85_yako_p カプ入り乱れの雑多です。昔の話は解釈違いも記念にあげてます。作品全部に捏造があると思ってください。 ☆quiet follow Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 434
ALL タケ漣 鋭百 カプなし 天峰秀 大河タケル 100本チャレンジ モブ 牙崎漣 花園百々人 想雨 カイレ クロファン C.FIRST 眉見鋭心 天道輝 ミハレナ ダニレナ 既刊 伊瀬谷四季 蒼井享介 蒼井悠介 W 若里春名 華村翔真 Altessimo 神楽麗 都築圭 古論クリス 葛之葉雨彦 レジェンダーズ 北村想楽 百鋭 秀百 薫輝 THE虎牙道 タケ漣ワンドロ web再録 誕生日 くろそら 途中 秀鋭 卒業 ケタザザ 短歌 プロデューサー 円城寺道流 叶納望海 御田真練 超常事変 渡辺みのり 癒残 堅真 ウォリアサ R18 街角探偵 わからん 九十九一希 四季漣 親友 輝薫 書きかけ 黒紅 道漣 DoS幻覚 ドラスタ 桜庭薫 BoH 春隼 サイバネ 山下次郎 寸劇 左右わからん しのかみしの 東雲壮一郎 ハイジョ レナート ミハイル S.E.M じろてる 旬四季 北冬 東雲荘一郎 秋山隼人 悠信 神谷幸広 アスラン そらつくそら 四季隼 140SS 黒野玄武 冬美旬 冬春 ゲーム部 ジュピター 卯月巻緒 四季秋四季 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ17「あせ」(2019/09/15)リベンジマッチ! 俺とコイツの間には一年と七センチの距離がある。 一年を感じるときは少ないけど、七センチは何気にデカい。見つめる時に目線が上を向く。キスをする時つま先立ちになる。抱き合うと唇が首筋に埋まる。そして、今、とか。 今、俺の脳裏にはどうでもいい疑問と少しの苛立ちがあった。熱帯夜って、どれくらいの気温からそう呼ぶんだっけ。知らないけど、きっと今日みたいな日を熱帯夜って呼ぶんだ。何もしなくても汗が吹き出てくるのに、俺は思い切り背伸びをして、同じように背伸びしたコイツが天井に向けて伸ばす腕からエアコンのリモコンを奪おうと躍起になっている。触れ合った部分の汗がくっつきあって、ますます暑い。コイツ、どういうつもりなんだろう。暑さで耳まで真っ赤だってのに。 2152 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ16「いろ」(2019/09/06)影のてのひら その日は雨で、俺は憂鬱で、食べたメシは味がしなくて、つけっぱなしのテレビは頭に入ってこなかった。 雨が降ればいいって思った。曇天を後押しするようにそう願う。星の見えない道、街灯がチカチカと瞬く道を歩いて、アパートの階段を上る。カンカンカン、って音ががらんとうの頭に反響してひどく痛い。俺はこんなにも雨音を待ち望んでいるのに。 鍵を差し込まずにドアノブをひねる。がちゃがちゃと反抗的な音が脳を揺らす。カンカンカン、がちゃがちゃ。埋まる音を言葉にしてなぞる。観念したように鍵を差し入れる。なんとなしに、負けた気分になる。 合鍵は作ったことがない。渡す相手なんていない。きっとここで倒れたら、俺を抱きかかえるやつなんて一人も居ない。死ぬ予定はないけれど、合鍵がほしくなる。受け取ってほしい相手を描く。乱雑にポケットにそれを放り込んで、勝手に上がり込んで我が物顔でテレビを見ているアイツが浮かぶ。 2627 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ14「ひまわり」(2019/08/23)月の王宮 アイツはヒマワリみたいだ、って。 言ったのは円城寺さんだったかプロデューサーだったか四季さんだったか、はたまた隼人さんだったか。いや、他の誰かかもしれない。何一つ覚えていなくて、理由も知らなくて、だからそうだとも思わなくて。だって、アイツがヒマワリって、なぁ。 でも、百合だとかバラなんかよりは近いのかもしれないって思ってた。仮に、花に例えるとしたら、だ。アイツを例える花。バシっとした確証を与えられないままだった十七歳の夏。疑問は一年後に溶ける。 「ヒマワリはね、太陽の方をずっと見るんだ」 こう言ったのはみのりさんだった。これは覚えている。だって、つい先日の出来事だから。 「確かに漣くんは何かをひとつ、じっと見るよね……それに、漣くんってずっとタケルくんのこと見てたから。当人は気づかないものなのかな。一年くらい前はそれこそ、ずっと見てたよ」 1796 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ13「かお」(2019/08/18)正反対の似た者同士 普段は豹のような男が子犬のように僕の顔を舐めている。鼻からこぼれている血だとか、切れた額から流れる血だとか、まぁ概ねほとんど血なんだけど、僕の顔を伝う液体が舌に絡め取られていく。 「こんなに怪我しちまって……かわいい顔に痕が残らないといいな?」 「ありがとファング。でもね、君が今掴んでる肩は刺されているし、多分だけどアバラも折れてるんだ。顔はいいからそっちを労ってほしいんだけど」 「オレのクローにこんな傷つけやがって……」 まったく人の話を聞かずにファングは僕の頬を撫でる。本当に君は僕の顔が好きだね。そう聞けばニヤニヤとした口調で返される。曰く、「カラダも好きだぜ?」 ファングは僕が好き。僕もファングが好き。お互いのどこを好きかってのは少しずつズレているけど、まぁ、概ねうまくやっている、いわゆる普通の恋人同士。 1672 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ12「おちる/おとす」(2019/08/19)共鳴ノイズ スポットライトに奪われた、心のタガが外れた月夜。 好きだと言った。縋るように抱きしめた。三度目の夜、キスをした。 三度とも、望む答えも恐れた返事もなく、コイツはなんだか不思議そうに、だけど愉快そうに笑っていた。 ただ、ただ、必死な俺を見て、ざまあねえなと笑っていた。 最悪だ。泣いてしまいたいのに涙なんかでない、歪んだ顔をしていたんだろう。アイツはそんな俺に気がついて、何か取り返しのつかないことをしてしまったと言わんばかりに慌ててみせた。もちろん、そんな動揺をさとられないように、偉そうな態度は崩しもせずに。 「……何でそんなツラしてんだよ」 最悪だ。何が悪かったのかなんてわかっていない、蟻の巣を潰す子供のような声。暴力的な無邪気さがあんなに近くに居たコイツをさらっていってしまって、俺だけが取り残される。なんだか、広い砂漠にぽつんといるような。たまに俺が抱くコイツへの畏怖っていうのは、自然に対するそれに似ている。 3359 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ11「よる」(2019/08/05)卒業(二人が高校生)宇宙でテレパス 名前も忘れた本で読んだんだ。夜は宇宙なんだって。 虫の知らせとか、ましてや運命なんかじゃない。これは、たんなる偶然。たまたま、ボールペンのインクが切れただけ。 コンビニで買える、缶ジュース程度の値段のボールペンが俺は一番気に入っていた。どうせ明日の朝、登校ついでに買うんなら、夜涼みがてら今買っちまえばいい。そう思ってパジャマ代わりのジャージのまんま、ポッケに財布だけ突っ込んで家を出た。財布の中身は見てないけれど、流石にボールペン代くらいはあるはずだ。余裕があったらスイカを模したアイスを食おう。そう思ってた。 街灯があったってなくったって月なんか見やしない。それでも、月よりも街灯がやかましいと思ったのは蛾が集っていたから。セミの声に風情を感じることもなく、さっきまで書き取りしていた英単語を思い出そうとして曖昧なスペルを脳でなぞっていたときに、声が聞こえた。 4363 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ10「祭」クロファン(2020/03/19)黒猫のコーラ どうして人を殺してはいけないのですか。明確な答えを返せる人間って、多分暴力的な正義で人を死に追いやれる人間だ。そうじゃない人間には逃げ場が必要。その最たるものが法律だろう。裁きがあるから人は人を殺さない。それが一番無難な答え。 じゃあ僕たちが人を殺すのって、裁きを恐れていないからなんだろうか。そんな気もするし、そうじゃない気もするし、どうでもいい気もしてる。ただそういう生き方をしてるだけであって、正直僕は殺そうが殺すまいがどうでもいい。そう、僕にはどうでもいいことが多すぎる。 でも、どうでもよくないこともある。例えば、今の現状。 なあ、僕ら人殺しなんだ。法律違反で道徳違反。人の道を外れて生きる、犬畜生にも劣るってやつ。それなのに。 2711 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ9「きまぐれ」(2019/07/25)ハニー・スイートハニー「きまぐれだ」とアイツは言った。いつものことだと思ったが、いつもと様子が違っていた。 不服そうな顔。少し染まった耳。手に下げた紙袋。ちぐはぐな要素を拾いきれずにいると、その違和感のひとつが差し出される。見慣れないロゴの入った、茶色い紙袋。 戸惑いつつも受け取ると、早く開けてみろと金色の目が促す。律儀に止められたきれいな柄のテープを破ると、箱の底になにかがある。 取り出したそれはガラス瓶だった。ラベルが貼ってない方を見てみると、それはアイツの瞳とおんなじ色をした液体で満たされている。 「これって」 「……ハチミツ」 なんでハチミツを? 脈絡のない贈り物に困惑してしまう。きまぐれにもほどがあると、そう思った時にアイツは「きまぐれだからな」と前置きして、ぶっきらぼうに口を開いた。 1772 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ8「毛布」(2020/04)驚く顔が目に浮かぶ「オマエと一緒に暮らしたい」 そう言った時、偉そうに受け入れてくれた目の色がとてもきれいだと思った。このきらめきが神様の気まぐれだとしても、今、この瞬間だけは二つの宝石が自分のものになったような気がして嬉しかったんだ。 新居は二人で選んだ。アイツがやったことと言えば、オレが次々に持ち込む新居の間取りを見て「どうでもいい」と呟くことだけだったけど。それでも、二人で選んだ家に俺たちは住むんだ。新しいゲームを始めるよりずっとワクワクした。 部屋は和室が一つ、洋室が一つ。それとキッチンがくっついたリビングが一つで風呂とトイレは別。実際に踏み入れた部屋を見て、アイツは畳の部屋を自分の部屋だと決めた。アイツが家に関して意見を言ったのはこれが最初で最後。 4713 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ7「空」(2019/07/12)空想的絵空事「猫が飼いたい」 どんな状況だろうが判断に迷いのないファングでさえ、この気の抜けきった空間に響いた声、その内容が理解できなかった。 時刻は二時で、先程食べたチキンステーキとロブスターが胃の中から眠気を誘っている。場所はと言えば組織の根城であったから、ここに攻めてくる敵の事は――想定しておけとは言われているが――誰も考えてはいないだろう。ファングとクローも例に漏れず、少しだけ警戒はしつつも、それ以上に油断していた。そんななかでの一言だ。ファングが反応しきれてない以上、その声は音と言っても差し支えない。 「猫が飼いたいんだ」 ファングが言葉の意味を理解していないと感じたクローが、同じセリフを口にした。そこでようやくファングは内容を理解するが、言葉を捉えてもそれはファングの喉元に咀嚼できない疑問になって、二の句を次ぐための空気を濁らせる。 2966 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ6「雨」(2020.1.4)未来で一番美しい声を 俺たちの世界は、雨の止まない世界になってしまった。いや、もしかしたら雨はいずれ止むのかもしれない。だけど現状、止む気配がない以上、ここは雨の止まない世界だ。 そんなもんだから、誰も彼もが傘をさす。空は灰色になったけれど、窓から見下ろす街並みはずいぶんとカラフルになった。傘は個人を表す記号になり、店先には色とりどりの花が咲く。人気モデルが手首にぶらさげた傘は品薄になり、俺は雑誌の特集で真っ青な影からレンズを見つめていた。 人々は傘同士がぶつからない距離感を学んで、今日もスイスイと歩道を泳ぐ。俺は事務所の窓から、咲き誇る円を縫う影を探している。 牙崎漣。 アイツはこんな世界に迷い込んでも傘をさそうとしなかった。小雨だろうが豪雨だろうが、お構いなしだ。雨ばかりの世界が始まって数週間のある日、ずぶ濡れで上がりこんできたアイツに文句を言ったらアイツは家にこなくなった。俺は吐いた言葉を飲み込むことができなくて、アイツに触れる機会のひとつを失った。 2965 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ「手」(2019/06/23)愛しのお猫さま 気が合わない俺たちは当然のようにすれ違う。どちらも悪くない。タイミングと気分の問題だ。 服の下に手を滑り込ませ背筋を撫でても、振り払うように体を捻られそのままシーツへと寝転がられてしまった。絡まない視線に、その行動が決して誘っているわけではないと理解しつつ、駄目元で横に寝そべり腕を絡めても閉じた目は開かず、口づけても唇は閉じたまま。意地になって舌を差し込めば、警告のように歯を立てられる。「なぁ、」続きは言えなかった。「ぜってーやだ」 あの手この手で誘ってみても全部が無駄だった。万策尽きた俺の耳にはいつの間にかコイツの寝息が聞こえていた。 別に、喧嘩をしたわけじゃない。ただ単純に、俺がそういう気分でコイツがそういう気分じゃなかっただけだ。そんな日もある。わかっている。 2101 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ4「ねこ」タケルくんが自慰してます。あと虎牙道がメイド服着てます。(2020/03/28)ジェットコースターは止まらない 本格的にヤバい。このまま進むと戻れない。俺は今、最悪の道を辿っていることがわかる。 多分この道の一歩目はアイツとお付き合いを始めたことだ。紆余曲折、と言うには余りにも短い期間でジェットコースターのように駆け抜けたこの恋は、頬に唇を寄せたあたりで一時停止。相変わらずの関係を続けているが、たまに俺の部屋で手が触れ合って視線が絡む。そんな日常的非日常で俺の脳裏を掠める一つの不安。コイツって、この先を知ってるんだろうか。 たぶん、キスは知っている、はず。ただその認識が俺のそれとは違うってのはわかってる。結婚式のキスであんなに動揺する人間、ましてや俺より年上の男は見たことがない。思い出す、頬にキスしたときの悲鳴のような声と真っ赤な顔。もうわかる。知識でしか知らない大人のキスをコイツにしたら、きっとオーバーヒートしてぶっ倒れる。 1904 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ3「かみ」クロファン(2019/06/19)たいしたもんじゃないよ 聖書を読み上げるファングの声が聞こえる。 どうせターゲットは祝詞のようなそれしか聞いていないだろう。そう確信しクローゼットの扉を少し開ければ、柔らかなオレンジ色の光をまとったファングの声が明瞭になる。 ベッドに腰掛けたファングは、位置の関係で表情だけがうまく見えない。本に目を落とすように少し傾いた首筋を、銀色の髪がさらさらと流れている。ぼやけた灯りに、甘い色を与えるように。 一糸まとわぬ……単刀直入に言えば全裸のファングの膝を割るように、今日のターゲットが座り込んでいた。 ファングは淡々と聖書を読み上げる。ターゲットはひたすらにファングの内太ももに顔を擦り付けている。時折、汚いリップ音が響く。聖なる言葉を、ファングを穢すように。 2036 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ2「宝物」クロファン(2019/10/12)僕らが知っていればいい 花言葉ってのは聞いたことがある。紳士的な初老の微笑みとともに差し出された赤の意味はなんだったか。愛だか欲だかだった気がするが、まあ覚えちゃいない。何の問題もない。 そもそも、誰が言い出したのか。神様がこんなもん決めるわけがないから、決めたのはどこぞの人間だ。勝手に名前をつけて、勝手に意味までつけるなんて。なんともまあ、大層なこって。 で、存在する以上、それを有難がるヤツはいる。オレに贈られてくる花束にはきっと全部に気持ちが込められているはずなんだ。オレが知らない以上、それに意味なんてないんだが。 その意味を囁くやつだって、もう何も言えずに足元に転がってる。じわじわと広がる血がカーペットを侵食して、薄紫の花びらを汚していた。 1816 85_yako_pDONEタケ漣ワンドロ1「初」(2019/06/09)その赤を 見つめ合う、だなんて間柄じゃないけれど、例えばふとした拍子にアイツと目があうことがある。そうなってしまうとお互いが「逸したほうが負け」だなんてつまらない考えに捕らわれてしまうことが多くて、例えば鳩が飛び立つ音だとかクラクションの音だとか円城寺さんの静止だとか、そういうきっかけがないと俺たちは、永遠と見つめ合う羽目になってしまう。 昔、だなんて言えるほど時間は経っていないけど、出会ってからずっとそうだった。向かい合って、その目を見ていた。金色の目がきら、と青色に染まっているのを見るのは、確固たる日常だった。そうやって、アイツの瞳を透かして見る青は、鏡で見慣れた青よりもキラキラしていて、きっと俺の姿は光と一緒に取り込まれているんだろうな、だなんて思ったりしていた。 1735 12