Recent Search

    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

    ☆quiet follow Yell with Emoji ❤ 🌟 🎀 🍎
    POIPOI 434

    85_yako_p

    DONE鋭百。目隠し鬼をする二人。(2021/11/18)
    夜に遊ぶ、名前を呼ぶ。「百々人」
     そう恋人を呼ぶ、自分の声が好きだった。
     百々人がそれを聞いて振り返り、笑う。そういった化学反応にも近い絶対を他人に求めても裏切られることのないという慢心に近いものがあったのだと思う。
     言葉に灯る熱は時間帯で温度を変える。いや、太陽が塗り替えるのだろうか。陽光の届かない真夜中のシアタールームで百々人を呼ぶ声は、自分でも驚くほどに色に濡れていて、滑稽だ。
    「なぁに? マユミくん」
     満遍なく広がった夜の、ざらざらとしたスクリーン越しに見る百々人は楽しそうだ。ソファーで隣り合っていた距離をめいっぱいに詰めて、百々人は当たり前みたいに俺の肩に頬をよせて吐息だけで笑う。そうすると俺はどうしようもなく愛おしくなってしまい、いつも百々人にキスをしていいかを問い掛けてしまう。数秒の沈黙が俺たちの作法だ。百々人から与えられるものは肯定ではなく否定だけだから、なにも与えられなかったら俺は好きにするしかない。頬に触れ、薄暗い部屋で色彩を失った唇を舌で舐めれば百々人は口を少し開いて応じるように目を伏せた。ぱくりと呼吸を飲み込んで、そのまま背中を支えてソファーに押し倒す。俺たちはお互いに手探りで貪り合ったせいで、キスだけは大人の味を覚えてしまった。舌を割り入れて、内側に入り込み、百々人の目尻に涙が浮かぶような箇所を執拗に辿る。抵抗なのだろうか、奉仕なのだろうか──百々人が絡めてきた舌を甘噛みして、快楽から少しだけ目をそらすようにしてただ二人で息をしていた。
    5781