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    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

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    POIPOI 437

    85_yako_p

    DONE道漣。(2019/10/21)
    夢に置き去り 円城寺道流は上機嫌だった。牙崎漣は不機嫌だった。恋仲と言っても差し支えない二人は、相反する感情の渦中にあった。
     更に言うのなら、道流は酔っていた。三次会が終わった時点で道流が電車を利用できる状態ではないと判断した、彼に師匠と呼ばれる人間がその巨体をタクシーに押し込んだ。師匠――プロデューサーは自分がついていかなくても大丈夫かと何度も問いかけて、道流はその心配を笑い飛ばして一人で帰宅した。それは決してアパートの階段を上るだけなら泥酔した自分にもできると判断しての行動ではなく、ただ全身を支配する多幸感に後押しされた根拠のない自信だった。
     そんなもんだから、道流は鍵を持っているにも関わらず玄関の扉をガンガンと叩き、家の中で眠りの浅瀬にいた漣を起こして鍵を開けさせた。そうして開いた扉を背に道流は「れ~ん~」と猫なで声を出し、にへら、と笑いながら漣が逃げ出す前に抱きついて、その米袋八つ分の体重を遠慮なく彼に投げ出した。ぐえ、と。漣の口から漏れた悲鳴に返されてのは謝罪ではなく笑い声で、したたかに打ち付けた背中の痛みとその陽気な声に、ただでさえ募っていた漣の苛立ちは最高潮に達した。
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    85_yako_p

    DONEそらつくかつくそらかわからん。
    わりと語感重視で書いたので、口調とかは見逃してほしい。(2019/04/18)
    ワインとマナー 北村想楽と九十九一希は、二人きりの時だけ酒を飲む。

     ふわり、それは口にせずに決まった取り決めだった。
     北村想楽、清澄九郎、九十九一希。彼らは北村想楽が成人した日にどこにでもある居酒屋で酒を飲んだ。個室は狭く、バイトであろう店員は彼らの顔を見て、あっ、と言ったけれど、騒ぎになることはなかった。
     飲酒。全く変わらない北村想楽、少し赤くなった九十九一希、そして、嗚咽を漏らす清澄九郎。賑わう店内で、その個室だけは空気が薄くなったようだった。
     緑茶サワーを二杯飲んだ清澄九郎は、残り二人が飲んでいる酒が緑茶サワーではないことを悲しみ、さめざめと泣いた。ごめんねー、とそれをなだめ、あやすように緑茶サワーを注文しようとした北村想楽の手を、思いの外強い力で清澄九郎が掴んだ。そして、泥のような声で己の鍛錬が足りないから貴方にお茶の魅力が伝わらないのだと泣き、それ故に気を使わせたことを泣き、やがて世界の酒をすべて緑茶サワーにすると誓い、泣いた。その決意の涙を九十九一希はぼんやりと眺め、その真摯な涙を北村想楽は拭ってやっていた。
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