芽白の指導をしていたのだが、里は隣で打ち込みをしている輝を見る。どうも先程からぼぅ、と魂が抜けたような……集中出来てないのは目に見えてわかっていた。まぁ、無理もない。先程の出来事を思い出す、輝は天寿紅の弟子である奏芽の胸に触れてしまったようで、そこで奏芽が女性と分かった事と、体に触れてしまった事に考え込んでしまっているのだろう。
だが、里はチラリと芽白の様子を見る。芽白は輝が修行に身が入ってないのを見抜いたのだろう、竹刀を片手に音もなく輝の側へ行く。芽白の修行はスパルタだ、一時も気が抜けないため、芽白が音もなく近寄ったとしても、それを感じ取らなければならない。里はそのスパルタのおかげか、芽白がそうして近寄ってもすぐに感じ取ることが出来ていた。
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