生クリームと苺の乗った甘いの。その奇妙な習慣が始まった日の空は覚えていないけれど、そのきっかけになったであろう出来事をタケルは鮮明に覚えていた。
もっとも、それはタケルがそう思い込んでいるだけなのかもしれないが、おそらくはこれが原因であろうと大河タケルは自惚れている。
そう自惚れてしまうほど、二人の間には時間が流れていた。牙崎漣は21才になっていたし、大河タケルは次の誕生日で二十歳になる。
半年ほど前に始まった奇妙は非日常は、日常へと形を変えて未だに彼らの間に横たわっていた。
***
きっかけは秋だった。ちょうど、牙崎漣が成人した年だった。
THE虎牙道のメンバーはCafe Paradeにいた。次の仕事が一緒の巻緒と咲にミーティングでも、と誘われたのだ。
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