紅葉狩り 世間は紅葉狩りの時期、琥珀は鶉を誘って街から少し離れた紅葉狩りスポットに来ていた。もちろん、ディリーも共に。ディリーにいたっては紅葉で色付いた葉を見るのは初めてからか、先程から鶉の手を引っ張り歩いていた。
「鶉! 綺麗だね!」
「そ、そうですね」
鶉はディリーから引っ張られて少し戸惑った様子だったが、琥珀からしたら少しでも楽しんでるように見えてほっとしていた。あの一件からか、自分はもうどうも思っていないのだが、鶉の性格を考えると気にするなと言ってもなにか思うところがあるのだろう、だからこそ誘いにのってくれた鶉に安心したのだ。それはディリーのおかげだろうか、と琥珀は笑う。
少し歩いたら展望台があるはず、そこでお昼を食べようと琥珀は考えていた。今日のために前の日からお弁当のおかずを仕込んでいた、鶉が美味しいと言ってくれるといいな、と手荷物にもっているお弁当の包みを見た。
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