琥珀は目の前の現状に思わず舌打ちをした、没が出たということで先程からどれくらい没を斬ったのか覚えていない。けれど数が減らないのだ、何か大元を叩かないといけないのは分かっているのだが、それすらも見つからない。しかもだ、住人の避難も終わっていないという、琥珀は住人に危害が及ばないように動いて大元を探すという一人では到底出来ないことをしていた。サクリは先程から槍で薙ぎ払ってくれるが、ニジゲンでは没を倒すことが出来ない。
「大元が見つからない……」
「何度やっても無意味だな」
サクリはうんざりとした様子で見ていた、今は琥珀しか居ないため彼は出てきてくれるが、もし応援が来た時には彼を隠さないといけない。それにしてもまだ応援は来ないのか、苛立ちが隠しきれないように足を踏み込み剣を握り返した時、避難していた住人に没の攻撃が伸びていることに気づいた。
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