「一緒に住もう」とシュミットと約束して、ほんの数週間後。
シュミットに連れられ、エーリッヒはあるマンションを訪れていた。
立地も申し分のない、高級マンション。
シュミットに渡された鍵で部屋の扉を開けると、広々とした空間が広がって軽く目眩すら覚える。
玄関、に、これだけのスペースを割いているということは、中はもっともっと贅沢な空間が待ち構えているに違いない。
一通り全ての部屋を覗き、エーリッヒはまだ空っぽのリビングに戻ってきた。
待っていたシュミットが、
「どうだ?気に入ったか?ここなら、お前の職場にも通いやすいだろう?」
とえへんとした。
「ええと………そうですね、すごくいい家ですね」
まだ大学を出たての社会人一年目な自分たちには不相応に思えたが、シュミットはこの家を気に入っているようだ。
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