85_yako_p カプ入り乱れの雑多です。昔の話は解釈違いも記念にあげてます。作品全部に捏造があると思ってください。 ☆quiet follow Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 434
ALL タケ漣 鋭百 カプなし 天峰秀 大河タケル 100本チャレンジ モブ 牙崎漣 花園百々人 想雨 カイレ クロファン C.FIRST 眉見鋭心 天道輝 ミハレナ ダニレナ 既刊 伊瀬谷四季 蒼井享介 蒼井悠介 W 若里春名 華村翔真 Altessimo 神楽麗 都築圭 古論クリス 葛之葉雨彦 レジェンダーズ 北村想楽 百鋭 秀百 薫輝 THE虎牙道 タケ漣ワンドロ web再録 誕生日 くろそら 途中 秀鋭 卒業 ケタザザ 短歌 プロデューサー 円城寺道流 叶納望海 御田真練 超常事変 渡辺みのり 癒残 堅真 ウォリアサ R18 街角探偵 わからん 九十九一希 四季漣 親友 輝薫 書きかけ 黒紅 道漣 DoS幻覚 ドラスタ 桜庭薫 BoH 春隼 サイバネ 山下次郎 寸劇 左右わからん しのかみしの 東雲壮一郎 ハイジョ レナート ミハイル S.E.M じろてる 旬四季 北冬 東雲荘一郎 秋山隼人 悠信 神谷幸広 アスラン そらつくそら 四季隼 140SS 黒野玄武 冬美旬 冬春 ゲーム部 ジュピター 卯月巻緒 四季秋四季 85_yako_pDONE鋭百。舌を噛む百々人。自分に自分は見えないってやつ。(2021/12/31)テル・ミー マユミくんと映画を見ていた。シアタールームにたったふたりで、部屋を薄暗くして、手も繋がずに、視線も交わさないまま。 罪悪感を覚えること自体が間違っているんだけど、アマミネくんがいない二人きりの時間にぼんやりと絡まっていた『なんとなく申し訳がないな』っていう気持ちが薄まってしばらく経つ。聞かれたらきっと教えるけれど、口にするほどの関係はここにはない。僕が言った、軽口に冗談を浸した布で自分でもわからない感情をぐるぐる巻きにした「好き」って言葉にマユミくんは一瞬だけキョトンとして、「嬉しい」も「俺も好きだ」も言わずに「なら、付き合おう」と言ったんだ。だから付き合ってる。僕はマユミくんが好きで、マユミくんが僕をどう思ってるかなんて、知らない。 5361 85_yako_pDONE鋭←百。恋と遺影の話。100本チャレンジその11(2021/12/23)キミを看取るカメラ「マユミくん」 視線をあげれば、ぱしゃり、とシャッターが切られる音がした。レンズの向こう、百々人が俺を撮っている。昔に流行った機械だ。そのまま百々人の手の中に、映し出された俺の写真が収まった。 「なんだ。俺を撮っているのか?」 百々人は紙を振っている。なぜ、だろう。きっとなにか理由があるはずだが、それを取り立てて聞く気にはならなかった。 「うん。……遺影、撮ってる」 物騒なことを言う。だが、なぜか否定する気にはならなかった。それはきっと、百々人にとって必要なことなのだろう。ただ、はいそうですかと言うわけにもいかない。 「……死ぬ予定はない」 百々人は特に驚きもせずに言った。白状した、と言えるだろう。 「僕が殺すの。……いまのマユミくんは死んじゃうから、記念」 916 85_yako_pDONE鋭←百。はじめましてが気楽な百々人。100本チャレンジその9(2021/12/19)いいこでいたいの 鋭心先輩に穴が空いた。それも、ふたつ。 ひとつは俺の記憶に、ひとつは百々人先輩の記憶に繋がっていたものだから、鋭心先輩からは俺たちの記憶がさらさらと流れ出してしまう。カップケーキに乗った銀色の玉のようなそれは必死に集めようとしても触れた瞬間に溶けてしまうから、拾い集めて戻すことも叶わない。 さて、どうしたものか。数日の後、プロデューサーがちょうど穴を塞げそうなパーツを持ってきた。珍しいものだからひとつしかないと、申し訳なさそうに告げて手のひらを広げてみせる。 探せばまだどこかにあるかもしれません。プロデューサーは希望的観測を口にしたあと、俺と百々人先輩を交互に見て黙ってしまった。気持ちはわかる。当事者は俺と百々人先輩だから。 1635 85_yako_pDONE鋭百。泣かせて泣かされる。100本チャレンジその7(2021/12/13)蛙の肝も要る。 未来から百々人がやってきた。なるほど、確かに未来の百々人らしく、内側から滲む雰囲気には落ち着きと余裕がある。これくらいなら演技の範疇と言えるだろうが、単純な俺はこの百々人が俺の机の引き出しから現れたという事象だけでこの事実を飲み込んでいた。タイムトラベルと引き出しを関連づけられた日本人は多い。もれなく俺もそのひとりだ。 百々人曰く、どうやら将来的に百々人は泣きはらして目を真っ赤にしてしまうようだ。そうして、非常に困ってしまうと言う。そこで、その充血を抑える目薬を作るため、材料である俺の涙を採取しにきたらしい。 そういう理由であれば協力しようと、俺は百々人が持ち込んだタマネギに爪を立てたり、輪ゴムでスネを弾いてみたりと努力はした。が、俺はもう18になる男だ。そんな簡単に涙はでない。百々人の応援虚しく、材料は集まらない。 967 85_yako_pDONE初夜の後、コインランドリーに行く鋭百(2021/11/27)共犯関係 ぐちゃぐちゃだった僕の意識がクリアになって、痛みとか、匂いとか、温度で我に返る。 最初に脳裏をよぎったのは、あーあ、やっちゃった、って言う他人事みたいな単語だ。僕を抱きしめたままのマユミくんは僕の頼りない肩に顔を埋めている。現実逃避というよりは、なにかを繋ぎ止めるようにしっかりと、僕を掴んで離さない。 綿毛みたいな、ふわふわした存在じゃないよ。言おうとしてやめた。たまに、ぴぃちゃんじゃなくてマユミくんと一緒に居るときに、どっか飛んでっちゃいたくなるのは本当だから。 マユミくんの部屋は、ここに踏み入れたときみたいな正しさとか、道徳とか、そういうものを失っていた。今日僕たち二人がシアタールームじゃなくてこの部屋を選んだのには理由があって、そのわけを明言できないまま事に及んでしまったのがさっきの話だ。有り体に言えば僕らはセックスをした。それだけなのに僕は限りなく満たされて、たったひとつの物事が終わっただけなのに、ひどく、寂しかった。 6700 85_yako_pDONE秀くんに全部バレてる鋭百が付き合う寸前の話です。100本チャレンジその4(2021/11/26)魔法のリボンでメタモルフォーゼ「百々人先輩に秘密を教えてあげます」 そう言いながらアマミネくんはしゅるりとリボンタイを解く。どうやらなにやら、始まるらしい。 「……いやらしい秘密?」 「別に脱ぎませんよ」 子供と大人の中間みたいな指先が、華奢なリボンタイを弄ぶ。そういえばリボンタイってつけたことがない。 「このリボンタイ……実は、つけると誰でも『天峰秀に見えるようになる』リボンタイなんです」 内緒ですよ。とアマミネくんは釘を刺す。僕は無視してカメラを探す。 「……ドッキリ?」 僕の返事を無視して手渡されるリボンタイ。特に何も言われていないが、僕はネクタイを外して心許ない紐を首にかける。これがドッキリならお仕事なわけだから、ぴぃちゃんの期待を応えないとね。 1717 85_yako_pDONE鋭百。目隠し鬼をする二人。(2021/11/18)夜に遊ぶ、名前を呼ぶ。「百々人」 そう恋人を呼ぶ、自分の声が好きだった。 百々人がそれを聞いて振り返り、笑う。そういった化学反応にも近い絶対を他人に求めても裏切られることのないという慢心に近いものがあったのだと思う。 言葉に灯る熱は時間帯で温度を変える。いや、太陽が塗り替えるのだろうか。陽光の届かない真夜中のシアタールームで百々人を呼ぶ声は、自分でも驚くほどに色に濡れていて、滑稽だ。 「なぁに? マユミくん」 満遍なく広がった夜の、ざらざらとしたスクリーン越しに見る百々人は楽しそうだ。ソファーで隣り合っていた距離をめいっぱいに詰めて、百々人は当たり前みたいに俺の肩に頬をよせて吐息だけで笑う。そうすると俺はどうしようもなく愛おしくなってしまい、いつも百々人にキスをしていいかを問い掛けてしまう。数秒の沈黙が俺たちの作法だ。百々人から与えられるものは肯定ではなく否定だけだから、なにも与えられなかったら俺は好きにするしかない。頬に触れ、薄暗い部屋で色彩を失った唇を舌で舐めれば百々人は口を少し開いて応じるように目を伏せた。ぱくりと呼吸を飲み込んで、そのまま背中を支えてソファーに押し倒す。俺たちはお互いに手探りで貪り合ったせいで、キスだけは大人の味を覚えてしまった。舌を割り入れて、内側に入り込み、百々人の目尻に涙が浮かぶような箇所を執拗に辿る。抵抗なのだろうか、奉仕なのだろうか──百々人が絡めてきた舌を甘噛みして、快楽から少しだけ目をそらすようにしてただ二人で息をしていた。 5781 85_yako_pDONE鋭百。らぶらぶです。同性婚の話をするし、それに対して楽観的です。(2021/11/03)まほろばレイトショー「マユミくんとラブホに行ってみたいな」 唐突な言葉は脈絡がない。ただ、それは俺の意識を目の前の映画から簡単に引き離す。アクションシーンの爆発の音が少しだけ遠くなって、俺はただ横に座る百々人の顔を見た。 百々人はこちらを見ていた。いつからそうしていたのだろう。百々人の目線は俺の鎖骨の辺りと瞳を行ったり来たりしていて、映画で画面がちかちかと光るたびに瞳の明暗が踊る。欲を煽るような言葉とは裏腹に、その視線は申し訳なさそうにおどおどとして痛々しかった。 百々人にはこういうところがある。たまにふと願いを口にしてみせては怯えるような、試すような目でこちらと見ていることがある。例えば自分には子供はいないけれど、叱られた子供が母親の機嫌を伺うときにはこういう顔をするのではないかと考えてしまう。そういう目だ。 4522 85_yako_pDONE鋭百と深爪とセックスとイチゴ味の話。(2021/10/31)君のための僕はイチゴ味 シアタールームってでっかい音を出してもいい部屋のはずなのに、なんの音もしてない。マユミくんの呼吸は一定で、僕は自分の呼吸になんて意識が向かなくて、心臓の音は平常だ。 真っ暗な画面は始まりを待ってはいない。いまは、映画が終わったばっかり。それなのに僕らは感想も言わず、興奮も得ず、ただぼんやりといつものより近い距離で、この快適な空調の効いた部屋で体温をわけあっている。 マユミくん、と呼びかけて彼の首筋に頬を寄せた。ゆっくりと血の通う感覚があって、ふいに首筋に歯を立てたくなる。イタズラをするつもりで口をひらけば頬を撫でられて、そのままマユミくんは僕の呼吸を飲み込んだ。舌が絡んで気持ちが良くて、もうマユミくんの首筋なんてどうでもよくなってしまう。背中に回された手に体重を預ければ、そのまま柔らかいソファに押し倒された。 4105 85_yako_pDONE解釈を寝かしつけて書いた、性癖だけの鋭百々です。ペディキュアとセックスの話。(2021/10/18)ひみつの、二人 違和感は絵の具の赤に似ている。もうとっくに捨ててしまった絵の具セットの、一番右端にいた赤い色。 たとえばシャワーを浴びたりしながら、どうしようもなく視線が下がったときに僕はそれを見つける。当たり前みたいにくっついてる足の指10本。その全てにべったりと塗られたペディキュアは何回見たって不自然だ。濃くて、べったりとしていて、人間が肉の下に隠さなければいけない色がてらてらとまとわりついている。生とは切り離せないその色は、ひどく美しい。 感情の色だと思う。マユミくんの色だと思う。事実これを塗ったのはマユミくんだから、間違っちゃいない。どうしても欲しいとねだったものは二転三転形を変えて、今はこの色に落ち着いている。 5052 12