貴方と見る紅葉は「琥珀、今度の休日予定入ってるか?」
「え?」
隣でコーヒーを飲んでいた鈴鹿が琥珀にそう言った。琥珀はちょっと待ってて、と一言言ってスケジュール帳を開く。鈴鹿が言った休日には、珍しく何も予定が入ってなかった。
「大丈夫。入ってない」
「あのさ、紅葉が名物の旅館があるんだ。行かないか? 泊まりで。そこの旅館、一組限定の所だから、ゆっくり出来ると思うし」
「紅葉? 行きたいな」
丁度この時期は紅葉が綺麗で、テレビでも紅葉をテーマにした特集が組まれていた。行きたいとは思っていたが、締切や人の多さで諦めていたが、鈴鹿の言う旅館ならゆっくり出来そうで琥珀は年甲斐もなくはしゃぎそうになった。
「……もしかして旅館予約してくれたのか?」
3381