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    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

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    POIPOI 420

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    DONE鋭百。目隠し鬼をする二人。(2021/11/18)
    夜に遊ぶ、名前を呼ぶ。「百々人」
     そう恋人を呼ぶ、自分の声が好きだった。
     百々人がそれを聞いて振り返り、笑う。そういった化学反応にも近い絶対を他人に求めても裏切られることのないという慢心に近いものがあったのだと思う。
     言葉に灯る熱は時間帯で温度を変える。いや、太陽が塗り替えるのだろうか。陽光の届かない真夜中のシアタールームで百々人を呼ぶ声は、自分でも驚くほどに色に濡れていて、滑稽だ。
    「なぁに? マユミくん」
     満遍なく広がった夜の、ざらざらとしたスクリーン越しに見る百々人は楽しそうだ。ソファーで隣り合っていた距離をめいっぱいに詰めて、百々人は当たり前みたいに俺の肩に頬をよせて吐息だけで笑う。そうすると俺はどうしようもなく愛おしくなってしまい、いつも百々人にキスをしていいかを問い掛けてしまう。数秒の沈黙が俺たちの作法だ。百々人から与えられるものは肯定ではなく否定だけだから、なにも与えられなかったら俺は好きにするしかない。頬に触れ、薄暗い部屋で色彩を失った唇を舌で舐めれば百々人は口を少し開いて応じるように目を伏せた。ぱくりと呼吸を飲み込んで、そのまま背中を支えてソファーに押し倒す。俺たちはお互いに手探りで貪り合ったせいで、キスだけは大人の味を覚えてしまった。舌を割り入れて、内側に入り込み、百々人の目尻に涙が浮かぶような箇所を執拗に辿る。抵抗なのだろうか、奉仕なのだろうか──百々人が絡めてきた舌を甘噛みして、快楽から少しだけ目をそらすようにしてただ二人で息をしていた。
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    DONEセックスしないと出られない部屋 VS 秀&百々人です。
    エロいことしないし、くっつきません。秀+百未満(2021/11/14)
    セックスしないと出られない部屋に百々人先輩と閉じ込められたアマミネくんの話。 暑くて、溶けそうだ。自分の血流がどくどくと脈打って、数少ない音である俺と百々人先輩の荒い息にノイズをかける。
    「ぁ……はぁっ……アマミネくん……僕……っもう無理……!」
     百々人先輩は規則的に動かしていた腰の動きを止めて、俺に泣きつくように声を出した。限界が近いのだろう──声がうわずっていて、掠れている。たったひとつを口にするために、ありったけの息を吐き出さなければ音にもならないほどに彼は追い詰められていた。は、と熱い呼吸を吐き出して、限界に近いからだを震わせている。
    「へたってても……いいですけど……っ! 俺は、まだっ、動きますよ……!」
     そう宣言したはいいものの、俺だって酸欠で頭がチカチカしている。ほんの少し動くだけで汗が滲んで感覚が宙に浮く。熱がじわじわと脳の裏側まで侵食してきて、悲鳴のような百々人先輩の吐息と俺の呼吸の境界を曖昧にしていくから、なんだか俺は意識が部屋の温度とぐちゃぐちゃに混ざっちゃって、自分が自分でなくなるような恐怖があった。
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    DONE秀と百々人の会話。(2021/10/19)
    ワールドエンド・アンチヒーロー「あ、また死んだ」
     口に出したのは僕だったかアマミネくんだったか。わからないけれど、この言葉は特に拾われずに独り言になる。どちらが言った言葉にせよ、どちらも思っていたことだから拾い上げてまでシェアをするのは手間だった。
     コンティニューの文字なんかもすっ飛ばして、アマミネくんの分身はさっき挽肉になった地点の三分前へと戻される。何度も何度も死んで、何度も何度もトラップにかかり、何度も何度もゾンビの集団にタコ殴りにされ、それをひとつひとつ覚えて次こそはと先に進む。敵の位置を覚えては殺され、鉄球の下敷きになってはタイミングを悟り、と、よくもまぁ挫けずに進めるものだ。
     アマミネくんがやっているのはいわゆる『死にゲー』と呼ばれるものだ。どこまで真剣にやっているのかはわからないけれど、合間合間に僕を気にして視線を寄越している様子を見るに、さほど真剣ではないのだろう。僕は僕でアマミネくん本体よりもこのゲームに感心があって、つい視線はアマミネくんの手元に集中してしまう。同じ空間にいて、同じ時を過ごし、お互いを気にしているのに視線はあまり絡まない。そんな時間は悪くない。良くもない。つまり、普通。
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    DONEタケ漣ワンドロ52「あか」
    捏造しかないクロファンです。(2020/07/26)
    あしたにはさよなら クローがナンバー持ちになるそうだ。アイツとしては念願が叶うということなのだが、オレは複雑な気分でもある。実のところ、アイツの願いはオレと一緒にいることであって、ナンバー持ちというのは手段だからだ。
     まあ、ナンバー持ちには条件がある。誰もがみんな通る道だ。単純に、目を弄る。それだけ。
     弄られた目は赤くなって、みんなで仲良くお揃いって寸法だ。これを『家族』の証と言うから笑わせる。まっとうな家族があるやつはこんな仕事してねえよ。寄せ集めのガラクタでもう意味なんてなくなる単語に縋っているのは滑稽を通り越して哀れだ。まあ、ここにマトモなやつはいねえから、オレが憐れむ男は一人しかいない。
     で、クローも目を弄くられてオレとおそろいになるわけだが、それはナンバー持ちになる最終試験と言ってもいいだろう。オレも経験したくだらねえ試験──目を弄られると、数日は世界が真っ赤に見えるって言うくだらねえ現象だ。ここで発狂なんてしようものなら人生単位の落第だが、ここまで残るやつで気の触れたやつは見たことがない。だって、どうせもう狂ってるんだ。いまさら狂いようもない。
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