「チッ、タフな没だなほんと……!」
没の討伐でやってきた琥珀だったが、自分よりも大きな人型のような没の討伐に苦戦していた。大きな図体をしているくせに素早いのだ。何度か斬りかかっているのにも関わらずだ。どうするか……と考えていると一瞬没の動きがおかしくなった、なんだと思った時には遅かった。いきなり没の背後からなにやら鋭いものが飛び出したかと思うと琥珀に一直線に刺そうとする。その速さに避けきれない、と思った時。誰かからいきなり担がれそその誰かは走った。琥珀は見えた髪色と小柄の体型──子供ですぐに分かった、リインだと。
「リイン!」
「あっぶなかったな! 一旦引くぞ!」
自分の方が体格も身長もあるというのに、リインは軽々と琥珀を担いで没から距離を離れる。リインがいるということは、あの人もいるのかと思いつつ、どうにかあの没を倒す方法を考えた。どこか弱点があるはずだ、と。このまま自分をかつがせるのもリインの体力を奪いかねない、ふと、そう言えばと琥珀は気づいた。
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