金曜日、深夜に近い時間。
遠慮がちに部屋のドアがノックされ、ミハエルは誰だろうとベッドを抜け出す。
「はーい?」
「リーダー…私です。シュミットです」
小さな声で告げられた名前と声質はきちんと一致していたし、なによりここはセキュリティもばっちりなはずのインターナショナルスクールの寮。
ミハエルは特に警戒もせず、ドアを開けた。
そこには、申し訳なさそうにパジャマ姿のシュミットが立っていた。
「どうしたの、こんな時間に」
「……中に入れていただけますか」
「勿論いいけど」
シュミットを部屋に入れて、ミハエルは首を傾げる。
ベッドに腰掛けると、シュミットに隣に座るよう促して、もう一度「どうしたの」と訊ねた。
「……エーリッヒと喧嘩しました。もう一緒にはいたくなくて」
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