三日月は静かに見下ろしていた 今日は朝から忙しく、創務省を出た時は夕日はもう落ちており、空が暗く夜になっていた。朝から忙しかった、と琥珀は少し息を吐いて外を歩く。琥珀と同じように仕事終わりの人達がせわしなく歩いたり、夜の街へ行くような人達ですれ違っていた。
疲れからか、あまり人混みの多い所は歩きたくないと思った琥珀は少し考えてちょうど目に付いた大通りから外れた道へ足を運んだ。大通りとは違い、ほぼ人通りのない道。
時間が時間なため、あまり悠長に歩かないようにしようと思いながら歩く。街灯の光が薄暗く道を照らす、明かりがあるだけましかと琥珀は歩いた。
歩きながら空を見ると丁度三日月が空に見えていたが、雲が多いからか時々月が雲に隠れてしまう。だが、雲に薄く隠れた月も綺麗に見えて琥珀は少し微笑んだ。
2202