主へし、主刀、刀さに♂mhyk:フィガ晶♂文アル:はるだざ、菊芥、司♂秋文スト:織太 ☆quiet follow Yell with Emoji POIPOI 51
いなばリチウムDOODLEhttps://poipiku.com/594323/10131977.htmlhttps://poipiku.com/594323/10323792.htmlこれらのシリーズの続き。続続・社畜審神者と近侍の長谷部 アラームが鳴る気配がして、跳ね起きた。 「っ、わ、いま、時間…っ」 慌てて電子端末を見る。五時半。まずい、寝すぎたかも。外はまだ暗いが始発はもう出てる時間だ。慌ててベッドから降りようとして、俺は布団の上でバランスを崩した。 「……?」 布団だ。ベッドじゃない。夢か、寝ぼけてるのか? 天井も見慣れた灰色じゃなくて、やけに広い。住み慣れたワンルームじゃない。寝坊した、と思って心臓はばくばくしているのに、まだ夢の中のような不思議な感覚だった。え、あれ、と混乱していると、傍らでむく、と影が起き上がった。 「あるじ……?」 眠そうに目をこすりながら、近侍のへし切長谷部が体を起こしている。近侍。そうだ。ここは現世じゃない。本丸だった。 1134 いなばリチウムTRAININGhttps://poipiku.com/594323/10668650.htmlこれの続き。騙されやすい審神者と近侍の長谷部の話。だまされやすい審神者の話2 疎遠になっても連絡をとりやすい、というタイプの人間がいる。 それがいいことなのか、はたまたその逆であるなのかはさておき、長谷部の主がそうだった。学校を卒業し、現世を離れてから長いが、それでも時折同窓会やちょっとした食事会の誘いがあるという。ほとんどは審神者業の方が忙しく、都合がつかないことが多いけれど。今回はどうにか参加できそうだ、と長谷部に嬉しそうに話した。 もちろん審神者一人で外出する許可は下りないので、長谷部が護衛として同行することになる。道すがら、審神者は饒舌に昔話をした。学生の頃は内気であまり友人がいなかったこと、大人しい自分に声をかけてくれたクラスメイトが数人いて、なんとなく共に行動するようになったこと。卒業する時に連絡先を交換したものの、忙しさもありお互いにあまり連絡はしていなかったこと。それでも年に一度は同窓会や、軽く食事でもしないかという誘いがあること。世話になっている上司を紹介したいと何度か打診され、気恥ずかしさはあったものの、紹介したいと思ってもらえることは嬉しかったこと。今回やっと予定が合い、旧友とその上司に会えること。 1820 いなばリチウムDONEいずれさにちょぎになるまだお互いに自覚がないさにちょぎ未満すったもんださにちょぎ序章 刀剣男士と色恋沙汰なんて、どうかしている。 会議とは名ばかりの雑談大会ではさすがに口には出せなかったが、俺はずっとずっと、そう思っている。会議といっても通信機器を介したもので、一時間程度の長さだったが、そのほとんどが中身のない話だったので、疲れを通り越して脱力してしまった。情報収集のためにわざわざ演練で不慣れな交流をしたというのに、いざ定例会議というものに飛び込んでみれば、本丸運営に関する話は一割あったかどうかで、あとは刀剣男士の趣味嗜好から始まり、あの本丸の加州清光と審神者がついに付き合うことになったらしいとか、最近万屋通りの裏路地にできた店は成人向けだから刀剣男士は伴わない方がいいとか、でもあのアイテムは結構良かったとか、そういう、本当に、どうでも良ければ俺には縁のない話ばかりだった。簡単わんわんなりきりプレイセットとか知るか! 誰が使うんだ! 7293 いなばリチウムDONE両片思いへしさに推し色コーデに否定的だったけど出先でうっかりへしみのある下着を買ってしまった女審神者の話推し色を身にまとって 誰もかれもがチャラつきすぎている! と審神者は思う。 好きな、もしくは推してる男士をイメージした文具だの小物だのを持つのが流行ったところまではまだ許容できた。生活には彩りが必要だ。日頃使っている道具に好きな色が入っていると、忙しさにささくれた心が癒されることもある。 しかし、やがて所謂そういった「推し男士カラー」なアイテムが売れはじめるやいなや、万事屋通りではちょっとした小物だけでなく、鞄や衣類といったあらゆる生活必需品にまでこれみよがしなカラー展開を広げた。なんなら小物は「貴方の好きな色でおつくりします」という売り文句で受注販売までしている。全く商魂たくましい、とも思うし、演練で会う審神者、万事屋ですれ違う審神者誰もかれもが見知った顔が浮かぶようなカラーリングの者を身に着けて、なんならそのカラーリング元の男士を携えていたり恋仲なのか腕を組みながら歩いているのを見ると、審神者はもう、イラァッとくるのであった。 2995 いなばリチウムTRAININGたぶん主へし リハビリ審神者→男。だまされやすい。長谷部→近侍だまされやすい審神者の話 道を聞かれやすい、というタイプの人間がいる。 長谷部の主がそうだった。その上お人好しときていて、例えば道ばたで「きゃあ」などと悲鳴を上げて買い物袋から果物を落とす者を見かければ、それが男でも女でも、子供でも大人でも、通り過ぎた後だったとしても振り向いて、事態を把握するやいなや駆け寄り「どうしました、ひろいましょうか」と声を掛けるのだった。そういった事が、買い出しにでる度にある。一度や二度ではない。長谷部の記憶する限りでは、三度や四度でもおさまらない。 「勝手にやってることだから」と長谷部に手伝わせることもせず、ただあちこちに散らばる落とし物を見かねて拾い、落とし主の女に返せば、女は今時珍しいお人好しとその近侍に深々と頭を下げ、御礼にお茶でも、と誘う。長谷部の主はお人好しであるから、何度かは断る。いえいえそんな、気にしないで、御礼のためにやったわけじゃありません。 1416 いなばリチウムDONEhttps://poipiku.com/594323/10131977.htmlこれの続きのようなやつ。主へし。続・社畜審神者と近侍の長谷部電車が参ります。 ホームドアよりお下がりください。 電車が止まる。 電車と乗り場の間のホームドアが開く。人が流れ出し、吸い込まれる。閉じる。電車が動く。俺はホームに立っている。1歩、2歩と踏み出しても、線路に落ちることはできない。つま先がこつんと硬いドアに当たるだけだ。 お下がりください、とアナウンスが俺を咎める。 一、二歩下がって次を待つ。 電車が参ります。ホームドアよりお下がりください。 電車が止まる。最終電車です、お乗り遅れのないように、とアナウンスが急かす。 ドアの前で佇む俺に、最終電車です、と駅員も急かす。酔っ払いやくたびれた同類と共に、電車に乗った。 空いた席に深く腰掛けると、もう立ち上がれない気がしてくる。明日も会社に行きたくないな、と思うのに、頭は勝手に帰宅と始発時間から睡眠時間を計算している。 1224 いなばリチウムDONE社畜審神者と近侍の長谷部の主へし審神者視点のみ社畜審神者と近侍の長谷部社畜審神者と近侍の長谷部 今日という今日はやめてやるぞと思ったんだよ。いや会社じゃなくて、人生のほうね。 現世と本丸をある程度自由に行き来するには現世で就労している必要があるのはもう仕方ないから受け入れたけど、それにしたってもうちょっとホワイトな会社を紹介してくれないもんかね。終電手前どころか終わってんだよな。仮眠室に泊まればいいって話じゃねえんだよ。カスみたいな提案してくる上司のせいで後輩を育てても潰されるし、だから俺の仕事は一生減らないし、「辞めても意外と残った人間が何とかするもんだ」つって同期も皆やめたな。逃げられる人間は簡単に言うよ。担当がころころ変わって客先に嫌味を言われるのはいつも俺だった。逃げたかった。けど、逃げられなかった。忙しすぎると逃げる元気もないんだよな。今日も施設から父親が暴れたって連絡と着信で履歴が埋まってる。朝も昼も夜も色んな人に謝って、月に一日二日とはいえ、本丸にいる時だけが俺の安寧だった。戦ってるのに、不謹慎だよな。 903 いなばリチウムDONEできてる主肥 雪が積もった日の本丸『主と刀のお題企画』参加させていただきます!大遅刻!冷たい指先(主肥) 真っ白になった庭で雪遊びに興じるもの達がいた。温かい室内から出てこないもの達もいたし、遊び疲れた面子をねぎらうために台所に立つもの達もいる。肥前忠広はそのどれでもなく、縁側で見慣れない風景をぼうっと眺めていた。もの珍しくはあり、しばらく空を眺めていたものの、薄着では耐えがたい寒さだった。さっさと部屋に戻るか、と思ったところで、廊下の曲がり角からそっとこちらを伺う影に気付いた。影は、笑いを噛み殺すような吐息を零しながら、抜き足、差し足と音を立てないように肥前の方に近付いてくる。 ばかだな、と肥前は思う。刀剣男士の、それも気配を察知する能力に長けた脇差相手に、気付かれないわけがないだろうと。すぐに振り向いてしまうのは簡単だが、肥前はそうしない。 1651 いなばリチウムDONEなんとなくカンストと就任ネタだけどあんまり関係ないかも。審神者が飲み会に行った時の話。直接的な表現はないけど主へし前提。黒歴史笑うないつか来た道「――ですよね、そう思いませんか、先輩!」 「んぁ、何、なんて?」 いい塩梅に酒が入り、部屋の暖かさもあってうとうとしていた俺は肩を強めに揺すぶられ、強制的に覚醒させられた。馴れ馴れしく俺の肩を掴んでいる青年は首まで赤く、呂律は若干あやしいものの目は据わっている。何この酔っ払い。誰か面倒見てやれよ。あたりを見回すものの、俺とその青年の周辺にだけ見えない壁がある感じにやや遠巻きにされている。いつからこうなっていたんだろう。そもそも誰だこいつ。同じテーブルについているといことは近いエリア管轄の審神者だろうけど。俺を先輩、と呼ぶが、見た目はそう変わらなそうな年に見える。 「だから、経験値とレベルの話ですって。あんなもんは、飾りっつうか、ただの数字に過ぎないんですよ。だってそうでしょう、ね、ね」 3149 いなばリチウムDOODLE複数の刀に手を出すタイプのクズ審神者の始まり3がっつり主清初夜 多分初夜主清初夜R18*** 「ん、んぅ、ん……っ!」 俺がしたのとは違う、唇を合わせるだけじゃなくて、舌がねじこまれて、絡み合って、吸われる、そんな口づけだった。舌先を吸われる度、じゅる、くちゅ、といやらしい音が頭の中に直接響いて、ぼぅっとしてしまう。それだけでもういっぱいいっぱいなのに、主の手が俺の耳朶を撫でて、くにくにと触るものだから、そんなつもりないのに腰が浮いてしまう。 「っあ、ん……やだ、それ……っ」 「ふふ、耳よわいんだね」 口づけの合間に、主が声を立てて笑う。顔が離れたと思ったら、今度は耳に舌がぬるりと這わされて、ぞくぞくした。 「ひぁ……っ」 耳の穴に舌を入れられて、舐られる。舌と唾液の音が直接聞こえてきて、舐められていない方の耳も指でいじられるからたまったもんじゃない。ぐちゅぐちゅ聞こえる音が俺の頭の中を搔き乱す。ついさっきまで俺が主を組み敷いていたのに、今はもう完全に逆転していた。暴れそうになる足は主が太股の間に体を押し込んできてもう動かせない。膝頭が足の間に入り込んできて、ぐりぐりと押される。 3855 いなばリチウムDOODLE複数の刀に手を出すタイプのクズ審神者の始まり2さにみか要素がほんの少しある主清です。答え合わせ さにみかになるまでと主清のはじまり だってさあ……悩みがあるのか、って聞かれて、実は欲求不満で、とか言えないでしょ、自分の刀に。完全にセクハラだもんな。 「よっきゅうふまん……?」 俺の体を跨ぐ形で覆い被さっている清光は、俺の言葉を繰り返して、ぱち、ぱち、と瞬きをした。かわいい。きょとんとしている。 俺は簡単に説明した。清光に何度も心配されて、まずいな、とは思っていたこと。目を見たら本音を吐きそうで、ふたりきりになるのを避けていたこと。鏡を見れば、自分が思っている以上に陰鬱な顔をしていて、けれど解決策がないまま数ヶ月を過ごしていたこと。審神者になる前は恋人みたいなセフレみたいな存在が常に3~6人はいたんだけど全員にフラれて、まあなんとかなるっしょ、と思ったものの自分が思っていた以上になんともならないくらい、人肌が恋しくなってしまったこと。刀達のことはうっかり口説きそうになるくらい好きなこと。でも臣下に、それもかみさまに手を出すのはさすがにセクハラだし不敬っぽくない? まずくない? と思っていたこと。 2337 いなばリチウムDOODLE複数の刀に手を出すタイプのクズ審神者の始まり1.5さにみか要素がほんの少しある主清です。一個前の答え合わせだけど審神者メインで他の本丸の審神者との交流とかなので読み飛ばしてもいいやつです答え合わせ 審神者くわしくサイド 一応ね、俺も、俺がちょっとおかしいってことは分かってるんだけどね。おかしい、って分かった上で、今、ここにいる。 審神者になる前、俺は常に最低3人、多くて6人、恋人ないしセフレがいた。 昔から、俺はどうにも”重い”らしく、恋人が出来ても大体一ヶ月くらいでフラれるばかりだった。俺は毎日好きって言いたいし毎日キスしたいし毎日くっついていたいし毎日好きな子を抱きたいのに、それがだめらしい。体目当てみたいでいやだ、と言われたので、昼間のデートもみっちりプランを立てて楽しく過ごしてみたものの、大学に通いながらデートしてその上で夜は夜でセックスするの体力やばすぎるむり、って言われてフラれる。メンヘラも俺と付き合うと根負けするレベル、って大学の頃噂されたっけ……。非常に遺憾だった。なんでだ。幸い、縁があってフラれてもまた別の子と付き合えることが多かったけど、そんなことが続いたので遊び人と認定されちゃうし……。 3828 いなばリチウムPROGRESS複数の刀に手を出すタイプのクズ審神者の始まりさにみか要素がほんの少しある主清です。 全部、腑に落ちた。 主に、最近元気がなかったこと。 戦績は良くなっていってるのに、反比例するように溜息が多かったこと。 どうしたの、悩みでもあんの、俺にできること、ある? って聞いても、困ったように笑って、答えてくれなかったこと。 それが、何日か前から嘘みたいに表情が明るくなって、俺が知らない内に解決したことはなんだかさみしかったけど、よかったなあって、思ってたのに。 昨日の夜、そろそろ寝ようかな、って時間になってから、主に聞きたいことがあったのを思い出した。別に大した内容じゃなかったけど、本丸の仲間が増えて戦力的には安定してきたものの、初期刀のに、主とふたりきりで話す機会は減っていたから、ちょうどいいやとも思ってた。主がもう寝てたら、それはそれで朝起きてからにすればいいんだし、って。部屋を抜け出して廊下に出たら、まさに向かう先の部屋の主が、曲がり角を曲がっていったところだった。あれ? と首をかしげる。主が向かっていたのは、主の部屋とは反対方向だった。良くないと思いながら、俺はそっと後をつけて、見てしまった。三日月宗近の部屋の前で立ち止まった主を。その頬を、襖の隙間からするりと伸ばされた手が撫でたのを。そこは三日月宗近の部屋だし、伸びた手が纏っているのは紺青色の袖だった。廊下の角に隠れていたので声は聞こえなかったけど、主は二言三言口にして、目を細めて笑っていた。くすぐったそうに身を捩り、三日月の両手を絡め取ると、襖の方に顔を寄せる。両手が主の背中に回って、そのまま、主は倒れ込むように部屋の中へ消えていった。 1750 いなばリチウムDONE主へしリク③何らかの罪の共犯者になる話読みたいです!文字通りの罪でも、罪深い深夜飯とかでも!「共犯」が好きすぎて両方入れました。健全共犯だけ読みたい方は途中まで!(区切ってます)共犯主へし 審神者の、「どうしよう長谷部」には昔から弱かった。弱り切った様子でそう言われればなんでもしてあげたいという気持ちになったし、実際、なんでもしてきた。初期刀などは「甘やかしすぎだ」と眉を顰めて咎めてきたが、それは大体審神者の「どうしよう」を解決した後だったので、「次から気を付ける」という心にもない言葉で都度誤魔化した。 審神者がまだ小学校に通うくらいの年の頃、朝食に嫌いな食べ物が入っていてどうしても食べられない時の「どうしよう」は周りの目を盗んで長谷部が自分の皿と取りかえてなんとかした。止められたのに怖い映画を見てしまって眠れなくなった時の「どうしよう」は審神者の布団に潜り込み、眠るまでずっとそばにいてなんとかした。学校の宿題が終わらない時の「どうしよう」は宿題そのものを燃やすか教員をどうにかするかで悩んだが、提案したところ「そこまでしなくていい」と青い顔で言われたのでなんともならなかった。何とかできなかったのが、悔しかった。審神者がうっかり初期刀が大事にしていた皿を割ってしまったと泣きべそをかいた時の「どうしよう」にも悩んだ。皿を隠してしまっても審神者は忘れないだろうし初期刀もいずれ気付くだろう。自分がやったことにする、と言ったところで、審神者はやはりそこまでしなくていい、と言うかもしれない。悩んだ末に、ほんの小さなヒビが入った程度の皿を、もう一度床に落とし、真っ二つに割った。「俺がうっかり落として割った」初期刀にそう告げたものの、後ろで震えている審神者と、憮然とした表情の長谷部を何度か見比べた初期刀は、深い深い溜息を零すのみだった。結局、審神者がことの流れをつっかえつっかえ全て説明してしまったので、やはり何とかしたとは、言い難かった。 6173 いなばリチウムDOODLE新人が来るとすぐ狂ってしまう審神者に苦言を呈する長谷部ゆるされた主、俺知ってるんですからね。主が新しい刀にうつつを抜かしていること。いっつもそうですよね。紫の目が気になるとか、真面目そうでそそるとか、胸がデカくて目のやり場に困るとか。ふん。どうせ、目が紫で堅物っぽいやつなら俺でなくても、誰でもいいんでしょう。胸がなくてすみませんね。俺が主の好みじゃないことなんて、ちゃんと分かってます。色んな刀にふらふらしても、恋人は俺だってこともちゃんとわかってます。分かってても、やっぱり面白くないんです。新刀剣男士がなんですか。確定報酬がなんですか。貴方の役に立つ一番の刀は、絶対絶対、俺なんですからね。 長谷部ごめんて。 でも逆なんだよな。長谷部と同じ瞳の色だから気になるし、長谷部と似たタイプだから、仲良くなっちゃうかな、って気になるし、胸についてはまあその通りなんだけど、でもお前が一番で、お前を基準に俺は振り回されてるのに、やっぱり言わなきゃ伝わらないもんだなあ。胸については本当にごめんって!でも、そこはこれから変えていけばいいんじゃないかなあ 具体的に何がどうとは言わないけど。 483 いなばリチウムDONE>いなばさんちの主へしでケモ化(獣耳)(発情期ネタが見たい)かコスプレエッチが見たいです!ハピエンでお願いします……wとのことだったんですがケモ化しか入らないかもしれないですねこれは…コスプレエッチは別で書きたいです多分https://poipiku.com/594323/8385890.htmlの主へしケモ化(獣耳)主へし 審神者と刀剣男士の恋愛が公認のものとなってから随分と長い時が経った。人というものは商魂たくましいもので、やれ禁忌だのやれ閉鎖的だのと批判的であったのに、政府が公式に認めてからはあっという間に”そういう”層向けの本や商品が万事屋に並ぶようになった。人に害のない媚薬やら片思いの人もしくは刀剣男士の心を射止めるための胡散臭い指南書などは可愛い方で、そういう仲になったふたり向けのマンネリ防止という売り文句で随分豊富な品揃えになったそれらはひょっとすると現世にある物らよりマニアックかもしれない。もちろん、関係ない層、それこそ未成年の審神者の目に触れないよう、購入するには制限やそれなりの手順が必要にはなっているのだが。 2437 いなばリチウムDONE大好きなむむむさんへの誕生日祝SSむむむさんのところのハロワ炎上主へしが大好きすぎるので第三者モブ視点を勝手に書きました!ハロワ炎上無職の朝は遅い。もう、無職だという時点で気分は重いし、起きなくちゃ、出かけなくちゃ、職を探しに行かなくちゃと頭では思うものの基本的に働きたくないのでまじで布団から出られない。とはいえ、貯金は普通に減っていくばかりなので今日も求職の実績を作って、明日はハローワークへ行かなくちゃならない。あーあ、宝くじで3億当たるか、誰か養ってくれるかしないかなあ、と思いながら。 朝が遅かったとはいえ、3社程面接をはしごし、気付けば昼を食べないまま夕方になっていた。もう今日は自炊する元気もないのでチェーン店で牛丼食べて帰って寝てもいいこととする!そんな気持ちで1番安いセットを選んで適当な席に座ると、ほとんど同時くらいにカウンター席に着いた男と肩がぶつかった。 1770 いなばリチウムDONE>テレビゲームをする主へしが見てみたいです書きました!まだできてない二人で主⇐⇐⇐へしくらいの温度感です子供のころから本丸で育ってるタイプの審神者テレビゲームをする主へし「あっ、これ懐かしい!」 部屋の奥からそんな声が聞こえる度、長谷部は手を止める羽目になる。本丸の大掃除も佳境だというのに、肝心の審神者の部屋だけがなかなか片付かない。声がする方へ向かってみれば、審神者の私室は案の定、物という物が散乱したままだった。 「主?」 つい声に呆れも混じるというものだ。 振り向いた審神者は「しまった」という顔をしながらも、手に持ったものを長谷部にも見せてくる。良くないと思いながら覗き込めば、それは見たことのない機械だった。手のひらふたつ分くらいの大きさの箱から、コードが伸びて子機のようなものに繋がっている。 「これ、懐かしくない?子供の頃みんなとやったなあ」 「……俺は記憶にないです」 2749 いなばリチウムDONE【審神者攻めオンリー】受け太刀致す!展示です。主鶴馴れ初め。https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17533644↑これの二人ですが読んでなくても大丈夫です。 4984 いなばリチウムDONE月刊主へし2月「主命以上」その2主に好かれると分かっていて告白を待っている策士?な長谷部の話主命以上(主へし馴れ初め) いつ、その時が来てもいいように、最善の言葉を用意していたはずだった。 へし切長谷部は人の美醜というものに興味はなかったが、自身を含め、刀剣男士というものが人間から見ればみな美しくて可愛くて良い匂いがする素敵な生き物、ということは知っていた。本にそう書いてあったので。審神者によって好みは分かれるものの、へし切長谷部という刀剣男士が比較的審神者と恋仲になりやすい類であることもまた、知っていた。本に書いてあったからだ。もちろんその事実におごることなく今日まで良き刀、良き臣下であるよう努めてきたものの、或る頃から審神者の視線がなんとなく、他のものに向けるそれと違う熱を含んでいることに気付いた時は思わずほくそ笑んだ。 2681 いなばリチウムDONE2月月刊主へし「主命以上」1つ目。元社畜っぽい中途採用審神者と長谷部。くっついてないけどいずれくっつく二人の初期の話。主命以上 元社畜中途採用審神者×長谷部(主へし未満)「主命とあらばなんでもこなしますよ」 その言葉に、イラッとした。 「なんでも?」 「ええ、もちろん」 自己紹介を、と告げれば名前と共にそう言ったへし切長谷部に、俺は溜息を吐いた。途端、長谷部の瞳が不安げに揺れる。 指示待ち人間って好きじゃないんだよなあ。いや、刀剣男士はヒトじゃないんだけど。 何でもします、って、部下の言葉としては従順でやる気があるようで、まあ実際やる気はあるにせよ、俺からすれば楽な方へ逃げている言葉に聞こえる。言ったことだけやるんじゃなくて、自分で考えて動いてくれないと、上司としては自分の仕事が増えるばっかりだ。最近はそういう若いやつらばっかりで……と、そこまで考えてまた溜息が零れた。何もかもが急すぎて、まだ考えが現世にいた頃に引きずられている。スカウトという形で審神者に就任したのはほんの数日前のことだった。前職と桁違いの報酬に釣られたのを早くも後悔し始めている。個性、と一言で片づけるには濃すぎる面々が続き、真面目そうなのが来たかと思えば部下としては好きじゃないタイプの性格、ときたら溜息も度々出るというものだ。 3947 いなばリチウムDONE2月月刊主へし「地獄で〇〇を」やや「主命以上」要素過去に出した本「本丸炎上」内の本丸のその後話なのですが一応これだけで読めるようになっています。興味あれば「本丸炎上」もweb再録済なので読んで頂けると嬉しいです!該当ページはhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7728995の4P目ですがクズ審神者が色んな刀に夜伽を命じてる話なのでご注意下さい。地獄で〇〇を ほとんどの刀に嫌われていたと思う。 最低で最悪の主だった自覚があった。そもそもなりたくて審神者になったわけではない。本丸は、俺にとっては刑務所の役割を果たしていた。審神者として政府に尽くせば、最低限の生活は保障される、そういう仕組みだ。死刑か労働かを強いられ、若かった俺は死ぬのが恐ろしくて、後者を選んだ。永遠に続くものとも知らずに。気付いた時にはもう遅く、俺の身体は人の理から外れ、ただただ同じような毎日を閉じられた空間で過ごすしか道はなかった。あんなに死にたくなかったのに、死にたい死にたいと日々願い、けれど自分で自分の命を断つことは出来ないよう縛られていた。だから、最悪の主になることを選んだ。暴力は疲れるし、人間の力で屈強な刀剣男士を傷つけられるとは思わなかったので、彼らを別の方法で辱め、傷つけることを選んだ。そちらの方が慣れていたし、楽だった。可哀想だと思う心は残っていなかった。そんなものがあったら俺は最初からここにはいない。 1917 いなばリチウムDONE2月月刊主へしwebイベント先行公開▶︎アフター用近侍「新しい刀の収集ですか」 心なしか、ひやりと冷たさを帯びたような声が背中に刺さる。 「そうみたいだな」 俺が手にしているのは近いうち全ての審神者を対象とした確定任務の知らせで、これまでも何度かそうであったように、江戸城潜入調査で新しい刀が手に入る、というものだった。その資料を捲りながら近侍の視線をひしひしと感じている。ちらりと振り返るとすぐに目を逸らすが、見ているのはバレバレだ。大体の情報は分かったので資料を机に置き、俺は長谷部の方へ振り返った。あ、また目逸らした。 「……長谷部、分かっていると思うが」 「はい」 この説明をするのももう何度目だろうか。新しい刀が来る度に、俺は近侍の長谷部を前に同じことを言い訳のように繰り返している。 2428 いなばリチウムDONE1月月刊主へし一応デキてるふたりhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16853241 の審神者だけど読まなくても大丈夫。冬の男「は……っくしゅ」 「!!」 駅を出てから数えて七回目のくしゃみだったので、男の隣を歩いていた長谷部は今度こそ自分の外套を脱いだ。 「主、これを」 「いらないって。お前が寒いし、俺だけ着込んでたら不自然だろ」 男は迷惑そうにそれを振り払い、自分の外套のポケットを探った。しかし、目当てのものは探りあてられず、眉を顰めたところで長谷部が自分の鞄からティッシュを差し出したので、今度は素直にそれを受け取った。立ち止まり、軽く鼻をかんでいる男に、長谷部はそっと声をかける。 「今からでも、バスに乗った方が……」 「いい。もう結構歩いたし、今からバス停探して待つ方がめんどくさい」 「しかし、」 「いいって、このくらい。久しぶりに外に出たから体が慣れてないだ、け……ふあ、っくしょん!! うぇっくし!!」 3938 いなばリチウムDONE言紡弐で展示してました!デキてる司書秋の司書室イチャイチャR18(本番無し)ありがと、秋声くん!「はい、これも署名が必要だってさ」 「ええ~!? まだあんの!? 無理~~~!」 机に追加で置かれた書類、書類、書類の束。減ったと思ったら追加されて仕事のわんこそば状態。駄々っ子のように両手を上げて降参ポーズの俺に、秋声君はいつものやれやれ顔をする。 「そんなこと、僕に言われても困るよ。大体、サボっていた司書さんが悪いんじゃないか」 「そうだけどさ~」 確かに、調査任務の報告書を3、4回分溜めていたり、金貨や道具の整理をうっかり数か月程怠ってネコの手と金のネコの手がごっちゃごちゃに混ざっちゃって整理に手間取ったりしたけど。いや本当に俺が悪いな。しかし、自業自得とは言え、朝からトイレ以外は座りっぱなし、食事も秋声くんが食堂から持ってきてくれたサンドイッチを片手間に食べただけで、体力的にも精神的にも疲れきっているのが分かる。窓の外はとっくのとうに真っ暗で、談話室の方から明かりが漏れているのが分かる。時折わっと笑い声があがったりして、今日もなんとなく集まった面子で酒盛りなり談義なりしているのだろう。いいなあ。俺も一杯やりたいなあと思いながら正面を向くと、処理が終わった書類を秋声くんが回収しているところだった。署名済みの書類を集めて、「え、これだけ?」と失礼なことを言っている。効率なんてとっくに落ちてるんだから仕方ない。これでもたまっていた仕事の八割くらいは数か月遅れで処理したり隠ぺいしたりして片付けたんだ。あと残ってるものも明日普通にサボらずやれば間に合うくらいの量だし。さて、残っているものといえば。 3927 いなばリチウムDONE12月月刊主へし②モブ視点主へし藤 審神者御用達の万事屋通りにある文具店で、雇われ店長をしております。 元々は、審神者の素質がある、と言われよくわからないままに連れてこられたのですが、いざ調べてみれば本丸を維持するほどの力はないと分かり、しかし最早帰る場所はなく、ちょうど店主が亡くなったばかりの文具店に、住み込みという形で雇われることになりました。 最初はあちら側の勝手な事情で振り回されることに多少腹も立ったものの、現世にそれほど執着も未練もなく、文具店というのも、売り物自体はほとんど決まったものが陳列されているだけで、私の仕事は在庫管理と品物の整理整頓、あとは日々の掃除くらいで、慣れれば気楽なものでした。売れ行きに関わらず給料は政府から貰えるので先々の不安もありません。人によっては単調で退屈な毎日に耐えられないかもしれませんが、私は趣味に割ける時間が増えたのでむしろありがたく思いましたし、政府の都合で連れてこられたにも関わらず、使えないからとそのへんに放り出されるところだったのですから、多くはない給料にも文句は言いませんでした。 3859 いなばリチウムDONE12月月刊主へし年末年始 この時期の忙しさには何年経っても慣れない。 ただでさえやることの多い年末、それに加えて俺は大晦日よりも前に現世の実家に帰るつもりでいたのでてんてこまいだった。本丸内の大掃除、食事、審神者不在時の出陣についてはあらかじめほとんど取りまとめていたものの、実際に年末を迎えると思いがけないトラブルが起きたりして、想像以上の忙しさを迎えていた。いっそ実家に帰るのをやめた方が本丸でゆっくりできるのでは? と考えないでもなかったが、先輩審神者達は口をそろえて「不仲じゃないのなら、実家がある内は帰った方がいい」と神妙な顔で言うし、確かに両親は健在であったが帰る度に老けたなあとしみじみ感じたりもするから、せめて年に一度くらいは親孝行するか、という気持ちだった。そもそも、どうしようかな、と悩む頃には既に必要書類を全部出した後である。 2677 いなばリチウムPROGRESS・本丸が襲撃されている・襲撃されたら本丸を消滅させることになってるみたいな感じ・審神者は死ぬ・肥前は間に合わない・最期は一緒バッドエンドルート主肥 俺の片腕を切り落し、腹の深くまで刃を通した異形は、それで満足したのか、べっとりと赤にまみれた刃を一振りすると、低い咆哮を一つ、あとは振り向きもせず立ち去った。ばかだな、と思う。俺の刀達なら、確実に息の根を止めて、息絶えたのを確認してからその場を後にするだろう。生き残った敵が、例え致命傷を負っていたとしても息がある限りは何をしでかすか分かったもんじゃないのに。そういう小さなミスが命取りなんだよな。こっちからすれば、今はありがたいけど。 実際のところ、出血量は半端なくて足元は血の海だったし、意識も朦朧としてはいたけれど、でも、俺はまだ生きていた。生きていて、利き腕は動いたので、緊急用に支給されている鎮痛兼止血兼気付薬兼、まあその他色々の、とりあえず為すべきことを為すまで動けるようになる薬を自分に投与する。緊急用で審神者一人につきひとつしか支給されないとあって、効果は絶大だった。痛みは引いて、遠のきかけていた意識もはっきりしてきた。出血もとりあえずは止まったようだ。とはいえ、ただそれだけで、なくなった腕は生えてこないし、流した血が戻ってくるわけではないからふらつくし、裂かれた腹から赤黒い何かが見えてるのはちょっとまずいと思うけど。幸い、執務室だったのでそのへんを探せば使えそうなものは出てきた。救急セットの中に包帯が入っていたけど、片手じゃうまいこと固定できないし、とりあえず中身が出なければいいかと判断して、腹にガムテープをぐるぐると巻き付けた。包帯で巻くよりはやりやすかったけど、片手でするには時間のかかる作業だった。四苦八苦しながらどうにか穴を塞いで、廊下に出る。腕って実は結構重かったんだな。うまくバランスがとれなくて、腕がある方に傾いてしまう。よたよたと歩きながら、ひどい有様の我が本丸を眺める。あちこち火があがってるし、皆で一生懸命耕していた畑もぐちゃぐちゃ、花壇もどこまで花が植えてあったのかわからないくらい踏み荒らされている。かなしい、かなしいなあ、と思うけれど、最悪ではない。俺は俺の手でこの本丸を終わらせられるし、いくつかの部隊に分かれたうちの主戦力は、今頃別々のゲートを抜けて政府管轄の安全地帯に到着しているはずだ。辿り着けば、審神者が消えても面倒な手順をいくつか踏めば顕現は解かれず政府管轄の刀剣男士となる。歴史遡行軍に対する戦力は減らないままだ。ざまあみ 2666 いなばリチウムDONE11月「月刊主へし」お題:〇〇の秋運動の秋ヒッ、と喉から掠れた声が漏れた。体がふらつき、数歩後ずさりしたものの、こんのすけは冷めた目で(いや元々そんな目か)こちらを見るのみだ。 「そんな、何かの間違いじゃ」 「何度見ても、結果は同じですよ、審神者様」 あきれた声で、こんのすけは機械からべろんと出てきた紙を無慈悲にも俺の目の前に突き出す。直視したくなくて顔ごと逸らしたが、後ろにいた同期が、やはり呆れたように言った。 「後ろつかえてんだから、もう諦めなって」 一人と一匹に言われては仕方ない。くそっ。そんな顔してるけど、お前だって前回の健康診断から体重が10kg増えてたら絶対俺と同じ反応するに決まってるんだからな!!!!! そういうわけで、実に10年振りくらいの健康診断だった。 2937 いなばリチウムDONE晶くんオンリー4展示その2。おしゃべりなローズネタと続いてます。恋人になった晶くん×ヒースクリフその後。ぶるぶるローズネタですが震えを止めてくれるのはカインです。(ネタバレ)初めての この世界には、少し口にする分には問題ないけど、分量を間違えると恥ずかしい目に遭う食べ物というのがいくつか存在する。その内の一つが《おしゃべりなローズ》で、俺はつい最近まさに大変な目に遭ったばかりだ。結果的に、片思いだと思っていた人と実は両想いだったことが分かったので、悪いことばかりではなかったけれど、それでも思い出せば顔から火が出るくらい恥ずかしい経験ではある。 そして、やっぱりローズの種類で、《ぶるぶるローズ》という、食べ過ぎると震えが止まらなくなり、誰かに抱き締めてもらわなければ止まらないという、大変なバラがあるらしいと知ったのも最近のことだ。けれどそれも料理に使うと良いアクセントになるというので、同じ過ちは繰り返すまいと、念入りに分量を量り、もちろん自分の分は味見した量も計算して取り分け、ローズのテリーヌを魔法使い達に振舞った。中には止める間もなくたくさん食べて震えが止まらなくなったブラッドリー(対処法を伝えた後すぐにくしゃみでどこかへ飛んで行ってしまった)や、むしろ知った上でたくさん食べて笑いながら震えていたムル(ひとしきり震えた後、「あきた!」と言ってシャイロックに飛びついていた)もいたけれど、概ね問題はなかった、はずだった。オーエンが、俺の口元にフォークを押し付けるまでは。 4431 いなばリチウムDONE晶くんオンリー4展示です。晶くん×ヒースクリフ片思いからのハプニング。おしゃべりなローズネタです(お察し)双子も出る。そんなところもだいすきです きっと一目惚れだったと思う。同時に、一目惚れ、とあまりにも簡単な一言で表してしまっていいものか、と頭を悩ませてもしまうけれど。 猫が騒ぐ、明るい満月の夜に、俺はこの世界にやってきた。夢みたいな出来事の連続で、そんな状況だったから余計に目に焼き付いたとも言える。初めて出会った魔法使いは二人だった。どちらにも目を奪われたけど、俺の腕を引いた冷たい指の感触を、俺の視線から逃げるように俯いたヒースクリフの綺麗な横顔を、今でも昨日のことのように鮮明に思い出せる。もちろん、その時は彼の顔をじっくり見るような余裕も図々しさもなかったけれど、映画の一コマ一コマのように、脳裏に焼き付いているのだ。美術品のように整った横顔、明かりに照らされてうっすらと輝く髪、宝石みたいな美しい瞳。初めて会った時、その肌は作りもののように青白く、だから余計に美術品みたいだと思ったけれど、魔法舎で生活するようになってからは、彼の年相応の純朴さだとか、控えめな性格だとか、かと思えば大胆な行動に出るところもあるのだとか、頬に赤みがさしている時の方が人らしくて可愛いとか、そういうことを知っていった。それからやっぱり、何をしていても綺麗で、でも彼は美術品ではないから、ふとした瞬間にこちらを向いてはにかんだり、声をあげて笑ったりするので、その度に心臓はドキドキとうるさくなる。 5226 いなばリチウムDONEhttps://poipiku.com/594323/6821639.htmlこの二人。くっついた後。https://twitter.com/inaba_hondego/status/1535233451342696448?s=20&t=iXXV6Tj16FvelFbYmuw40A↑要約いなばさんとこの肥前くんはミュ肥前にどういう反応しますか?って聞かれた時のやつです!歌って踊れる肥前忠広なんていませんが? 広報活動の一環で行われている、刀剣男士たちによるライブ活動がある。他所の、それもやや特殊な本丸事情とはいえ、収益だとか、それによる審神者数の増加などはある程度まとめられ、データは広報活動による成果として全審神者に共有される。その中には、実際のライブ映像もあった。 話を聞いた当初は、そんな広報活動ってあり? という空気だったものの、効果はあるようで、確かにライブを定期的に行うようになった年から新たに就任した審神者の数は右肩上がりだ。とは言え、故意なのか集計不足なのか、引退数については明記されてないので、効果というのはどこまで信じたものやら、という声もある。ただ、自分の本丸にもいる刀剣男士達と全く同じ姿形をした刀達が、アイドルのような衣装を着て歌ったり踊ったりする姿は不思議な感覚がありつつも、見ていて楽しいものだった。刀剣男士本人たちにも好評だと聞いたので、最近では他の本丸でそうしているように、ライブ映像は各自が至急されている自分の端末から見られるように設定してある。今日も、最近行われたライブ映像データを審神者が使用している薄型電子端末に保存し、刀剣男士達の端末からアクセス可能にしたところだった。全員へ簡単に連絡を済ませ、いそいそとデータを開く。今までも本丸にいる男士と同じ刀がライブ映像に出てくることはあったし、それを本人と見たりもしたが、今回は恋仲である一振りの別個体が出ているのでいつもよりも緊張した。後ろめたいわけではないが、そっとイヤホンを耳にさして音漏れしていないかどうかを確認してから、そっと再生ボタンを押す。 4924 いなばリチウムDONE主肥初夜。https://poipiku.com/594323/6821639.html↑これの二人。なんやかんやあって恋仲になった2人の話。うちの主肥は首の傷を見せてくれるのか?いやそもそも致す時に電気消してきます、という話。(理由は色々ある)初夜暴発主肥「消せよ」 そう言われて、なんのことか全然分からなかった。 夜で、執務室の更に奥にある、俺の寝室で、ベッドの上で。押し倒されてくれた肥前が睨むように俺を見上げている状態だった。 なんのことか本当に分からなかったので、しばらく考えて、「気配……を?」と返したら舌打ちされた。ベッドの上でしていい顔じゃないんだよな。 そういうところも可愛いと思ってるから、別に今更傷ついたりしないけど。 「あかりだよ。……これか?」 「そうだよ~。2回押すと豆電球に、あっ」 枕元にあったリモコンを手に取った肥前は、俺が言い終わる前に手早くボタンを3回押した。あっという間に視界が真っ暗になる。どうしてそういうことするんだ。 「おーい。何も見えないんだけど」 5717 いなばリチウムDONE主肥だけど主肥未満のような。https://poipiku.com/594323/6821639.html↑これの二人。まだデキてない。元ツイ⇒https://twitter.com/mob__178/status/1530166495048654848?s=20&t=UJpK7xz1Hwh4phyVPzoD8g気付いたら背負い投げされてた審神者と肥前君の主肥刀剣男士は主を傷つけない。 刀剣男士は人間より強い。 けれども主には逆らわない。 逆らえないのではなく、逆らわない。 殺せないのではなく、殺さない。(主本人が命じればまた話は別だが、この本丸には関係のない話だ) 刀剣男士が本気になればただの人間である審神者は手も足も出ない。 押し倒すことも、肌に触れることも、それ以上をすることもできない。 刀剣男士はその力を行使して拒むことが出来る。 ほとんどの場合そうしないのは、主であるから、というのが大きい。 それほどまでに、刀剣男士にとっての”主”は深い意味を持っている。 つまり、肥前が審神者を背負い投げで襖に投げつけてしまったのは不幸な事故だった。 「ッ、あ……!」 やっちまった、と思う。いつも、思った時には手遅れだった。ただ、そのまま床に叩きつけそうになったところを、背負った時点でどうにか方向転換したので、それほど痛みを与える結果にはならなかったはずだ。ならなかったと思いたいが、審神者が吹っ飛んでいった先の襖は、当然その重みと勢いに耐えきれず審神者の体と一緒に廊下に倒れてしまったし、物音を聞き付けて数振りが「なんだなんだ」と駆けつけたので手遅れという事実は変わらなかった。 2697 いなばリチウムMOURNING2016年4月頃に利き主へし小説企画で「初夜」をテーマに書いた時のボツネタ色々。完成版含め年内にpixivに載せるぞという尻叩き兼ねて一旦ここに載せておきます!3本あるけど全部未完。多分これ締め切りまでに間に合わないなってなって路線変更3回してます。なんせ6年前なので色々無理はあるかも。初夜色々(3本立て未完)初夜① 没理由:初夜に辿り着きそうにない あらすじ:政府の命令で一般女性と結婚することになった審神者の話 --- 真っ白な部屋だった。 控室とは名ばかりだ。窓ひとつなく、腰かけている椅子が一つだけの部屋。出口といったら傍にある扉一つ。その扉の前には男が一人立っていて、逃げ道などどこにもない。 「もう少しで新婦様のご準備が整いますので、お待ちくださいね」 居心地の悪さからもぞりと体を動かすと、その度に機械のような正確さで全く同じセリフを繰り返すその人間の気味の悪さといったらなかった。薄っぺらな微笑を顔に張り付けた男は、あちらの手の者にいくら握らされたのか、私が少しでも不審な動きをしないよう監視しているのだ。 11643 いなばリチウムDONEできてる主へし審神者の誕生日本丸システムごりごりに妄想過多何でもない日 時折、思い出す程度の数字の並びだった。 例えば、必要があり仕方なく広げた書類に、日付を書く時。 (そういえば、今日だっけ) けれど、審神者の手が止まったのは一瞬だ。日付以外に必要な情報も書き記し、受付係に渡す。待機していたこんのすけはふんふんと頷きながら目を通し、「問題ありません」と頭を下げた。 審神者の継続確認でなぜわざわざ現世の施設まで出向かなくてはいけないのかとか、どうしてこの時代にアナログ式なのかとか、答えてはもらえないそんな質問は最初の数年で出尽くしていた。 政府から知らせがくる。心身ともに健康であるから、審神者を継続しても良いと許可が出る。許可が出たら、継続する意思があるかどうかを伝え、継続するのであればその手続きをする。実際のところ、継続しなければ身一つで現世に放り出されるだけだ。本丸という閉じられた世界で生活している内に年月の経過も分からなくなり、親兄弟や友人達と違う速度で生きている自分がその後どうなるのか想像もできないので、選択肢は一つだ。そんな事実に気付いて取り乱したこともあったが、今となってはそれも遠い過去のことだった。書いた日付も、意識すれば思い出すが、審神者になる際に本名と一緒に捨てた情報だ。 2921 いなばリチウムDONEhttps://poipiku.com/594323/5954251.htmlこれと同軸の話。(読まなくても大丈夫!)付き合いたてほやほやのフィガ晶+双子の話。付き合いたてのフィガ晶+双子 フィガロと、いわゆる恋人としてのお付き合いが始まった。まさかそういうことになると思わなくて、「じゃあ、改めて、これからよろしくね、賢者様」とフィガロが差し出してくれた手を反射的に力いっぱい握ってしまった。 「は、はい! よろしくお願いします!!」 「あはは、情熱的だね」 運動部の挨拶じゃないんだから、と我ながら恥ずかしくなるくらい声を張ってしまった俺に、フィガロは優しい笑顔を向けてくれた。 それで、何が変わったかというと、別に、大きな変化はなかった。 他の人に気を遣わせてしまったら申し訳ないし、と二人の仲を誰にも言ってはいないものの、人前でも、二人きりの時にも、今までと距離感は変わらなかった。ちょっと寂しい気がしたけれど、いやいや! と俺は首を振る。付き合うにあたって、あれをしよう、これをしようと具体的に話したわけじゃない。それに、前も、今も、俺はフィガロのことを好きなのと同じ位、彼と一緒に過ごす時間が大好きだ。一緒にお茶をしたり、買い物したり、眠れない夜にはとりとめのない話をしたりする、そんな時間が。それに、何一つ変わらないわけじゃない。人込みの多いところで、はぐれないようにという気持ちもあって手を繋げば、小さく笑って握り返してくれたりだとか、シャイロックのバーに行く回数が少し減って、その替わりに俺の部屋でのんびり過ごすことが増えたりだとか。少しずつの変化だけれど、その一つ一つが愛おしかった。それに、フィガロは気さくに接してくれるけど、俺よりもずっと、ずっと長生きしている魔法使いなのだ。他の人を知らないから分からないけれど、長寿の魔法使いから見れば俺はきっと子供みたいなもので、だから、 3534 いなばリチウムDONEhttps://twitter.com/mob__178/status/1529656567041097728?s=20&t=86U4h6B8jjQbrlXR57UpNAこのへんのやつ消化まだデキてはいないけど主肥実質舌打ちもファンサみたいなものだよね それはもう、癖みたいなものだった。 度々指摘されてはいたけれど、政府所属で先行調査員をやっていた頃も、この本丸にきてからも、苛立つとつい出てしまう癖。本丸に来てからはむしろ増えたくらいだ。この場所では、人斬りの刀である肥前にはどうにもやりにくいことばかりやらされている気がしてならない。 「ちっ」 またやっちまった、とはいつも思っていた。 同室の刀の前であれば「おやおや」「まあた悪い癖が出ちゅう」とは言われるものの強く咎められることはない。初期刀兼近侍あたりだともう少しうるさく、「何だいその態度は」などと眉を顰められるが、それで終わりだ。多分、肥前の苛立ちを多少なりとも理解しているのと、この本丸の主である審神者の目がなければ、窘めこそすれ、矯正しようとまでは思わないのだろう。つまり、なんだかんだと肥前の癖は直ることなく、とうとう目の前にいる審神者に対しても出るようになってしまったわけだが。 3078 いなばリチウムDONE『言葉紡ギテ縁ト成ス』bnalオンリー開催おめでとうございます。なかなか初夜に至れないはるだざを応援するだんくんの話です。あんまり応援感ないかも。3Pとかではないです。R18。 8724 いなばリチウムDONEhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16524963一応これの続きのような。読まなくても単体で読めます。審神者が不特定多数刀と関係を持ってるけどこれはその審神者がさにちょもした後にちょもさにする話。つまり同軸リバ。 5962 いなばリチウムDONE主燭メイン+主くり二月中に書き終わればセーフってことにする。した。https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16566770https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16524963このあたりに登場する論理感ヤバ審神者ですが読んでなくても大丈夫です。人にも刀にも手を出してるクズタイプという認識だけでおkバレンタイン主刀本丸2022~3Pオチなんてサイテー!~ 二月半ば、そこそこの質量と想いが詰まった紙袋をいくつか両手に持って門の前に立つと、ああ、もう今年もそんな季節だなあ、と審神者は思う。そして、本丸の外で貰ってきたあれこれの運搬を、護衛の数振りは決して手伝ってくれない。初期刀などはあからさまにそっぽを向いているので、可愛いやら、呆れるやらだった。 「俺、清光が唇尖らせてるの、可愛くて好きだな」 「……ばか」 そんな他愛もないやり取りをして、さて、と門をくぐる前に、ゲートがけたたましく反応して手荷物の半分ほどが廃棄処分となる。微量、それこそ素人のおまじない程度のものでも、呪術の気配があるもの、普通に毒物であるもの、血液反応があるもの、飲み込んだ瞬間爆発するもの、そういう類はここで弾かれる。 6959 いなばリチウムDONE肥南と主へしとむつんば要素を含みます(混ぜすぎ)タイトル通りひぜなんにちょっかい出すというか巻き込まれた主へしとむつんばの話。肥南にちょっかい出す主へしの話「肥前くん、主が呼んでいたよ」 振り返る。肥前はいつだって南海の顔を真っ直ぐに見るのに、ここのところ、そうするとほんの少しだが目を逸らされることが増えた気がした。なんだよ、と思う。思うだけだ。 「おれを? なんだって?」 「さあ。部屋に来て欲しいと言っていたから、直接聞いてみてはどうかな」 「……分かったよ」 つまみ食いに忍び込んだ厨を追い出され、時間を持て余していたところだった。ちょうどいいか、とそのまま審神者の部屋へ向かう。肥前がこの本丸に来たのは特命調査の折であった。その時点でも刀の数は多かったが、今や百に届く程の刀剣男士が生活している本丸だ。近侍を務める刀は数振りで、ひとりひとりと話す時間が取れないことを憂いた審神者はこうして時々自室に刀剣男士を呼び出すのだ。不満はないかとか、最近どうだとか、肥前にとってはどうでもいい話ばかりではあったが、何度か呼び出しを無視すると機動の早い近侍が文字通り首根っこを捕まえに来る上に最近では部屋に行くと茶菓子やちょっとしたつまみをふるまわれる。食べ物で釣られている自覚はあったが、適当に話をしていれば損はないのだ。久方ぶりに大人しく呼ばれてやるか、という気持ちだった。 7942 いなばリチウムMOURNING六年近く前(メモを見る限りだと2016年4月)に利き主へし小説企画で「初夜」をテーマに書いた話です。他にもいくつか初夜ネタを書いてたのでまとめてpixivに載せるつもりだったんですけど全然書ききれないので一旦ここに載せておきます!当時いつも書いてた主へしの作風とすこし雰囲気変えたので楽しかったし、性癖の一つでもあったので今読んでも好きな話です。CPではない二人の話です。長谷部が可哀想かも。夜な夜な(主へし R18) その日は朝から体がだるかった。 目を覚ますと、頭は内側から叩かれているように錯覚するぐらい痛み、窓から差し込む朝日や鳥の囀りがひどく耳障りで、長谷部はそう感じてしまう思考と体の不調にただただ戸惑った。しかし、昨日はいつも通り出陣したはずだったし、今日もそれは変わりない。死ななければどうということはないが、あまりひどければ出陣に、ひいては主の戦績に支障が出る。長引くようであれば手入れ部屋へ入ることも検討しなければ、と考える。 着替えてからだるい体を引きずって部屋を出ると、「長谷部、」と今まさに長谷部の部屋の戸に手を掛けようとしたらしく、手を中途半端に宙に浮かせて困ったように佇んでいる審神者がいた。無意識に背筋が伸びる。 6533 いなばリチウムDONE情けない攻めはかわいいねお題ガチャhttps://odaibako.net/gacha/1462?share=twこれで出たお題ガチャは全部!微妙に消化しきれてない部分もあるけどお付き合いいただきありがとうございました!情けない攻めの審神者×長谷部シリーズ④・長谷部にハイキックで倒されるモブを見て自分も蹴られたくなる審神者 ・暴漢に襲われかけた審神者と、その暴漢を正当防衛の範囲内で捻りあげ社会的死に追い込み審神者を救出する強くて怖い長谷部。 【報道】 政府施設内コンビニエンスストアで強盗 男を逮捕 ×日、政府施設内コンビニエンスストアで店員に刃物を突き付け、現金を奪おうとしたとして無職の男が逮捕された。 男は、施設に出入りを許可された運送会社の制服をネットオークションで購入し、施設内に侵入したと思われる。運送会社の管理の杜撰さ、政府施設のセキュリティの甘さが浮き彫りになった形だ。 店内にはアルバイトの女性店員と審神者職男性がおり、この男性が容疑者を取り押さえたという。女性店員に怪我はなかった。この勇敢な男性は本誌の取材に対し「自分は何もしていない」「店員に怪我がなくてよかった」と答えた。なお、容疑者は取り押さえられた際に軽傷を負ったが、命に別状はないという――― 4579 いなばリチウムDONE情けない攻めはかわいいねお題ガチャhttps://odaibako.net/gacha/1462?share=twめも:攻めふぇら、攻め喘ぎ情けない攻めの審神者×長谷部シリーズ③初夜編・絶対付き合えないと思っていた長谷部と初夜を迎えている現実に喜びと緊張と興奮を感じて一周回って勃たない審神者。い、いつもは元気なんです……。 ・緊張してなかなかゴムをつけられない審神者。もういい、なまでいい、と急かす長谷部。 ・激しく事に励んだ次の日、長谷部がツヤツヤしており審神者は腰を押さえているので逆だと思われる。 +++ どこに出しても恥ずかしくない童貞だった。 だった、し、一生そうだと思っていた。一生、長谷部に片思いしたままなんだと思ってた。でも色々あって、両想いだってことが分かって、そうと分かったらお互いその先にも進みたいタイプで、それで、いま、 「ち、ちがうんだよ」 俺は泣きそうだった。 どうしていつもこうなんだろう。長谷部の前では非の打ち所がない完璧な主でいたい、完璧な恋人でいたい、そう思うのに、気付けば喉から情けない震えた声が零れている。 8227 いなばリチウムDONE「ひかる星々の名前を教えて2」で展示したフィガ晶です。両片思いのフィガ晶+シャイロック「あ、」 (好きです) 声に出なくてよかったと思った。好きだと、自覚すると同時に胸の奥がぎゅうと痛んだ。いつかいなくなる自分が、賢者である自分が、魔法使いに恋をするなんて。罪悪感で頭も体も重くなる感覚があって、行き場のない、あってはいけない感情を抑えるのが精一杯だった。 (フィガロのことが、好きです) 柔らかそうな癖っ毛に触れたいと思った。穏やかな錫色と目が合うと、微笑まれて胸が高鳴った。年長者然としておきながら迷子の子供のように見えることがあって、かと思えばやはり大人の、それも千年単位の余裕を見せつけられては彼が分からなくなることもあった。それから、それから、とフィガロのことを想う度に、ああ、だからこそ、とか、だけれども、と前置きはあっても、結局(好きだなあ)に帰着してしまう。自覚してからは特に顕著で、自分の中の想いをどうにか表に出ないよう押し込めることに必死になるしかなかった。賢者としての役目すら果たしているかどうか危うい自分だ。この感情はどう考えても余計でしかない。だから、 4707 いなばリチウムDONE情けない攻めはかわいいねお題ガチャより最高なので皆推しCPで是非https://odaibako.net/gacha/1462?share=tw>長谷部のことがずっと昔から大好きなので今が信じられなくなるも、そのたびに長谷部から熱いキスをかまされて”理解”する審神者>長谷部からどんなときでも何をしてても生まれ変わっても見つけると宣言されて抱いて……となる審神者(もちろん抱かれるのは長谷部)情けない攻めの審神者×長谷部シリーズ②「……信じられないなあ」 思わず零れた、それは独り言だった。けれど聞きつけた長谷部が顔を上げて、「何がですか?」と首を傾げたので、俺は他意なく、昔のことを思い出して、と話す。 「きみが、俺のことを好きだってことが。……あっ、長谷部を信じてないとかそういう話じゃなくてね。この状況が、嬉しすぎて信じられないというか……」 思い出せば赤面ものだけど、長谷部に好きだと伝えた時のことを思い出す。告白の目的は、付き合おうとかそういう感じではなく、俺は想いを告げることで長谷部を遠ざけようとしていた。主である俺が臣下である長谷部のことを好きになってしまったという告白で、引かれるとか蔑まれるとかは想定していても、まさか「俺もあなたのことが好きです」なんて言われた上に行動で示されるなんて夢にも思わなかったのだ。俺がきみを好きで、きみも俺のことを好きだなんて、すごくすごく、信じられないくらいの幸福だ。毎日目覚める度に、俺はめちゃくちゃ自分に都合の良い夢を見ていたのでは? もしくは妄想では? と考え込んでしまう。長谷部を信じていないということでは断じてない。言葉で伝えあって、唇を重ねて、何ならもっと先までしているのに、実感を上回る幸福量に、なんというか、完全にキャパオーバーになっているのだと思う。 2694 いなばリチウムDONE情けない攻めはかわいいね お題ガチャよりhttps://odaibako.net/gacha/1462?share=tw>長谷部に告白している最中、好きすぎて感情が溢れて泣き出す審神者情けない攻めの審神者×長谷部シリーズ① 長谷部のことが、ずっと好きだった。顕現した瞬間に綺麗で頼りになりそうな人が来てくれて良かった、好き、って思ったし、出陣すれば、時には無茶することもあったけどいつだって部隊長として他のみんなを引っ張ってくれたし、戦う姿は凛々しくてかっこよくて好き、って思ったし、近侍になって細かな事務作業やサポートを丁寧にしてくれる上にいつも俺のことを気遣ってくれて優しい、好き、って思ったし、とにかく好きじゃない瞬間がなかった。最初は、単純に臣下への好意だと思っていたけれど、そうじゃないよこしまな気持ちが溢れてくるのを止められなくて、枕や下着を濡らすことも一度や二度じゃなくて、そんな自分が嫌で嫌で仕方なかった。俺は主で、長谷部は臣下なのに、いわば上司が部下によこしまな気持ちを抱いているなんて、それも抑えられている内はいいけれど、いつか勢い余って長谷部を押し倒してしまいそうでこわかった。こわいのは、そんな自分もだけど、超絶仕事が出来て優秀で気遣いの天才の長谷部のことだから、主の俺に対しても気遣って拒絶しないかもしれないことだ。そんなの、長谷部が可哀想だし、俺は世界一最低の主だ。だから、せめて勢い余らない内に長谷部に心の内を明かして、落ち着いて話が出来るうちに長谷部を遠ざけるしかないと思ったのだ。理由を言わずにそうすることも出来たけど、長いこと近侍を務めている彼を急に遠ざけたりすれば彼自身が自分の中に非を探して気落ちしてしまうと思った。長谷部は全然悪くないのだから、理由を言わないのはあまりにも自分勝手だ。嫌われてもいい。気持ち悪がられてもいい。俺の耳に入らない範囲なら、「上司に性的な目で見られてるらしくてまじさいあくきもい」みたいな陰口叩いててもいい。一方的な好意の吐露って時点で絶対きもいよなとは思うけど、俺が過ちを犯す前に手を打つしかない。 2719 12