自転車の歌今日はもうレッスンもなく暇だったこと。ペットボトルの水を飲みきってしまいそうだったこと。事務所の喧噪の中で、ふと孤独になってしまったこと。そして、それが取り立てて苦ではなかったこと。今ハマってるゲームとコラボしたお菓子が、二番目に近いコンビニで出てること。そんないくつかの理由で俺は事務所の階段を下ってコンビニへ向かおうとしていた。
「あれ?タケルじゃん。どうしたの?」
そんな俺を呼び止めたのは隼人さんだった。自転車を漕いできたのだろう、軽く汗をかいている。他の人たちはどうしたんだろう。それに、いつもより少し早い時間だと思った。
「コンビニにでも行こうかと思って」
「へぇー。ねぇ、俺も行っていい?」
「ああ、もちろん」
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