リインにセミを見せた後、街中の目に入ったカフェに入った。店内に入るとクーラーがよく効いており、汗が乾くのを感じた。丁度席は空いており座ってからメニューを開く。リインは大きなパフェが食べたいと眩しい笑顔で言う。そんな笑顔に少し目を細めつつ、琥珀はアイスコーヒーを頼んだ。
「あれ、琥珀食べないのか?」
「まだお腹そんな空いてないしな」
「ふ〜ん」
先に琥珀が頼んだアイスコーヒーが来て飲んでいるとリインはじっと見ていた。そんな目線に気づいた琥珀は少し笑って言った。
「気になる? 少し飲んでみてもいいけど」
「いいのか! もらう!」
この後リインがとるリアクションが予測できている琥珀はニヤつく口元を押さえつつアイスコーヒーを渡した。琥珀はコーヒーには砂糖もミルクも入れないためブラックでいつも飲んでいる。苦いコーヒーを果たしてリインが飲むことが出来るのか、アイスコーヒーを一口飲んだリインは見る見るうちに顔を顰めたかと思うと、急いでお冷を飲み干した。
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