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    えんどう

    @usleeepy

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    えんどう

    DONE▽幼女の続き
    ぐだおに膝枕する王様の話▽幼女とぐだおと王様の話の前の話です
    ▽幼女は出ません
    ▽王様がぐだおに膝枕してるだけ
    ▽ぐだキャスギル








     再現されたカルデア。ノウム・カルデア。以前拠点としていたカルデアはもう失く、ここにあるのはそっくりに再建されたものである。――と、説明を聞いていても、見た目にはそっくりである。管制室も、シミュレーションルームも、トレーニングルームも、食堂も、自室の内装にいたるまでそっくりだった。以前のように、休憩時間を思い思いに過ごす制服を着たスタッフの姿はもうないけれど。
     立香が今座っているソファも、再現されたものだろうか。前のカルデアを隅から隅まで知っているわけではないから、前からあったものなのかは解らないが、あったとしたらここから見える景色は猛吹雪だけだったのではないだろうか。うららかな陽射しが木々に降り注ぎ、地面にゆらゆらと影を落とすのをぼんやり眺めながら、立香はとりとめのないことを思考する。徹夜ではないけれど、それに近い睡眠時間で報告書を仕上げ、それの修正の修正の修正を終わらせた今、立香は晴れて自由の身なのだが、睡眠の足りない頭では何かをするということも閃かない。部屋へ戻るのも億劫で、途中寄り道をしてそのまま座り続けている。ここで眠ってしまうのは避けたい。まあ、こんなところでは落ち着いて眠れないし、脳はフル稼働の余韻でかまだ休む気配がない。気怠さに支配されて、ただぼんやりと影と光が揺らめくのを見ている。木々のざわめきか、鳥の鳴き声、川のせせらぎなんかがあれば寝るにはちょうどよかったかもしれない。
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    えんどう

    DONE▽眠い話のようなそうでもないような
    王様を寝かしつける話▽ぐだおが王様を寝かしつける話です
    ▽ぐだキャスギル






     ふと疑問に思った事がある。夜、立香は自室で眠る時、いつも隣に王がいる。ベッドは一台しかないし当然のように一緒に寝ているのだが、いざ眠ろうという時いつも決まって立香が先に寝、朝は立香の方が後から目が覚めているような気がするのだ。まあ立香は寝つきは良い方ではあるし、英霊が睡眠を必要としない事も知っている。だが、彼も寝ている筈ではあるのだ。朝そこはかとなく眠そうにしている事もあるし、寝ているのか、と聞いた時には寝ている、と言われた。下らない嘘はついても意味がない。という事は寝ている筈なのだが、寝ているところをついぞ見た事がないのだ。
     前置きが長くなったが、要するに立香はギルガメッシュが寝ているところを見たいと思っていた。あの美しい顔が眼を閉じて、安らかに眠っているところを間近で見たいのだ。別の意味で安らかに眠っているところは見た事があるが、あれが最後の記憶になるのはあまりにもむごい。あわよくば寝ているところを眺めたいし、目を覚ましてぼんやりしているところも見たい。しかし立香の寝つきは異常に良い。ギリギリの状況で寝る事に慣れすぎてしまったのか、あのやわらかな布団に包まれれば一瞬で夢の中だ。傍らにギルガメッシュがいる事にも安心してしまう。抱き締めて眠気に抗わず眠る事のなんと心地よい事か。しかしギルガメッシュの寝顔が見たい。
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    えんどう

    DONE▽モブが目撃する話
    モブが目撃する話▽名無しのモブが出ます
    ▽モブ視点です
    ▽ぐだキャスギル






     人理継続保障機関フィニス・カルデア。地球環境モデル『カルデアス』を観測することにより人類社会の存続を世界に保障する、保険機関。のようなもの。ある事件がきっかけでその役目は人類史の存続に関わる重要な時代の守護、事件の解決を武力――英霊、サーヴァントを使役して行う、人理の希望になった。正確に言えば希望は唯一人で、自分のようなただの職員はただの職員。とまあそんな堅苦しいことは置いておいて、ここカルデアは人類を、世界を守るために今日も変わらず運営されている。
     食堂では赤い鎧の弓兵や裸エプロンの猫娘、幼女の女将、ブリタニアの女王が厨房を切り盛りし、トレーニングルームではスパルタの王やケルトの戦士がもうそれ以上どこを鍛えているのか解らない筋肉を鍛え、レクリエーションルームでは戦国を生きた巴御前やインドの神ガネーシャ神、城化物の刑部姫達がゲームに興じ、シミュレーションルームでは古今東西の英雄達が時代や地域の枠を超えて戦闘シミュレーションに励んでいる、そんなカオスな場所。幼女の姿をしたジャック・ザ・リッパー、ナーサリー・ライム、バニヤン、ジャンヌ・ダルク・サンタ・オルタ・リリィ達は今日もキャッキャと姦しく走り回り、微笑ましい光景を生み出していることも書いておこう。
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    えんどう

    DONE▽VD2019?
    ユーフラテスの夕べの話▽王様のVD礼装の話
    ▽ぐだキャスギル






     いつもお世話になっている人へ感謝を込めて。友人へ友情を込めて。愛する人に、愛を込めて。様々な気持ちを甘い菓子に乗せて贈る日、バレンタインデー。そんなバレンタインに立香はギルガメッシュへチョコを渡した。込めたのはもちろん、愛する人へ、の気持ちである。贈るチョコレートも、手伝おうという人達の気持ちを丁重に辞退して(ネットの力は借りたが)誰の手も借りず、一人で作り上げたものである。未知の素材であるカカオを相手に奮闘し、やっと作り上げたものである。出来栄えは良すぎず悪すぎずではあるが、間違いなく立香に今できる最大限だと言えるだろう。
     それを受け取った王は、やはりというかなんというか、感謝はしてくれなかった。それは解っていた事ではあるが、反省しろとまで言われた。ああこれはやはり失敗だったか、と、解ってはいたなりに落胆した立香は、気がついたらウルクにいた。何を言っているか解らないと思うが、ウルクにいたのである。やはりダメでしたか、と言う立香に王が質より量の問題だ、と言ったのは覚えている。いや、王の言葉であればちゃんと覚えている。が、宴席を数分で終わらせるつもりか、真に誉れあるバレンタインを、ウルクを見せてやる、と言われて耳を疑っている間にあれよあれよとレイシフトさせられ、気がつけばウルクで王の用意した舟に乗っていたのである。
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    えんどう

    DONE▽教会でいちゃついてます
    廃墟の教会でいちゃつく話▽廃墟の教会でいちゃつきます
    ▽ぐだキャスギル






     健在であればさぞ立派であったろう天井画は、今や見る影もなく崩れて大穴が空き、瓦礫の形に区切られた夜空が見える。足元に転がる石ころのような瓦礫にはところどころ淡い青が見え、これが元は天井画の一部だったことを教えていた。門戸を開け放したままで壊れたこの廃墟は、かつて教会だった名残を色濃く残していた。
     探索中に見つけた廃墟の教会。周囲には更に廃墟と化した村があるばかりで、その中でようやく見つけた一夜を明かせそうな場所がここだった。
     黒いインクの上へ白く輝く砂を撒き散らしたような夜空から壁へ視線を移せば、朽ちた救世主の傑像がある。ここまでの道のりを共にしてきたレイシフトメンバーは、なんとか原型を保っていた部屋へとめいめいに別れ、眠る者は眠り、見張りに立つ者は外へと出て行った。ギルガメッシュは前者の側で、見張りまでの時間、カルデアでもそうしているように立香と枕を共にしていた。のだが、気づけば隣で寝ていたはずの立香がおらず、またあの無用心者はフラフラと、と幾分憤りながらギルガメッシュが残滓を辿り見つけた立香は、やはりフラフラと無防備に聖堂内を散策していた。皆が寝静まるか教会の外へ出ている今、聖堂の中には立香とギルガメッシュのふたりしかいない。無用心にもほどがある。立香、と呼びかければ振り向いていつものように屈託なく笑われ、そこで怒りは失せてしまったが。
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    えんどう

    DONE▽1部終了〜2部前の話
    退去の日①▽一部終了後、全鯖を退去させた時の話
    ▽王様が出てきません
    ▽ぐだキャスギル






     どんちゃん騒ぎの後、まだ宴会の余韻どころか二次会三次会が開催されるカルデアで、ひとりひとりに説明して回った。
     カルデアは、明日、事実上解体される。名目は査察だし、あの事故で失われた人員の補充、凍結中のAチームの治療など、必要な対応も行われるが、人理焼却の破却まで駆け抜けたカルデアはここで終わりだ。それは喜ばしいことであるし、自分の役目がようやく終わったということでもあるし、終わったということは元の生活に戻れるということ、なのだが。
     立香から退去命令の説明を受けたサーヴァントの中には、退去を渋る者もいた。マスターを、立香を残して行けないと、嬉しくなることを言ってくれる者もいた。けれど、退去命令に従わなければ査問会からいらぬ難癖をつけられる要因になってしまうことは想像に難くない。ここまで共に戦ってくれたサーヴァントの皆をそんな醜い争いに巻き込みたくないし、スタッフの皆が心を砕いて立香を元の生活に戻そうとしてくれているのだからそれを無駄にするわけにはいかない。説明と、ありがとうと大丈夫を何度繰り返したか解らない。また逢えるから、なんて噓か本当か解らない言葉を口にしたりもした。
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    えんどう

    DONE▽VD2018
    ぐだおが記憶喪失になる話▽セミ様のVDイベの頃に書いた話です
    ▽ぐだおが王様のことを忘れます
    ▽思い出します
    ▽ぐだキャスギル





     立香がカカオに頭をぶつけた。諸々の事情は省くが、ぶつけたのである。ぶつかったと言う方が正確だろうか。何がどうしてそうなったのかは解らないし解りたくもないが、どこからともなく高速で飛んできたカカオの実がモロに立香の頭へ直撃し、倒れ込むのを傍にいたギルガメッシュが慌てて受け留めれば気を失っていた。その場にいた全員が驚き慌て、一部始終をモニタ越しに目撃したマシュは泡を食っていた。立香を案じて我も我もと集まってくるサーヴァントたちへ立香を抱えたギルガメッシュは作業の続行が立香のためになると説き指示を飛ばして、自ら医務室へ運んだのが数時間前のことである。なかなか目を覚まさないのは疲労のせいもあるのだろうということではあったが、打撲以外の目立った外傷がないのは幸いだった。マシュは死にそうな顔をしてずっと立香の傍にいたが。その場にいて守れなかったことを悔いているのだろう。たかがカカオだが、真面目な彼女のことだ。気に病んでいることなど想像に難くない。壁に背を預けて二人を見ていたギルガメッシュは嘆息して口を開く。
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    えんどう

    DONE▽オメガバもどき
    ▽王様が巣作りする話
    愛のかたち▽「巣作りする王様ってかわいくない」と思って書いた話です
    ▽オメガバについて浅い知識しかない人が書きました
    ▽転生記憶あり風味の現パロ
    ▽ぐだキャスギル





     ぬかった。確かにここのところあれこれと立て込んでいたのだが、それを体調管理を怠ったことの言い訳にはできない(と、先程散々秘書に言われた)。周期的に言えばあと一週間は先のはずだつたから、大丈夫だと高を括っていたのは慢心だったか。身体が重い。熱い。息を吐くのも億劫だ。玄関先でへたり込みそうになる脚を叱咤して、背を預けていた玄関ドアから身を起こす。ここで座り込めば動けなくなる。ネクタイを緩め、震える指でシャツのボタンを二つ三つ外してズボンのポケットから引っ張り出したスマートフォンの画面を見やる。会話の履歴は今朝、『今日はバイトがあるから夜は遅くなる』という連絡だった。遅くなる、と言うことは閉店までいるのか。さて、閉店は何時だったか。零時か?それ以降だったか?常ならば持ち帰った仕事を片づけているうちに帰ってくるのだが、この状態でそれはとてもできそうにない。できることなら今すぐに帰ってきてほしい、が、無様にそれを請うほどまだ正気は失っていない。画面上の時計は正午を示している。状況を伝えるべきなのは解っているが、少し躊躇ってから画面をロックする。帰ってくるまで耐えればいいだけの話だ。深い溜め息を吐いてスマートフォンをポケットへしまおうと腰に当てたところで、振動と共に電子音が腰に伝わって思わず取り落とす。廊下の床にゴトッと重たい音を立てて落ちたスマートフォンの画面には着信を知らせる表示が光っていた。今確かに伝えるのをやめたはずなのに何故。一瞬無視するかとも考えたが、無視したところで諦めはすまい。壁に手をついてのろのろと屈み込んで拾い上げる。画面に触れ、耳に当てれば即座に切羽詰まった大声が鼓膜に飛び込んできた。
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    えんどう

    DONE▽DK×謎の金髪青年
    年上の幼馴染▽ぐだおだけ転生してそうな現パロ
    ▽いずれ大学生×社長になる予定のDK×謎の金髪青年
    ▽付き合ってない
    ▽ぐだキャスギル(将来的に)





     オレには年上の幼馴染がいる。というと定義と矛盾が生じるけれど、文字そのままの意味ではそうだし、他にこの関係を表す言葉を知らない。
     その人との出会いはオレがまだ小学生だった頃。学校からの帰り道にある公園に友達といつものように遊びに行ったら、いた。というか、通りかかったというか。オレはその瞬間を未だに忘れていない。天気が晴れてたかどうかだとか、風が吹いていたかだとか、そんなことは忘れてしまったけど、景色の真ん中にいたあの人の姿はちゃんと覚えている。
     最初に目に飛び込んできたのは、太陽の光を受けてきらきら光る金髪だった(ということは晴れてたんだな、たぶん)。オレはそれまで近所で金髪の人を見たことがなくて、物珍しくて見たんだと思う。公園の入り口に立っていたその人は金髪も目立ったけど、すらりとして背も高くて、横顔だったけどまるでテレビで見る芸能人、それよりももっと、なんというか、人間離れしてるような雰囲気で、その人の周りだけ空気が違って、しんと静まり返っているような、でも見てるオレの胸の裏側はざわざわざわざわうるさくて、目が離せなくて、無遠慮にじろじろ見てしまっていて、それで、気づかれた。横を向いていた顔がゆっくりこちらに向かって動いて、瞬きの間がやけに長く思えて、閉じて開く目の、少し伏せられていた視線が上がってくるのもスローモーションかコマ送りか、すごく永い時間に思えた。ひたり、と据えられた視線はいちご飴よりもっと赤くて透明なふたつの目玉から発せられていて、オレはそんな色見たことなくて、動けなくて、目があって、胸の真ん中にズドーンと雷が落ちたみたいな、なんかものすごい衝撃を受けた。
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    えんどう

    DONE▽🍛🍛🍛
    ぐだおが作ったカレーを王様が食べる話▽ぐだおが作ったカレーを王様が食べる話です
    ▽はじめてのカレー礼装で興奮してできた話ですが礼装は全く何も関係ありません
    ▽ぐだキャスギル





     月に二度。少なければ一度、食堂に緊張が走る日がある。その日は早朝からサーヴァントを中心に大勢が列を成し、整理券の配布を待って一喜一憂する。清姫や静謐のハサンなどは夜も明けきらぬうちから食堂の外に並ぶという。
     月に二度の特別な日。そう、厨房に我らがマスター、藤丸立香が立つ日だ。
     元々は、自分がやれることがあるなら手伝いたいと、そんな健気な思いつきから始まったこの『マスターの日』。ただの手伝いが包丁の使い方を覚え、火加減について学び、不格好ながらひとつのメニューを完成させた日から始まったこの日は、マスターの作った一品がメニューに加わる。これをマスター贔屓のサーヴァント達が見逃すはずもなく、限定三十、多くても五十ほどの料理はあっという間に食べ尽くされる。もっと量を、品数をという声もあるが、マスターの腕が物理的に限界を迎えてもいいのかと厨房を取り仕切る者達にばっさり切り捨てられている。そうでもしなければあのお人好しのマスターは、自分の腕の限界も省みずに作ってしまうだろう。英断だ。
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    えんどう

    DONE▷ルルハワネタ③
    修羅場▽ルルハワでゲシュペメンバーと王様が原稿修羅場に陥っている話
    ▽ゲシュペメンバー全員いるはず
    ▽ぐだキャスギル





     開け放たれた窓から、乾いた風が吹き込んでくる。クーラーで身体を冷やしすぎるといけないから、と窓を開けたのはマシュだったかロビンだったか。気温は夏のものだが、日本の熱帯夜に比べるとそうも感じない。湿度が低いからだろうか。遠くに寄せて返す波の音が聞こえるのも涼しげでいい。額に貼った冷却シートはぬるくなってしまっているけど。
     遠くで潮騒、近くではカツカツさりさりペンの走る音がしている。ひとつは自分の手元から、いくつかは室内にいる数人の手元から。特異点が消え去るまでのいつもの期間に、せっかくだからサバフェスに参加しようと相変わらず本を作っているのだが、これまでのループと違って人員が一人増えている。立香が仮眠に使う以外使われず資料置き場になっているベッドを占領し、長い脚を投げ出して壁にもたれて座り、文字通り黄金のタブレットにペンを走らせている、ゴージャスPことギルガメッシュP。ピコピコ音のするハンマーの効果が消えたおかげでループを認識するようになったギルガメッシュも、なぜか作業に加わっていた。こういう作業は好きではないだろう、と立香は思っていたから、ギルガメッシュが本作りに混ぜろと言い出した時には驚いた。記憶も戻ったのだし、夏休みには変わりないし、自由に過ごしていてくれてよかったのだが、自由だというなら執筆に混ざるのも自由だろうと言われてしまっては断る理由もない。なのでそれ以降は立香達と共にアシスタント作業をしている。今はセリフ打ちと効果音などの描き文字担当だ。ギルガメッシュはセリフの矛盾を指摘したり、立香よりも日本語に詳しかったりして助かっている。なぜ、という疑問はループも十を超えたあたりで頭に浮かばなくなった。
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    えんどう

    DONE▷ルルハワネタ①
    遅れてきた夏休み▽ルルハワの話
    ▽王様がちょっと凹んでいる
    ▽ぐだキャスギル





     現代では夏に休暇を取るものらしい。どこからかそんな情報が流れてきて、更には土地の余った観光地の南国がその休暇中の滞在先になると聞けば興味が湧くのも必然というものだろう。
    「……バカンス、か」
     主不在の部屋でそう呟いたギルガメッシュは、ふむ、と暫し思考し、蔵を開ける。するすると出てきたのは噂を聞いてから用意した現代の衣服。落ち着いたブルーのシャツに、真白、よりはやや目に馴染むやわらかい白色のパンツにブラウンのジャケット。装飾品は、まあ目立ちすぎなければいいだろう、と適当に数種類選び、ひとつひとつ身に着けていく。常の服装はエーテルで編まれた礼装のようなものだが、これはこの時代における物質を使用して作ったものだ。つまりは立香が普段まとっているものと同じ物質でできたもの……だが、そこに他意はない。バカンスであるし、その場に相応しい装束があるというものだ。これもそのひとつであるに過ぎない。決して、立香と同じ時代のものを身に着けたいという訳ではない。己が生きた時代より遥か未来であり、違う時代を生きている立香に合わせようという気など更々ない。立香とて恐らくは南国に合わせた水着やらを着るであろう。それと並んだ己の姿などは想像もしていない。…………もし立香が水着になっていたら、並び立つには不釣り合いな気もしたが、それは今に始まった事ではない。カルデアで用意された立香のための戦闘用礼装は現代人である立香に合わせて作られているし、ギルガメッシュが得た装束は生前にまとっていたものと大差ない。つまりは立香から見れば明らかに異民族との交流状態だと思われるが、現代人を依代にし、人格も現代人へ寄せた者以外大概、大概な格好をしているから今更である。あのマシュですら戦闘時には凡そ現代人とは思えぬ戦闘服で戦う。一部は現代の霊衣を持ってはいたか。
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