コタツで寝るな コーヒーが冷めてしまった。
僕としてはそれくらい長い時間を雨彦さんと一緒にゆっくり過ごせたことが嬉しいけれど、真冬の夜がもたらす寒さは僕らの体温を容赦なく奪う。いや、部屋もコタツもあったかいからポカポカしているんだけど、きっとこの冷たくなったコーヒーを飲んだらからだの芯が冷えてしまうだろう。
コーヒーを温めましょうかー? と言いたかったがあいにく電子レンジが故障している。それを雨彦さんに伝えて謝れば、雨彦さんは「お前さんは悪く無いさ」と言って、少し悩む素振りを見せたあとにポケットから銀色の懐中時計を取り出してこう言った。
「それはー?」
「このあいだ手に入れたんだ」
「きれいだねー。でも、これがどうかしたんですかー?」
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