Recent Search

    Asahikawa_kamo

    @Asahikawa_kamo

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 66

    Asahikawa_kamo

    DONE
    第四本目 加賀美ハヤト 「ホテルの最上階」 昔、まだライバーになる前の話をひとつ、話させてください。
     仕事の出張の折に、とある地方のビジネスホテルへ滞在したことがありまして。一泊二日程度の短いものだったんですが、いかんせん地方ということもあってホテルが少なかったようで、少し駅から離れたところに取っていただいたんですね。総務の方がせめてと最上階の部屋を抑えてくださって、チェックインしてエレベーターを降りると部屋が一部屋しかなかったんです。
     実際広くて綺麗ないいホテルでしたよ。眺めも良くて、よく手入れが行き届いているなと感じました。……ただ、少し不自然なところがいくつかありまして。
     まずひとつすぐに思ったのは、廊下の広さと部屋の広がり方がおかしいと感じたんです。私が当時泊まった部屋はエレベーターを出て真横に伸びた廊下の右突き当たりにありました。部屋の扉を開くと目の前に部屋があるわけですが、扉がある壁が扉に対して平行に伸びてるんですよね。四角形の面にある、と言えばいいでしょうか。扉の横の空間がへこんでいて、そこにまた部屋があるなら構造上理解出来るんですが、最上階はテラスなどもなかったので、不思議な形をしているなと思ったんです。
    1384

    Asahikawa_kamo

    DONEオーマで医者やってるidと12歳で身体年齢が止まったmcと敬語が使える5歳kgmとわんぱく9歳fwの話。
    大遅刻ハロウィンネタです。あと家庭教師してるolvもいます。
    続きもので前作は支部( https://www.pixiv.net/novel/series/11342157 )にて。こちらも季節ものなのである程度溜まったら削除して支部に行く予定です。
    ハロウィンネタ「オリバーせんせー」
    「ん? どうしたの、不破くん」
    「これなに?」
    「これ?」

     何の変哲もない、秋の夜長を肌身で感じられるようになったある夕暮れ時のこと。いつものように甲斐田家では家庭教師兼甲斐田不在中の仮保護者として、オリバーが三人の子供たちの面倒を見ている最中だった。今日の勉強を途中でほっぽり出した後に休憩として少し席を外していた不破が、唐突に何かをオリバーの元へ持ってきたのである。
     これ、と称されたものにオリバーが視線を向けると、そこには小学生向けの本が開かれていた。以前、オリバーがいつも勉強を頑張っている不破と加賀美へと幾つか本を見繕って持ってきたことがあったのだが、どうやらその中の一冊であるようだ。桜魔皇国外の国々にしかない珍しいお祭りをかわいらしい絵や写真でまとめたその本の見開きには、とある国で丁度この時期に行われているひとつのイベントについて描かれてあった。
    3682

    Asahikawa_kamo

    PAST四神パロ。モブ旅人(性別不問)が四神の治める国を旅する話です。今回は白虎編で〆。前の話を読まないと分からないです。
    モブが主人公のためとにかく喋るし出張ります。あと特殊設定の嵐。
    旅人と四神 四、白虎 長い長い山道を、数日ほどかけて降りきったその先。少し開けた山の中腹から見えたその街並みは、盆地の中に石造りの建物が所狭しと並んでいる。高いものはないが、綺麗な四角を描いた個々の白は道を挟んで両隣に整列し、今まで訪れた領たちとは一風変わった景色をかたち作っていた。美しい街並みに感嘆の溜息を吐きながらも、旅人はゆっくりと下り坂を降りていく。目的地であった白虎領は、既に目と鼻の先に迫っていた。
     西に位置する白虎領は、この国の政治と学問を担う街だ。他の領と違い、この領だけが石で出来た建物を纏っている。どうやら聞くところによると、国に関する重要な書物や巻物を厳重に保管するためだという話らしい。確かに火災や洪水という点に置いては木より石の方が丈夫なのだから、理には適っているのだろう。ただ、それ以上にきちりと切り取られ置かれた白石が一寸の隙間もなく組み上がり建物を作っているさまは、一種の美術品にも見て取れた。
    4267

    Asahikawa_kamo

    PAST四神パロ。モブ旅人(性別不問)が四神の治める国を旅する話です。今回は青龍編。前の話を読まないと分からないです。
    モブが主人公のためとにかく喋るし出張ります。あと特殊設定の嵐。
    旅人と四神 二、青龍 朱雀領南西部に位置する商街、桔梗の市。朱雀領の中でも一番に大きく、また長いとされているその商街は南北、表通りと裏通り、そして昼夜で様々な色を粧し込んでいる。
     南の表通りは新しく港から取り入れられた輸入品や様々な食材、生活雑貨、衣服を売る店が立ち並び、飲食店も多い。対して裏通りは領から認可された店のみが賭博場を経営しており、その賭けごとも多岐に渡っていた。
     通りを北に遡っていけば領の名にもなっている氏神、朱雀の居住地として据わる霊山である朱明山の麓へと繋がっており、そこにはこれまた朱雀領では観光地の一つとなっている温泉群と宿集落が軒を連ねていた。お土産屋や一服のための茶屋などが並んでいる表通りもまた、南と同様観光客や旅人の行き交いが多い。そんな北の裏通りに繋がる道はたった一つの大門だけで、日の高いうちは静かに門を閉じているが、日が暮れると大人のみが訪れることのできる遊郭街に通ずる唯一の道となる。絢爛豪華で華美な服を纏い、眩しいほどの簪を挿し込んだ人々が妖艶に笑みつつ、店の窓際で手招きをするのだ。
    3291

    Asahikawa_kamo

    PAST研究のため怪我の多いidと、それを心配するkgmの話。idに怪我の描写があります。
     加賀美が初めて異変に気付いたのは、以前収録の折に甲斐田が作業のためにと袖を捲った時、前腕に真新しい傷のようなものを見たのが最初だった。インナーの端からちらりと顔を覗かせたそれはまだ痛々しいほどに赤く、おそらく最近出来たものだろうと察するのは容易なものではあった。が、加賀美はそれに声をかけることはなく、知らないふりをして視線を逸らすことにしたのだ。
     自らのユニットメンバーが異世界人であることは勿論理解している。彼の国は当たり前のように未知の何かと戦い、尊い命が喪われることもあるような場所であるとも。住む世界が違えばそんなこともあるか、と加賀美は結成時頭のどこか遠いところでそんなことを思ってはいたが、目の前の甲斐田は割と普通そうだったとでも言えばいいだろうか。彼と過ごすことが増えた半年か一年の節目頃に、一人で今までのことを振り返り何となくひとりごちたことをよく覚えていた。そりゃあそうだ、普通そうにしているに決まっているだろうなんて、自分が傲岸不遜な面を取っていないのと一緒だと気付いたのだ。まあそもそも、加賀美自身代表取締役としての一面の時も傲岸不遜な面など取ることはあまりないのだが。
    4618

    Asahikawa_kamo

    PAST見送るmcの話。
    「卒業おめでとう!」

     不意に耳へ滑り込んだ声に、剣持はふと立ち止まり、視線を向ける。新緑色の先にはどうやら、近所の学生らしい制服姿を身に纏った少年少女たちが肩を寄せて笑い合っているところだった。手に握る一輪の花や大きな紙袋に詰まっているお菓子、風船がどこかお祭り感を醸し出している辺り、彼らは誰かに見送られた立場なのだろうということが見て取れる。
     そうか、もうそんな時期か。ゆるやかな逸らしと共に彼の双眸は、近場で背を伸ばしていた木へと移り変わる。今年は暖冬だという話であったはずなのに、未だ寒さが尾を引き続けている三月上旬の東京の花は、つぼみのままで風にその枝を揺らしていた。
     春は出会いと別れの時期であるらしい。十六歳を繰り返している剣持にとっても、確かにそれは正しい認識であった。この身は学生として日々従事しているが、春はすべてがまっさらになる。いつかの友人たちは年を繰り上げて先輩になり、学び舎を旅立っていく。剣持は数年前から既に学校行事には出席せずともよくなっていたが、卒業式だけは毎度顔を出していた。笑顔と少しの涙を携えたかつての友を見送るために。社会という名の世界に進んでいくだろう彼らの背を覚えておくために。
    1086

    Asahikawa_kamo

    PAST電車に乗るkgmの話。マシ"ラホ"、雑キ(というかchaiチャン)、のわ、rfがいます。
    漂う死表現、ざっくりファンタジー時空。
    選は「不老」及び「長命」、「異世界人」でした。
    転生電車 かたんかたんと、電車の音がする。眠気に揺られながらも少しずつ醒めた意識を持ち上げるように瞼を開いて、ぼうっとする頭を少しだけ擡げる。ああ、どうやら知らぬ間に寝てしまっていたようだった。ふと視線を左右に彷徨わせて、辺りには私以外の人がいないことに気付く。どうやらこの車両には私しか乗っていないらしかった。
     身体は小刻みに心地の良いリズムで私を揺らしていた。電車はずっと真っ直ぐに向かって走っている。眠気からまだぼんやりとする意識が、鈍く私の思考を遅らせていく。思えばいつ電車に乗っていたのだろう。ひどく長く眠っていた気がするが、寝てしまう前のことが何も思い出せなかった。
     途轍もない眠気に欠伸を噛み殺して、ふわふわ、ゆらゆらと揺れる頭をそのままに、電車の揺れに身を任せる。振動に合わせて視界に映る前髪が右往左往し、何となく身体を包む温かさが更に眠気を助長させていた。もう一度寝てもいいだろうか、なんて少しばかり思考が過ぎりながらも、どうにかして視線をゆるやかに上げた。
    7993

    Asahikawa_kamo

    PASTリプきたセリフで一コマ描く のタグでそらさん(@._S0R4__40B4_)から頂いたセリフ「ちゃんと目を見て言えますか」で書きました。
    無理しがちkgmとそれを叱るidの話。
     一番最初に出来なくなったのは、咄嗟に誰かの一言を掬うことだったと記憶している。次に、喋ることが少し億劫だなと思うことが増えてきていた。そうして、外に出ることがつらくなってきて、食事が面倒だと感じることが多くなった。どうにかこなしているうちに、遂に目の前が霞むようなことが何度も起こるようになってしまった。
     心因性のストレスだろうというのは大いに理解していたけれど、それでも病院にかかる程度が精々関の山。入院は出来ない、もっと言えば休むことさえ難しいと医者に言えば、難しい顔でいくつかの処方箋を出してくれた。それを飲みながらどうこう誤魔化しつつ動いている内に、その朝がやってきてしまった。

    「……?」

     歌が歌えないと、唐突に気付いた。気付いてしまった。声を音にすることが出来ない。メロディを紡ぐことさえままならない。喋ることは出来る、音を出すことも出来る。けれど、この声が明確な音階にならなかった。それを知った時、はくりと口が呼吸を薄く吐き出して、溜息にもならず気化していった。自分の存在意義が、不明瞭になったのだ。
    3360

    Asahikawa_kamo

    PASTリプきたセリフで一コマ描く のタグで白米さん(@.gohan_oxo_suki)から頂いたセリフ「本当にいいんですね?」で書きました。
    特殊設定、特にバーチャルと現実世界の繋がりに物凄い夢を見ています。りらいば時空の大分前の話で、おおよそ物凄いでっちあげて書いたkgmmcらしき何かです。
    「……社長。本当に良いんですね」
    「ええ、構いません。お願いしても良いですか、甲斐田さん」

     思えば、それは体現という名の存在だった。インターネットを好んだとある高校生は、彼自身がインターネットとして君臨する者となってしまったのだ。
     世界は順繰りと時間を進めるうちに、様々なものを衰退させていく。始まったものは終わるし、生きているものはやがて死に至る。その中で変わらず在り続けるものとして、データは大海を揺蕩い続けていた。インターネットが在る限り、数字とアルファベットと記号で構成されたそれらは波を泳いでいる。いつしかバーチャルは当たり前になり、不変になった。その中でも年齢を重ねることのなかったとある高校生は、初期に比べてひどく膨大になり、また偶像と化していた。インターネット上に構築された「剣持刀也」という青年は様々なものを巻き込みながらも確立し続けたことによって、彼自身がそれそのものとなったのである。
    2540

    Asahikawa_kamo

    PAST続いたmcぱぺとカイヌシの話
     ぼくはぱぺである。名前はまだないが、カイヌシはもちぱぺと呼ぶ。これは別に名前ではなく、ぼく以外にももちぱぺはたくさんいる。ぼくだけの名前はないが、カイヌシはぼくのことをもちぱぺと呼んでいる。
     今日のぼくはカイヌシを見送って家で留守番だ。この家にはたくさんのぱぺがいるが、カイヌシは気分で外に連れ歩くぱぺを変えている。今日はしゃちょぱぺがカイヌシと外に行ったようだった。まあきっとおみやげにおかしを買ってくるだろうから、それまでてきとうにすごすことにした。カイヌシのかくしたおかしを見つけたから、これを開けようと思う。カイヌシのものはぱぺのもの、ぱぺのものはぱぺのものである。
     ふくろをどうにかして開けて、つやっとしたチョコレートを食べているとカイヌシが帰ってきた。おっとまずい、たべているところを見つかるとおこられるのだ。べつにおこられても怖くはないが、めんどうではある。さっとにげていつもぼくがおかれているところに座っていると、開けられたチョコレートの袋を見てカイヌシが何かわめいているのがきこえた。そんなにおこって、たんきだなあと思っていると、かばんからぬけでてきたしゃちょぱぺが、いつもおかれているぼくのとなりまでやってきた。
    920

    Asahikawa_kamo

    PASTrf四神パロ、朱雀が街でお散歩する話。
    フォロワーさん300人記念としてネップリに登録していたお話でした。
    朱雀散歩「あ、みなと!」
    「みなとだー!」
    「おーおーちびっ子元気か~?」
    「げんきー!」
    「そーかそーか、んならええやん」

     朱雀領南西部にある、桔梗の市。この領で一番に大きい観光名所であり商い処でもあるその市には、時々ミナトと呼ばれる華美な見目の青年が訪れることがあった。市で働く者の間では特に有名で、彼がやってくると近いうちに何故か大きい商機が舞い込むなどという迷信さえあるような謎の男として、まことしやかに囁かれていたのだ。
     とはいえ彼自身が何か市へと干渉するわけではなく、ただ他の客と同じように市で物を買い、飯を食い、時折馴染みの子供と遊んでくれるという、ごくごく普通の客であった。やはり昔馴染みも多いからか、見知らぬ者が増えていれば挨拶をし、見知っていたはずの誰かが居なくなっていたらその所在を訊いたりもするが、それは他の馴染みの商人でも良くやることである。人によっては彼を旅人だと言う者もいたが、それにしては旅人らしい様相もしていない。何処に住んでいるのかも分からないとされているため、市で働く者たちは彼がどこからやってきているのか、何者であるかということをてんで知らないのである。
    1972