懐中時計 父に呼ばれ琥珀はリビングに入った。母と離婚して父と暮らし始めてどのくらい経っただろうか、父にお願いして学校を転校せず、いつも通り創と通えていた。
そんな自分は、この家を出て全寮制の男子校に通うことになったのだ。はっきりいって、父に引き取られた後でもあまり父と話すことがなかった。昔から仕事が多忙で家に帰ってるのか分からなかった。そのため二人暮しのはずなのに、一人暮らしのような感覚だったのだ。
リビングには父がもうソファに座っており、琥珀をみて座りなさい、と一言言った。琥珀は何も答えずに隣に座る。そういえば、父とこうやって顔を向けて話すのはいつ以来だろうか。
「……なにか……?」
「……あー、その……これ」
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