自分の愛する夫とから産まれたレイフを初めて抱きしめた記憶は今でも忘れない。小さい手がナナリーの指をきゅっ、と握る。生まれたばかりでも、その力は強く感じた。目はハッキリと開かれており、にこにこと笑ってナナリーを見ていた。どうやらルキに似らず、目のあの鋭さは遺伝されてない様子だった。隣にいた夫であるルキも、恐る恐ると言った様子で指をゆっくりと差し出したが、ルキの顔を人目見た時、泣き出してしまう。その様子を見たルキは、驚かせたと固まるが、相変わらず目の鋭さは緩むことなく、ますます泣き出す様子に目をそらす。
「……実の息子すらからも俺は……」
「きっと貴方の目を気に入る日は来ますわ。私の子だもの」
「……いや君じゃないからその可能性は低いと思うが……」
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