85_yako_p カプ入り乱れの雑多です。昔の話は解釈違いも記念にあげてます。作品全部に捏造があると思ってください。 ☆quiet follow Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 434
ALL タケ漣 鋭百 カプなし 天峰秀 大河タケル 100本チャレンジ モブ 牙崎漣 花園百々人 想雨 カイレ クロファン C.FIRST 眉見鋭心 天道輝 ミハレナ ダニレナ 既刊 伊瀬谷四季 蒼井享介 蒼井悠介 W 若里春名 華村翔真 Altessimo 神楽麗 都築圭 古論クリス 葛之葉雨彦 レジェンダーズ 北村想楽 百鋭 秀百 薫輝 THE虎牙道 タケ漣ワンドロ web再録 誕生日 くろそら 途中 秀鋭 卒業 ケタザザ 短歌 プロデューサー 円城寺道流 叶納望海 御田真練 超常事変 渡辺みのり 癒残 堅真 ウォリアサ R18 街角探偵 わからん 九十九一希 四季漣 親友 輝薫 書きかけ 黒紅 道漣 DoS幻覚 ドラスタ 桜庭薫 BoH 春隼 サイバネ 山下次郎 寸劇 左右わからん しのかみしの 東雲壮一郎 ハイジョ レナート ミハイル S.E.M じろてる 旬四季 北冬 東雲荘一郎 秋山隼人 悠信 神谷幸広 アスラン そらつくそら 四季隼 140SS 黒野玄武 冬美旬 冬春 ゲーム部 ジュピター 卯月巻緒 四季秋四季 85_yako_pDONEクロファン(タケ漣)です。ファングがスラム育ちで文字が読めないという捏造があります。(2024/8/16)フロム、ダーリン ファングには週に一度、手紙が届く。 ハートのシールが貼られたそれは俗に言うラブレターで、差出人はクローだ。便箋にはクローの気持ちが綴られているのだが、封筒が開封されることはない。 「なんだその手紙は」 「知ってて聞くな。クローからのラブレターだよ」 「読んでやればいいのに」 セブンの口調は揶揄というよりは苦言を呈するものだった。その苦笑いの意味をファングはわかっている。 「わかってんだろ。オレは読み書きなんざできねぇんだよ」 彼が育ったスラム街では文字の読み書き以上に大切なことなどいくらでもあったから、読み書きができないこと自体はファングにとってなんの負目でも問題でもない。 そんなファングの事情を理解した上でラブレターを渡してくる少年のことをファングは好ましく思っている。手紙を受け取っても理解することのできない男のために、人を殺すための指先で愛を綴る。その行為はファングにとって、どうしようもなく愚かで愛おしいものだった。 1606 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ38「例」(2020年のどっか)ワンドロ本を作るときの書き下ろしです。クロファン。大人になりたいクローくん。例えばの最適解【命題】 愛について 【前提】 僕はファングが好き。 僕はファングが大好き。 僕はファングを愛してる。 ファングは僕が好き。多分。 わかんないけど、きっとそれだけ。 だから、全然足りないんだ。 【例題】 僕たちは生き残った腹いせみたく、任務の翌日は一昔前に流行った曲が流れるダイナーで食事をとると決めている。 僕はアメリカンクラブハウスサンド、ファングはワッフルとフライドチキン。そんないつもの光景を見ていると、ファングと結婚したら食事は僕が作ろうという気持ちが強くなる。鶏肉にメイプルシロップをたっぷりとかけてワッフルと一緒に頬張るところも大好きだけど、樹液まみれになった揚げ鶏を愛せるかっていうのはちょっと別の話だ。 4223 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ37「大」(2020年のどっか)ワンドロ本を作るときの書き下ろしです。クロファン。すけべ。そうして僕らは途方に暮れる 子猫に噛み癖があったと知ったのは、転職してしばらくしてからのことだった。 * オレたち三人がおそろいでまとっていた血と硝煙の匂いは、殺しよりも数倍は難しい就職活動を機に各々形を変えた。 オレは配達する新聞から移ったインクの匂い。クローは花家の店先に並んだ色とりどりの匂い。セブンは評判の店が毎朝せっせと焼き上げるパンの匂い。 確か、あの子供は甘い匂いがした。孤児院に預ける時にセブンはもう会えないと自嘲気味に呟いていたが、オレたちの健全な働きっぷりを思えば会いに行くのも悪いことではないだろう。まぁ、あの年だ。オレたちのことなんて覚えていないと思うけれど。 オレはクローがわざわざ買ってきた花を見ながら、インクの黒が滲む手でセブンがもらってきたパンを食べる。オレとクローは人殺しをしていたときと変わらない様子で喋るけど、セブンはなんだか憑き物が落ちたような顔で笑う。 4305 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ32「ひる」(2020年のどっか)ワンドロ本を作るときの書き下ろしです。クロファン。昼夜逆転。大迷惑 最近、昼と夜がひっくり返ってる。おはようと笑うのは三日月で、眠るつもりかと太陽が責め立てる、そんな日々だ。 何も不摂生というわけじゃなく、これはれっきとした任務なのだ。僕とファングは夜に起きて朝に眠る。仕事場が不夜城なので致し方ない。 僕はデキる男なので文句は言わない。ファングも行きつけのハンバーガーが食べれないこと以外は気にしていないようだ。どこかで聞いた通り、配られたカードで勝負するしかないのさ。だから当然、逆転した生活にも楽しみを見いださなければならない。退屈はファングの瞳を殺していくので、定期的に刺激を与えないとならないんだ──死んだ目のファングも、それはそれで色っぽいんだけど。 まず僕たちは起きてすぐに星を見た。僕はそれなりに予習をして星座の名前やロマンチックな逸話とかを仕入れてきたのに、ファングはものの五分で飽きた。ファングが僕の話を聞かないなら僕だって飽きる。あんな遠くの光に価値なんてない。ファングと一緒に笑えないものは総じてガラクタだ。結局星は朝のニュースの代打にもならないと知った。星を見ながら食べるシリアルはちょっとロマンチックだと思っていたのに。 2423 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ29「すぎる」(2020年のどっか)ワンドロ本を作るときの書き下ろしです。クロファン。パブロフの犬的な。りんごとはちみつ「最悪」 ふさいでいた唇が自由になって、まっさきにクローが吐き出した言葉がこれだった。オレはといえば舌にこびりついたどっちのもんだかわからない血の味が心地よい。 「なんだよ。いつもは赤ちゃんみたく口寂しくしてんのに。キスは大好きだろ?」 「……僕は血の味が嫌いなんだよ。そもそも、血って好きじゃない」 血液の詰まったズタ袋がなんか言ってる。さっきまで舐めあっていた箇所は錆びついた味がして、クローが思い切り唇を切ったことがわかる。血の味なら、オレがちょっかいをかけなくても口には鉄の味が広がっていたはずだ。オレのせいじゃないと告げれば、ファングだって口を切っていると返される。お互い様だった。 「そもそも、そんなに血まみれの服で近寄らないで。血の匂いで鼻が曲がりそうだ」 2256 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ52「あか」捏造しかないクロファンです。(2020/07/26)あしたにはさよなら クローがナンバー持ちになるそうだ。アイツとしては念願が叶うということなのだが、オレは複雑な気分でもある。実のところ、アイツの願いはオレと一緒にいることであって、ナンバー持ちというのは手段だからだ。 まあ、ナンバー持ちには条件がある。誰もがみんな通る道だ。単純に、目を弄る。それだけ。 弄られた目は赤くなって、みんなで仲良くお揃いって寸法だ。これを『家族』の証と言うから笑わせる。まっとうな家族があるやつはこんな仕事してねえよ。寄せ集めのガラクタでもう意味なんてなくなる単語に縋っているのは滑稽を通り越して哀れだ。まあ、ここにマトモなやつはいねえから、オレが憐れむ男は一人しかいない。 で、クローも目を弄くられてオレとおそろいになるわけだが、それはナンバー持ちになる最終試験と言ってもいいだろう。オレも経験したくだらねえ試験──目を弄られると、数日は世界が真っ赤に見えるって言うくだらねえ現象だ。ここで発狂なんてしようものなら人生単位の落第だが、ここまで残るやつで気の触れたやつは見たことがない。だって、どうせもう狂ってるんだ。いまさら狂いようもない。 3154 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ45「普通」(2020/03/27)小さな恋の歌 僕らの中で一番『普通』に近いのは、セブン。と見せかけて、実はファングだったりする。 でもそれは僕らの関わらない世界の『普通』だから、ファングはこの世界じゃちょっとした異端者だ。別にファングは人を殺すから圧倒的に世間の言う『普通』ではないんだけど、その他大勢と同じ神様を信じてる。キリシタン、ってやつだ。 僕は神様を信じたことはないけど、宗教をバカにしたりしない。ただ、散々汚いことやってきておいて最後の最後で神様にすがる人間をバカにしてるだけ。だからファングがどんなに宗教に傾倒してても変わらずに大好きだし、ファングが大好きな神様なら好きになってもいいかなって思ったりしてる。 でも神様なんかより、僕は聖歌が好き。正確に言えば僕はファングの歌が好きなんだけど、親も学び舎もないファングが知ってる歌はこれしかない。 2672 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ13「かお」(2019/08/18)正反対の似た者同士 普段は豹のような男が子犬のように僕の顔を舐めている。鼻からこぼれている血だとか、切れた額から流れる血だとか、まぁ概ねほとんど血なんだけど、僕の顔を伝う液体が舌に絡め取られていく。 「こんなに怪我しちまって……かわいい顔に痕が残らないといいな?」 「ありがとファング。でもね、君が今掴んでる肩は刺されているし、多分だけどアバラも折れてるんだ。顔はいいからそっちを労ってほしいんだけど」 「オレのクローにこんな傷つけやがって……」 まったく人の話を聞かずにファングは僕の頬を撫でる。本当に君は僕の顔が好きだね。そう聞けばニヤニヤとした口調で返される。曰く、「カラダも好きだぜ?」 ファングは僕が好き。僕もファングが好き。お互いのどこを好きかってのは少しずつズレているけど、まぁ、概ねうまくやっている、いわゆる普通の恋人同士。 1672 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ10「祭」クロファン(2020/03/19)黒猫のコーラ どうして人を殺してはいけないのですか。明確な答えを返せる人間って、多分暴力的な正義で人を死に追いやれる人間だ。そうじゃない人間には逃げ場が必要。その最たるものが法律だろう。裁きがあるから人は人を殺さない。それが一番無難な答え。 じゃあ僕たちが人を殺すのって、裁きを恐れていないからなんだろうか。そんな気もするし、そうじゃない気もするし、どうでもいい気もしてる。ただそういう生き方をしてるだけであって、正直僕は殺そうが殺すまいがどうでもいい。そう、僕にはどうでもいいことが多すぎる。 でも、どうでもよくないこともある。例えば、今の現状。 なあ、僕ら人殺しなんだ。法律違反で道徳違反。人の道を外れて生きる、犬畜生にも劣るってやつ。それなのに。 2711 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ7「空」(2019/07/12)空想的絵空事「猫が飼いたい」 どんな状況だろうが判断に迷いのないファングでさえ、この気の抜けきった空間に響いた声、その内容が理解できなかった。 時刻は二時で、先程食べたチキンステーキとロブスターが胃の中から眠気を誘っている。場所はと言えば組織の根城であったから、ここに攻めてくる敵の事は――想定しておけとは言われているが――誰も考えてはいないだろう。ファングとクローも例に漏れず、少しだけ警戒はしつつも、それ以上に油断していた。そんななかでの一言だ。ファングが反応しきれてない以上、その声は音と言っても差し支えない。 「猫が飼いたいんだ」 ファングが言葉の意味を理解していないと感じたクローが、同じセリフを口にした。そこでようやくファングは内容を理解するが、言葉を捉えてもそれはファングの喉元に咀嚼できない疑問になって、二の句を次ぐための空気を濁らせる。 2966 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ3「かみ」クロファン(2019/06/19)たいしたもんじゃないよ 聖書を読み上げるファングの声が聞こえる。 どうせターゲットは祝詞のようなそれしか聞いていないだろう。そう確信しクローゼットの扉を少し開ければ、柔らかなオレンジ色の光をまとったファングの声が明瞭になる。 ベッドに腰掛けたファングは、位置の関係で表情だけがうまく見えない。本に目を落とすように少し傾いた首筋を、銀色の髪がさらさらと流れている。ぼやけた灯りに、甘い色を与えるように。 一糸まとわぬ……単刀直入に言えば全裸のファングの膝を割るように、今日のターゲットが座り込んでいた。 ファングは淡々と聖書を読み上げる。ターゲットはひたすらにファングの内太ももに顔を擦り付けている。時折、汚いリップ音が響く。聖なる言葉を、ファングを穢すように。 2036 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ2「宝物」クロファン(2019/10/12)僕らが知っていればいい 花言葉ってのは聞いたことがある。紳士的な初老の微笑みとともに差し出された赤の意味はなんだったか。愛だか欲だかだった気がするが、まあ覚えちゃいない。何の問題もない。 そもそも、誰が言い出したのか。神様がこんなもん決めるわけがないから、決めたのはどこぞの人間だ。勝手に名前をつけて、勝手に意味までつけるなんて。なんともまあ、大層なこって。 で、存在する以上、それを有難がるヤツはいる。オレに贈られてくる花束にはきっと全部に気持ちが込められているはずなんだ。オレが知らない以上、それに意味なんてないんだが。 その意味を囁くやつだって、もう何も言えずに足元に転がってる。じわじわと広がる血がカーペットを侵食して、薄紫の花びらを汚していた。 1816 1