85_yako_p カプ入り乱れの雑多です。昔の話は解釈違いも記念にあげてます。作品全部に捏造があると思ってください。 ☆quiet follow Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 435
ALL タケ漣 鋭百 カプなし 天峰秀 大河タケル 100本チャレンジ モブ 牙崎漣 花園百々人 想雨 カイレ クロファン C.FIRST 眉見鋭心 天道輝 ミハレナ ダニレナ 既刊 伊瀬谷四季 蒼井享介 蒼井悠介 W 若里春名 華村翔真 Altessimo 神楽麗 都築圭 古論クリス 葛之葉雨彦 レジェンダーズ 北村想楽 百鋭 秀百 薫輝 THE虎牙道 タケ漣ワンドロ web再録 誕生日 くろそら 途中 秀鋭 卒業 ケタザザ 短歌 プロデューサー 円城寺道流 叶納望海 御田真練 超常事変 渡辺みのり 癒残 堅真 ウォリアサ R18 街角探偵 わからん 九十九一希 四季漣 親友 輝薫 書きかけ 黒紅 道漣 DoS幻覚 ドラスタ 桜庭薫 BoH 春隼 サイバネ 山下次郎 寸劇 左右わからん しのかみしの 東雲壮一郎 ハイジョ レナート ミハイル S.E.M じろてる 旬四季 北冬 東雲荘一郎 秋山隼人 悠信 神谷幸広 アスラン そらつくそら 四季隼 140SS 黒野玄武 冬美旬 冬春 ゲーム部 ジュピター 卯月巻緒 四季秋四季 85_yako_pDONETHE虎牙道の意味怖です。なにを見ても楽しめる方向け。たいしたことないですけど。(2023/4/2)二度目はない。まだ、 THE虎牙道がロケで訪れたのは、廃村と呼んでも差し支えのない寂れた村だった。土地の豊かさと住民の穏和さに関係があるという通説などはないが、この村の広大な自然が人柄に影響を与えているのだと言われたら誰もが納得するだろう。それほどに村の住民は優しくて、献身的で、おおらかだった。 村の住民は三人がからだを張った企画を挑んでいるときもそれを応援し、休憩の合間には差し入れまでくれた。 焚き火で焼いたというさつまいもを食べながら、三人は笑う。タケルも、道流も、漣も、この村を──この村の住民をいたく気に入った。そんな三人に、村人は収録が終わった後に集会所にくるように誘う。 「村の名物のね、鍋を振る舞いますから」 1920 85_yako_pDONE超常事変。真練と望海の逃避行。一途な子がした勘違いの話。軽度の殺人描写あり。メリバ風味(2023/3/17)ユートピアはもうすぐそこ ずいぶん寂しいところまで来た。停滞しながらゆるやかに朽ちていくけれど人の熱が溶けている、僕が過ごしたことのない景色が目の前に広がっていた。 こういう建物より木々が多くて人の呼吸が遠くにあるようなぽつりとした場所が電車を使えば一日もかからずにつけるっていうのは知ってはいたが実感がなくて、隣に望海さんがいることも相まってちょっとした旅行みたいだと思ってしまった。僕はお父さんやお母さんと一緒に旅行をしたことがなかったから、嬉しくて、切なかった。望海さんと一緒にいれて嬉しい。望海さんが本当のお父さんだったらいいのに。いや、違う。僕は望海さんと本当の家族になるためにここまできたんだ。 僕の持ってるお金は全部おろして持ってきたけれど、少しでも節約したかったから一番安い切符を買って電車に乗った。改札は移気揚々で越えてしまおうかと思っていたけれど、駅には誰もいなくて改札すら存在しなかった。それでもやましいことがある僕らは一煌極致で姿を消して何も遮るもののない改札口を通る。望海さんがぼんやりしてるから、そのあたたかい手を取って、なるべくゆっくりと誰もいない道を歩いた。 9882 85_yako_pDONEわちゃわちゃクラファちゃん。コンプ欲のある秀くんです。(2023/03/16)おモチウォーズ「あまみねくん……おなかすいたよぉ……たすけてよぉ……」 「……ダメです」 「おなかすいたよぉ……しんじゃうよぉ……」 「……あの、そのアテレコやめてもらっていいですか?」 秀はため息と共に吐き出した。その口元には罪悪感が滲んでいる。 秀と百々人と鋭心が先程まで勉強していたスペースをHigh×Jokerに譲り、誰も座っていなかった事務所のソファに腰掛けたのが数分前の話だ。同じソファに座っていた秀に向けて百々人が声を出したのを見て、対面に座る鋭心が声をかける。 「百々人、腹が減っているのか? それなら確か給湯室にクッキーが……」 「ああ、違うんだマユミくん。ごめんね、ありがとう」 百々人がやんわりと否定する。ハテナを浮かべたような顔をする鋭心に言葉を返したのは、百々人ではなく秀だった。 3331 85_yako_pPROGRESS真練と雷斗がプールに行く話の導入。真練くんは保護観察中で、まだ何もかも気持ちの整理がつかないまま、それでも公安メンツと親交を深めてる。真練くんは望海さんにも雷斗にも罪悪感がある。プールに行こう「塩素の匂いがするね」 夏って感じ。そう続けるつもりだったけど、一瞬だけ停滞した空気に僕は口を噤んだ。性格──というよりも癖だろう。どうしても他人の顔色をうかがってしまう僕は、確かに雷斗くんの心が濁ってしまったことを感じ取った。 聞くべきか。会話を打ち切るべきか。「プールは嫌い?」と、たった一言でも聞ければいいのに。それでも、誰かの心に踏み込むのはとてもこわい。僕の声を遮るように、プールからは子供たちがハシャぐ声が聞こえてきていた。 知りたいけど、やっぱりやめよう。そう考えて会話を変える。 「……ねぇ、暑いからアイス買って帰らない? 僕はみかんの……」 瞬間、雷斗くんは射抜くような視線で僕を捉えて、言った。 2011 85_yako_pDONE眉見鋭心の勘違いです。物悲しい。100本チャレンジその41(2023-02-26)おいてかないで 勘違いをしていた。 どうしようもないほどロマンチックで、笑えるほどに愚かな間違いを。 「それじゃあ鋭心、お留守番お願いね」 お手伝いさんにも俺を頼むと言ってどこかに出かける母とそのあとを歩く父。そうやって物心ついたときから両親が揃って出かける日があった。それが毎年同じ日だということに気がついたのは、小学校で画数の多い漢字を習い始めたあたりからだ。 いったい何の日なんだろう。カレンダーを見ても何も書いていない。平日か、休日か、祝日か、雨か、晴れか。そのどれにも規則性はなく、ただ同じ日に両親は揃って出かける。あんなに忙しい、めったに休みが揃わない両親が、だ。 ふたりしてどこに行くのかと、珍しく食い下がって問い詰めた時があった。それは興味と呼ぶにはあまりにも幼い、たんなる子供の癇癪だ。両親が一緒に休む日など、俺の誕生日を含めて年に数日しかない。俺はただ、両親と一緒にいたかった。 1365 85_yako_pDONE秀鋭。鋭心先輩のからだが見たい秀くんです。R15くらい。性癖だけで書きました。(23/02/20) 5474 85_yako_pDONE眉見鋭心とモブの過去話。全部が酷い捏造です。暗いし、書いてて悲しかったです。(2023-02-19)ただこのモブは殴った相手にくっついてた下っ端で、実際は殴ってない(その場にいた素行の悪い人間だったので当事者になった)といいなぁと思ってます。繭の中 夢を見た。悪夢と言って差し支えないだろう。もう幾度となく見ている夢なので、いつもの夢と言っていい。 内容はシンプルで、意味の聞き取れない罵詈雑言を浴びせられるというものだった。「眉見」も「鋭心」も「会長」も、一言も自分を表す言葉など読み取れないくせに悪意は俺に向けられているとわかる。日本語なのかも怪しい怒声はひどいノイズに覆われているが、おそらくは同世代の男のものだ。ただ目の前で俺に敵意を剥き出しにしている男の顔は黒のマジックで塗りつぶしたような影がこびりついていて表情がわからない。いや、誰のものかもわからなかった。 夢というのは眠りが浅いときに見ると聞いている。大抵は真夜中に、酷いときには真夜中と明け方に目が覚めた。台所に行って水を一杯飲むまで生きた心地がせず、再度眠るのには労力がいる。俺はあっという間に寝不足になった。 3046 85_yako_pDONE鋭百ワンスアウィーク第25回「夜更かし」夜更かしするふたりです。(2023-02-18)ミッドナイトシアター 発端は現在公開中の映画だ。友人と観に行ったんだけど、これがすっごく面白かった。映画を見た夜、興奮の醒めなかった僕は一緒に行った友人にではなくマユミくんにLINKをした。まずはこの映画を知っているかと聞いた。観たと言うからどうだったかを聞いた。面白かったと返ってきたので、僕もそうだと返して続ける。 『本当に面白かったんだ。いくらでも感想が言えそう』 だからよかったら明日、少しでいいから話を聞いてほしいな。 そういうメッセージを送るつもりだったんだけど、半分も打ち終わらないうちに通話をリクエストする通知音が鳴った。 「え? ええ?」 マユミくんが電話をしてくること自体は珍しくない。だけどそれは仕事の話か僕が落ち込んでいたりするときだ。あわあわとボタンを押せば、僕やアマミネくんだけがわかるくらいの僅かな高揚を覗かせながらマユミくんは言う。 5585 85_yako_pDONE想雨。100本チャレンジその40(2023/2/15)桜と取り決め まんまるい頭と見やすい位置にあるつむじを見つめる。半歩先を歩く北村を視線で追うと、背中よりはつむじのほうが何倍も見やすくて愛らしい。北村が先に階段でも上れば視線は反転するか同じくらいになるのだろうが、北村の家にお邪魔するために使うのはエレベーターだ。結局、玄関の扉をくぐるまで俺は北村のつむじを見ながら歩いていた。 玄関の扉が閉まる。くる、と北村が振り向いたときも俺が意識して視線を下げなくては目線はあわない。そんな身長も年齢も離れた恋人を、俺は酷く好いていた。 「雨彦さんー」 名前を呼ばれるだけではわからない。声色はどうにもらしくない。 「……屈んでくださいー」 俺が言われたとおりに屈めば北村は近づいた唇に自らのそれを重ね合わせた。俺は北村のことを対等な存在だと思っているが、この瞬間だけは、俺にねだってみせないとキスのひとつもできない男が無性に愛おしい。それに俺は口づけを交わすためだけにあるような、この言葉が好きだった。 1203 85_yako_pDONE牙崎を殺して埋めても死なない話です。自我の強いPが出ます。(2023-02-10)助かりたいだけ 牙崎漣を殺した。だって、永遠になってほしかったから。 生きてる人間は熱狂を生むけれど、私はよりにもよって担当しているアイドルに熱狂ではなく信仰を求めてしまった。だから殺して、永遠にしたかった。 私は生きている作家よりも死んでいる作家が好きだ。彼らは更新されることがないかわりに私を失望させることがない。生きている人間は信仰できないというのが私の持論で、未熟な人生で得た生きる拠り所だ。不変は信仰の拠り所になる。問題なのは私がそれを漣さんに求めたことだけだ。 事務所で殺した。止めてほしかったのかはわからないけれど、私が応接室で漣さんを殺している時、デスクには山村くんがいて給湯室では百々人さんがお茶をいれていた。 1745 85_yako_pDONE異星人VS牙崎。100本チャレンジその39(2023-02-10)流れ星はたまに見かける。「チビ!」 アイツの声がする。 チビ、としか言わなくなったコイツの言葉は鳴き声みたいだ。こんな動物みたいなやつが世界の救世主だと言うのだから恐れ入る。 先日、地球に異星人が舞い降りた。何をバカな話をと思うのだが、そんなバカな話を世界中の人が経験しているんだ。あの日、地球の人間すべてが異星人を見た。 異星人は手始めに世界遺産をみっつ、破壊した。そうして言った。 『牙崎漣の言葉が欲しい』 なんでアイツだったんだろう。こればっかりは本気で意味がわからないんだけど、あっという間に主要国家の派遣したなんか強そうで偉そうな人間ががアイツを確保しようとやってきた。ついでに、異星人も。アイツはそんな緊急事態でも我関せずといった様子で眠っていたっけ。 1064 85_yako_pDONE鋭百。花吐き病にかかる百々人です。(2023-02-03)終わりの前に手を引いて げほ、とむせて真っ赤な花を吐いた時、僕の脳裏によぎったのはこの恋を終わらせられるかもしれないという希望にも似た絶望だった。 なんだか難しい名前のついている、俗称で呼ばれる方がよっぽど多いこの病は「花吐き病」と言われていた。片思いをしている人間が、花を吐くっていう病気。 花吐き病を治すにはその恋を成就させるしかない。それを知った時、僕は叶わぬ恋を持て余しながら際限なく花を吐き続ける老婆を想像した。水分を失った唇から溢れるみずみずしい花を受け止める皺だらけの指先を想像して、そのイメージを打ち消す。そんな一生涯の恋、存在するわけがない。 恋には終わりがあると思っている。ただ、それを選べるのは自分自身のはずだ。そういう、祈りにも似た心を奪うのが、最近流行りだした花吐き病の変異株だった。 6553 85_yako_pDONE超常の薫輝(癒残)いちゃついてます。 100本チャレンジその38(2023-02-02)魔法の手のひら「癒宇」 「なんだ」 「手、握ってくれよ」 テーブルに突っ伏したまま残が癒宇に投げかける。コーヒーで満たされたマグカップからはとうに湯気が失せており、癒宇がそこに視線をやっても残は意識を向けようとすらしない。 「疲れた、から」 いつものように──いや、いつもよりも相当多くの思念を読み取った残はそのまま癒宇のいる保健室にやってきた。とうに下校時間は過ぎており、きっと、誰も来やしない。 何もかも投げ出すようにだらりとテーブルに横たわった残の腕は伸ばされることはない。ただ、少し広げるように手のひらを癒宇に向けて、残は彼の反応を待っている。 「……残」 「ん?」 癒宇の言葉には諦めにも似た重い吐息が滲んでいた。癒宇は一度だけ自分の手のひらを見つめたあと、残の指先ではなく彼のラズベリー色の瞳をはっきりと見て、言った。 1006 85_yako_pDONE想雨。愛してるゲームをするふたりです。100本チャレンジその37(2023-01-18)殺し文句は明るい部屋で 愛してるゲームを考えた人って賢いか賢くないかで言ったら相当賢いんだと思うけど、そのヒラメキをもう少し他のことに使えなかったのかと思わなくもない。いつもは意識に浮かぶことすらない思考は、愛してるゲームの当事者となった僕の脳内にぷかりと浮かんですぐ消えた。 僕の目の前には雨彦さん。周りにいたギャラリーは半分くらいに減っていて、もちろんカメラが回っているでもなし。パーティの余興で始まった愛してるゲームは決着がつかず、言い出しっぺのプロデューサーは社長に引っ張られて向こうでビールを飲んでいる。文句はあとで言うとして、いまは目の前の男に意識を向ける。僕は雨彦さんと対決中なのだ。 勝負内容は驚くほど簡単で、愛してると交互に言い合って照れた方の負け。この男はやたらといい声で「愛してるぜ」だのとほざいているが、僕はそんなことで照れやしない。驚くほどときめかない自分は薄情者だろうか。僕はこの男と恋仲だというのに。 1575 85_yako_pDONE鋭百(堅真)超常の幻覚です。真練が形だけモブと付き合ってた描写が少しあるけど、形だけの恋人なので何もしてません。(2023-01-15)ホラー映画を見に行こう 頼まれると断れないと言うのは考えものだ。校舎裏のコンクリートに並んで腰掛けて、眼の前で困ったようにハートのシールで封をされた手紙の裏表をくるくると見つめながら困った顔をする真練を見て、そう思う。 「……見てしまって悪かった」 「ううん。堅輔くんはたまたま下駄箱にいただけだし……むしろ、いきなり変なこと打ち明けちゃってごめんね?」 ついさっき真練から打ち明けられた『僕の欠点』は『頼まれると断れない』というものだった。それが真練の手にしたラブレターとどう繋がるのかはなんとなく察しがついたし、友人がその心の優しさ故に誰かにつけこまれかねない欠点を持っていることが悲しかった。そして、それを本人が自覚していることも。 4085 85_yako_pTRAININGここに短歌や川柳を入れていく。 2 85_yako_pDONEカイレ(タケ漣)指が吹っ飛んでるがラブコメ。100本チャレンジその36 (2022-12-26)ないと困るだろ「レッカさん、とうとう体に機械いれるんですってね」 「……は?」 聞いてない。そう言えば組んだこともない後輩が意外そうに声をあげた。その声を聞いて、別にレッカが俺に了解を取る必要はないのだと想い至るがわざわざ言い出すことでもないだろう。 「……レッカはどこも機械化しない……だろ。アイツのこだわりっつーか、そもそもやる必要がない」 感覚がない機械の足で蹴り倒せば確かに威力はあがるだろうが、精度は落ちるだろうし扱いに慣れるまで時間がかかる。たかだか数週間でも戦線から離れるのを嫌がるイカレ野郎がそんなまどろっこしい真似をするとは思えない。 「それにレッカが最近した大きな怪我って指だろ? アイツは銃を使わないから機械化してまで保つ意味もないっていうか……」 1403 85_yako_pDONEモブ→漣。漣を誘拐するも、格の違いを思い知って震えるモブの話です。(2022-12-19)不在を得てしまった。 罪を犯した。正確には罪を犯そうとして、俺は公園まで車を走らせている。公園についたらそこには誰もいなくって、俺は感情も犯罪に使う道具も持て余してひとり自宅に帰ることになればいいって思ってる。それでも、あの公園に彼がいるかもしれないと思うと、病気みたいに心臓が追い立てられた。 牙崎漣のことは知っている。会社に二人ファンがいて、テレビで何回も見たことがあって、そういう些細な知識がある。 一度、街角にある大きなモニターに映った牙崎を見たことがある。色素の薄い皮膚の上に品のない口紅を滑らせて、気だるげな視線でこちらを見ていた。憂鬱そうなはちみつ色の目が金曜日にやたらよく映えて、それは人ではなく『生き物』に見えた。人を傷つけるのも、狂わせるのも、こういう生き物だと直感的に理解した。 3948 85_yako_pDONE想雨。「ハート」「ココア」「ダンボール」のお題をもらって書きました。(2022-12-18)心臓が止まるとき ハートと言えば聞こえはいいが、ようは心臓。臓器のひとつだ。 心臓ひとつにつき生き物は一人、あるいは一匹で、人の心臓が九つ必要なら人間が九人いるのが当然で、ましてや心臓がほしいと言われれば、それは九人の死を意味する。心臓がなくなったら、死ぬしかないんだから。 ハートを奪うって酷いことだ。だって、恋を知る前のその人は死んじゃうんだから。恋をするなら自分の意思がいい。自殺なんて言葉を使う人はいないけれど、心臓を捧げて、それまでの自分を殺しちゃうなら自分の手でトドメを刺したいっていうのが僕の考えだ。それなのに、僕はあの人のハートが欲しい。僕の心臓をあげたっていいくらい、あの人の心臓はどうしても欲しかった。 2173 85_yako_pDONE鋭百ワンスアウイーク第16回「我慢」いちゃいちゃしとる。(22/12/18)我慢ができない。 マユミくんとの付き合いも長くなって、なんとなく彼のことがわかってきた気がする。マユミくんの言いたいことがわかるわけじゃないけれど、ああ、いまマユミくんは言ってないことがあるなって思うことが増えた。 そういう気持ちは恋愛的な付き合いが始まってさらに強くなっていった。言いたいことがありそうなときは聞くようにしているけれど、ちょっと聞きにくいときもある。たとえば恋人同士でしか言えないようなこと、とか。少なくとも僕は恋人がそういう気分であることを察しても「えっちしたい?」とか聞けない。聞いちゃうときもあるけど、基本的には聞けないに決まってるじゃん。 マユミくんは別にいじわるで言わないわけじゃない。むしろ遠慮とか、我慢とか、そういう僕を気遣う感情がマユミくんの口を塞いでいるんだろう。それでも寂しいときはあるし、僕から言い出すのは恥ずかしいときもある。こういうのはバランスが大事だと思うんだけど、マユミくんはそういうのが上手じゃない。 2814 85_yako_pDONEルミネセンスのウォリアサ(鋭百)です。シューターが年下の上官。名前はアイドルと同じ。暴力と血の描写があります。(22/11/17)恋愛フラグ・戦場にて「モモヒトさんは友達いませんよね?」 「はぁ?」 シュウの言葉にモモヒトは不機嫌とも無気力とも取れる声を返す。モモヒトに友人がいないことは本人も他人も知っていることだからそれ自体に怒りはないのだが、断定的な物言いが彼の機嫌を少しだけ悪くした。 「だからなに? キミが友達にでもなってくれるの?」 友人など不要なくせにモモヒトはつまらなそうに笑って吐き捨てた。その言葉のひとつも意に介さずにシュウは続ける。 「モモヒトさんに友達がいないと都合がいいんですよ。……そしてアンタは天涯孤独。そんで恋人もいない。ここまで間違いはないですね?」 「……その通りだし隠すことでもないけどさ。キミに都合がいいのは面白くない」 5060 85_yako_pDONE秀鋭。解釈よりもかなり性癖を優先したぐるぐるする秀くんです。(2022-11-14)ウイーク・エンド・ロードショー 脆いものを美しいと思うことはないけれど、きれいなものに不格好についた傷には少しだけ惹かれる悪癖がある。完璧にまんまるくてピカピカのビー玉に入ったヒビが反射する光のような、そういう不規則なきらめきが好きだった。 だからというわけじゃないけど、やましいところなんて一つもないとでも言うような鋭心先輩を見ているとドキドキしまうし、正しく整った人に寝癖なんかがついていた日には心臓が跳ねた。こんなものは傷でもなんでもないけれど、この人だって綻んでしまうんだって意識してしまってどうしようもない。きっとこの人が損なわれたら悲しい。どっかの誰かにしてみれば、鋭心先輩の綻びは裏切りにすらなってしまうんだろう。 鋭心先輩が好きなのに、きっと彼の傷は愛おしい。苦しくなるに決まっているのに、どうしようもなく惹かれてしまう。ああ、よくないなって、そう思う。きっと浅瀬で遊ぶように関わっていなければならなかったのに、その水底を望まずにはいられない。 5604 85_yako_pDONE鋭百ワンスアウイーク第12回「寂しい」(22/11/13)星屑の灯る部屋で「寂しい」 そう言った百々人の表情はうっすらとした逆光で少しだけ不鮮明だった。暮れかけた陽の茜を背に、うっすらとした色の髪がきらきらと輝いている。 「寂しいの」 百々人は困ったようにへらりと笑ったあと、小さな声で「ごめんね」と言った。そうして駅までの道をまた歩き出そうと、俺に背を向ける。 言葉こそ同じではないが、百々人の言葉は先程まで見ていた映画のセリフと同じ温度をしていた。それは恋人の時間が終わろうとしている今この瞬間のためにあるような言葉で、別れの時間にぽつりと落ちる。 俺の家から駅までの帰り道だ。閑静な住宅街には夕刻だというのに誰もいない。猫も、カラスも、神様が脚本通りに消したみたいだ。 百々人の「寂しい」という言葉を引き出したのは俺だ。道すがらふと物憂げな表情を見せた百々人になにか心配事があるのかと伝えたら、百々人は一瞬だけためらうように息を吸って、「寂しい」という言葉を吐き出したんだ。 3557 85_yako_pDONEタケ漣を目撃するクラファちゃんです。ファンタジー痛くない欠損があります。当時は判明してなかったので一部呼称が違う。(2022-10-23)猫の手も借りたい 牙崎を探していた。レッスンの時間になっても現れなかった牙崎を大河と円城寺さんが探していたので、俺が探すからレッスンに行くようにと言ったからだ。そのときにLINKで秀と百々人に協力を仰いだのだが、先程慌てた様子の百々人からすぐに事務所に戻ってプロデューサーを捕まえておいてくれと頼まれたので事務所に戻り、今に至る。プロデューサーは急を要する仕事が一段落ついたらしく、俺たちが牙崎を探していると知って礼を言ってきた。 現状を伝えねばと思ったが、俺自身も何が何だかわかっていない。することもないので牙崎がいなくなるのは初めてなのかと質問をしていたら、突然事務所の扉が大袈裟に開いた。 「ぴぃちゃん大変! 牙崎くんが……っ!」 6553 85_yako_pDONE鋭百ワンスアウィーク第10回『いたずら』いちゃつく鋭百です。(22/10/30)あめだませんそう「マユミくん、なんで僕には飴くれないの?」 駄々をこねるような、あるいは非難するような百々人の声が事務所にぽつりと落ちる。しかし当の鋭心は当たり前の顔をして秀に飴を渡していた。それを見て百々人はますます口を尖らせる。 「なんでアマミネくんには飴を渡すの。僕のが先に頂戴って言ったのに」 「百々人が言ったのはトリック・オア・トリート、だろう。百々人にはイタズラをしていいと伝えたはずだが……」 「だから、なんで僕だけトリートなのって聞いてるの。アマミネくんは飴もらってるじゃん」 その言葉に百々人が鋭心ではなく秀を見る。秀は首をぶんぶんと振り、「知りませんよ」と逃れるような声を出した。 「……マユミくん、まだ飴あるよね?」 3059 85_yako_pDONE鋭百。あやとりをする二人(22/10/13)勘違い、もつれて絡まって「マユミくんって、頼んだら抱いてくれそう」 ぴた、と止まった思考を目の前に座った百々人に向ければ、百々人はあやとりのために輪にした毛糸を指先で弄んでいた。事務所の壁と同じ色をした毛糸は秀が持ってきたもので、もふもふえんの子供たちとあやとりで遊ぶためのものだ。先ほどは百々人がもふもふえんと一緒に秀にあやとりを教わっているのをぼんやりと見つめながら、もしも彼らがこちらに来たときに、そして百々人が何かを喋り出したときに、あやとりを知らなかった十七の子供にかける言葉を考えていた。 あやとりで盛り上がる談笑の中に、俺は意図的に入ろうとしなかった。理由もあやふやなくせに百々人のことがどうしても気になってしまっていたし、俺はきっと小さい頃にあやとりで遊んでくれた祖母のことを思いだしてしまう。それではうまく、きっと、『眉見鋭心』をこなせない。それはおそらく最適な対応ではないだろう。 4004 85_yako_pDONE街角探偵の幻覚です。妄言です……(2022-10-08)街角探偵の幻覚 収束した事件の現場。もう自分の役目はないだろうと手持ち無沙汰にしていた男に声がかかる。 「イチくん」 灰咲の言葉に振り向いた緋色の顔はこれ以上ないほどに歪んでいた。嫌悪というよりは怒りが強い瞳を見ても怯むことなく、灰咲は感心したように呟く。 「ほんとにこっち見た」 「なんでテメェがその呼び方で俺を呼ぶんだよ……おい、そう呼んでいいのはセンセーだけだ」 上背のある緋色が凄むと迫力があるのだが、仕事柄強面の人間は嫌というほど見ているのだろう。灰咲は「知ってるよ」と事も無げに呟いて、くるりと後ろを向いた。話を終えたのだろう。涼月を連れて渦中の人が戻ってきた。 「おい……ん? なんだこの空気は。灰咲、お前うちのにまたなにかしただろ」 2738 85_yako_pDONE秀百。断片的なので、もしかしたら完全版書くかも。(2022/09/29)花園百々人は忙しい やけにドラマチックだと思った。絵画のようにわざとらしい夕日は線路を茜色に染めながら、俺と百々人先輩がはぐれるまでのタイムリミットを刻んでいる。 夕日、踏切、思春期。おおよそ青春に必要なものはこの程度だろう。そのすべてがここにあって、俺か百々人先輩が口を開くだけでそれは始まる。それなのに百々人先輩は横に立って一言も発さないまま電車が通り過ぎるのを待っている。カラフルなパーカーが、燃えるような朱に照らされていた。 ありきたりな放課後だった。ただ何気なく、悪意なく、それでも明確な意思を持って俺は百々人先輩だけを誘ってクレープ屋に行って、一緒にいる理由が目減りすることに耐えきれずにカラオケボックスに先輩を引っ張っていった。きっかり六時まで俺たちはそこにいた。 4400 85_yako_pDONE街角探偵の幻覚です。間違いは見逃してください……!(2022/09/26)1袋5食入り428円「……これで解決だな。よし、飯でも行くか」 「はい! センセー!」 「なににすっかな……デカいヤマだったしな。肉でいいか」 「センセーと食えるならなんでもいいっす!」 解決。そう呟いて新米の刑事はため息をついた。目の前で和気あいあいと、少し早めの晩飯について話す探偵たちにとって事件は解決なのだろうか、警察である自分たちは今からやることが山積みだ。 「なに、お肉食べるの?」 「そっちは今から飯食う暇もなさそうだな。ご愁傷さま」 「いいなー。僕もそっち行きたい」 「駄目ですよ先輩。……っていうか、こんな猟奇殺人を検挙した直後によくお肉が食べられますね……」 「僕は平気」 「俺も」 「俺もだな」 「あー!」 三対一で少数派となった新米刑事が声をあげた。彼だって探偵たちが行きつけにしている焼肉屋なら知っていたし行ったこともある。彼は店を思い浮かべて、壁に貼られたメニューを思い出して──思わず大きく息を吐く。 3505 85_yako_pDONE秀鋭。ファンタジー(得意技)です。(2022-09-13)夜空に浮かぶ 手違いで星を飲んだ。 そう鋭心先輩が言った。彼が酒を飲めるようになってから二年が経った秋の日のことだった。俺たちが同棲を初めて、一年目の秋だった。 話を聞けば、ふらりを立ち寄った喫茶店で飲んだホットサングリアに間違って入っていたらしい。俺は何かひとつ文句を言ってやろうと憤ったが、調べてもそんな店は影も形もなかった。 けほ、と鋭心先輩が咳き込むと星の光がちかちかと光る。咳き込まなければ問題はないけれど、鋭心先輩は日常的にマスクをするようになった。恋人にキスをしなくなった。つまり俺と鋭心先輩はキスができなくなった。 鋭心先輩は俺に星の光が移ることを心配している。星の光なんて別に病気じゃないし、俺は俺の咳がきらきらと光っても問題ない。っていうか、鋭心先輩とキスができないほうが問題だ。 3910 85_yako_pDONE想雨と花言葉。※諸説あり (22/9/8)まだ花束は作れない 事務所までの道に、生き急ぐように咲いた紫陽花を見た。仲間はまだ雨を待っているというのに、たったひとりで咲いていた。 花に疎いわけではないが、特段詳しいわけでもない。健忘症のように咲いた紫陽花の理由もわからぬまま、事務所の扉を開けて挨拶を投げかける。プロデューサーは外出だとホワイトボードにあったはずだが、この時間なら北村がいるはずだ。 「あ、雨彦さん。おはようございますー」 「よう北村。なんだ、具合でも悪いのか?」 北村はテーブルに突っ伏して手元を見ていた。視線の先を眺めてみれば、お世辞にも華やかとは言えない一輪の花がある。 「それは……貧乏草か」 「そうだよー。摘んだら貧乏になっちゃうっていうやつー」 2244 85_yako_pDONEクラファ。すれ違いギャグ。(22/9/7)月より団子 もうすぐ月見の季節だと、秀が嬉しそうに言っていた。たしかに紅葉には遠いが夜には暑さも和らぐ頃合いだ。月も見頃になるだろう。 意外と言っては失礼だが、秀くらいの年頃で月見を楽しみにしているのは珍しいほうではないだろうか。感心しつつ話を聞いていたら、どうやら百々人も月見を楽しみにしているようだ。最近の秀と百々人はしきりに「そろそろ月見の時期だ」と楽しそうに笑い、嬉しそうに声を弾ませている。 秀に聞けば月見は毎年の楽しみだと言うから驚いた。それと同時に、美しいものを愛でる感性と余裕は見習うべきだと身を引き締める。美しさと歴史には礼儀を払いたい。 俺も参加してよいだろうか。そう問いかける前に秀がこちらを見て、パッと顔をほころばせて言った。 2096 85_yako_pDONE秀百。いじわるしあう二人。甘い。100本チャレンジその35(22/9/7)はちみつどろぼう「甘い……」 そのリップクリームを唇に塗った瞬間、はちみつの甘い香りがした。きれいで、純粋で、粘度のある、何かを絡め取るような香りだった。 ぺろ、と舌を這わせれば味も甘い。制汗剤のCMに出たときに新発売だからともらったリップクリームは僕の趣味ではないけれど、かといって使わないほど嫌いなわけじゃない。買わない、けど、あったら使う。そういう存在がこのリップクリームだった。 使ったのはたまたまカバンにこれが入っていて、ちょっと唇が乾燥していたからだ。アイドルとしての僕は立派な商品なわけだから、ちゃんときれいに保たないと。 そんなことを考えていたら事務所についた。ぴぃちゃん、休憩中かなぁ。そうだったらいいなと思いながら扉を開く。おはようございます。僕の挨拶に帰ってきた声はひとつだけだった。 1435 85_yako_pDONE四季→漣を見てもやるタケル(恋愛感情なし)100本チャレンジその34(22/9/6)水玉病 コイツが水玉病にかかってしまった。こんこんと、しんしんと、眠り続けて目覚めない。左の指先から肩にかけてまで、皮膚を真っ赤な水玉模様が這いずっている。 水玉病は奇病だ。色素の薄い人間がかかりやすいとは言うが、それでもかかった人間はコイツを含めて世界中で百人もいない。 水玉の広がり方でわかるのだが、コイツの病状はかなりひどい。水玉病はその人を想う人間の涙に触れないと目覚めない。水玉が肩まで広がっているということは、コイツを一番に想っている人間じゃないと、この眠りは覚ませないだろう。 コイツの眉間にしわが寄っている。水玉病は悪夢をつれてくる。「かわいそうに」と泣いた円城寺さんの涙も、「あんまりだ」と嘆くプロデュースの涙も、コイツを目覚めさせることはない。みんな、薄々察していた。この二人には大切な人が多すぎるんだ。 1300 85_yako_pDONEタケ漣。漣の女装。性癖のアクセルを強めに踏んでます。(22/8/29)枯れ枝の人形遊び。 『杏奈』という名前の女の子がいる。いや、『いた』って言った方が正しい。これは死んだ女の子の名前だ。 その名前を借りる──押し付けられたのはアイツだった。気の狂った老婆の、たったひとつの安寧のためにアイツはいまその身を投げ出している。 きっかけは事務所にやってきたひとりの男だった。男は事務所にまで押しかけたことを謝り、泣きそうな声でプロデューサーに縋り付いた。 「牙崎漣さんにお願いがあります」 ちょうど事務所には漫画みたいなタイミングで俺と円城寺さんとアイツが居て、アイツは呑気に眠っていた。プロデューサーが警戒している様子を見た男は名刺を取り出して身分を明かす。俺はこういうのよくわからないけれど、なんとなく悪い人ではないように見える。 5892 85_yako_pDONE鋭百ワンスアウィーク第二回「Tシャツ」(22/8/28)入道雲とコバルトブルー 背後に迫った入道雲は、すぐに僕らに追いついて激しい雨を降らせた。 デートが台無しだ。そう言ってマユミくんは笑う。僕は中途半端に笑う。通り雨は一時間もしないうちに止むだろうけど、僕らはどこにも入れないほどずぶ濡れだった。雨が止むまでは逃げ込んだ軒先で雨宿りする必要があるだろう。 予約をしていた店にマユミくんがキャンセルの電話をしている、その声をぼんやりと聞いていた。夏限定のパフェをマユミくんは楽しみにしていたみたいだけど、ずぶ濡れでお店に入るのは気が引けるんだろう。別に濡れてたってパフェの味は変わらないけれど、僕は人に迷惑をかけるのが怖いし、マユミくんは『眉見鋭心』に相応しい行いしかできない。 電話を終えたマユミくんが、品のいいハンカチで僕の頬を拭く。これは絶対に雨水を拭いていいハンカチじゃない。僕なんかに施していいものじゃない。 4655 85_yako_pDONE誰かに恋する牙崎と、それを見守るタケルです。100本チャレンジその33(22/8/23)恋バナしようぜ アイツが花吐き病になった。最近流行の病気らしい。恋をすると花を吐くっていうアレだ。 俺は心底驚いた。アイツが恋とか、あり得ない。事務所全体の困惑をよそに、世間はどうでもいい『あり得ない』で盛り上がっていた。 なんでもアイツの吐く花は、地球上どこでも確認されていない未知の花らしい。円城寺さんも、プロデューサーも、みのりさんすら知らない花だ。 数回見たことがあるけれど、とてもきれいな花だった。宝石みたいにきらきらしてて、光の加減で色が変わって、夢みたいないい匂いがする、不思議な花。 最初はその見た目の美しさから少し話題になっただけだった。ところが興味を持った研究者が面白半分に調べたところ、これがとんでもない花だった。 923 85_yako_pDONE秀鋭R18。よいこのけもの【https://poipiku.com/722200/7302933.html】の続き。18才以上の人だけ見てください。(22/8/13) 3833 85_yako_pDONE秀鋭R18。待ての出来る後輩です。いつもの受け優位ですが多少反撃します。18才以上の人だけ見てね。続き【https://poipiku.com/722200/7305865.html】(22/8/13) 3677 85_yako_pDONEタケ漣。100本チャレンジその32(22/8/4)なかなかおちない四季さんが卒業と同時に一人暮らしをするらしい。卒業ってのはいい区切りだと思う。なにかと、新しいことを始めるのに向いている。 でも俺は学校に行ってなかったから卒業とは無縁だった。成人式は今年だけれど、酒が飲めるのか、くらいにしか思わない。酒が飲めるのは嬉しいんだけど、本当にそれだけだ。 一足先に成人したくせに、何にも変わらないコイツを見てるからだろうか。俺が成人したって、きっと何も変わらないって思ってる。コイツは成人してもふらふらしてるし、俺の家にくるくせに居着いたりはしない。なんというか、決定打があれば、二人で住むのに不自由しない広さの家に引っ越したっていいんだけど。 きっかけって大切だ。シーツをゴミ箱に突っ込みながら思う。だらだらと、端が破れても使ってたシーツは今日ようやくゴミとして俺の手を離れる。どんなにどろどろに汚れても洗っては使ってたくせに、ルージュの色がひとつ付いただけで俺はこれを捨てる気になった。 839 85_yako_pDONEウォリアサ(鋭百)100本チャレンジその31(22/8/4)シナモン・アップル・生クリーム 殺人。と一言。疑問を挟む間もなく、モモヒトは「殺人鬼とデートしたいの?」と聞いてきた。 そうだ、とも言えず、ただモモヒトと出かけたいことだけを告げる。モモヒトは考える素振りも見せず、いいよ、と笑いもせずに言う。 そのかわり、と提示された条件は三回の模擬戦を行うことだった。なんでデートに誘いたいほど好意を持った相手を戦闘不能に追い込まなければならないのかと頭痛がする。 殺人鬼、というのはもっともで、モモヒトは人殺しだ。しかしそれを言うのであれば俺だって人を殺したことがある。望む望まないに関わらず、ここはそういった人間で溢れている。 モモヒトは戦いを楽しむ節はあるが相手の生き死にに興味はないので、殺人に執着しているわけではない。それなのに組織の中の評価は悪く、モモヒトは悪辣と人を嬲る快楽殺人者だと思われることが少なくない。 1285 85_yako_pDONE秀百未満。絵を描いてもらって文章を書くやつです。最高ピクチャ→https://twitter.com/kurata_bngL/status/1554764985573986304?t=MTvAcO-_SJOxGn-7GeT3qg&s=19(22/8/3)シー・スルー・ユー 缶からドロップがカラコロって手のひらに転がってくる。見慣れた色は見つめるだけで味が想像できた。でも俺はこの栗の渋皮みたいな色をした飴の味を知らない。 手のひらには三つの、沈んだ色の飴。チョコ味って聞いてるけど俺は食べたことがない──正確には、忘れている。昔は食べたことがあったはずなのに、もうこれは俺の物じゃないって考えているから忘れてしまった。だって、これは親友のためのものだから。 缶に飴を戻す。もう一度、缶をよく振ったあとに傾ける。出てくるのは深い茶色をした飴だけだ。きっともう、これだけしか残っていないんだ。 俺はそれを缶に戻して蓋を閉めた。どうしても思い出を口に含む気にならなかった。これはどうしたって、親友の笑顔と紐付いていた記憶だった。 4550 85_yako_pDONE眉見鋭心が誰かの人生をトレースしているという妄言の元に書きました。(22/8/3)もしもの話。眉見鋭心が他人の人生を生きてるという妄言前提 ぴぃちゃんが持ってきた雑誌には僕が載っていた。僕が出演した舞台の特集記事が乗っている雑誌だ。僕が演じたのは主役じゃないけど結構見せ場のある役で──それでも分不相応なほどに長い文章で取り上げられているのは少し緊張する。なんとなしに雑誌を読んでいたら『鬼気迫る演技』だなんて紹介されていて、花園百々人の面影もなかったと評されていた。 「舞台って、こわいね」 一言、口にしたらようやく落ち着いた。それを聞いていたのはマユミくんだけだった。アマミネくんとぴぃちゃんはお仕事に行っていなかったけど、マユミくんは僕の隣に座って一緒に雑誌を読んでいた。マユミくんはこうやって、理由もなく僕のそばにいることがある。 2241 85_yako_pDONE手癖の秀百(22/8/1)キミの好きな人 鋭心先輩とプロデューサーにコーヒーを手渡してきた百々人先輩が戻ってきた。二人は仕事の打ち合わせをしていたけれど、無関係ってわけじゃないから話に入ってきてもよかっただろうに。百々人先輩は俺にもコーヒーを差し出して、魔法のように呟いた。 「アマミネくんは、ミルクとお砂糖をひとつずつ」 はい、と穏やかな声が伝ったみたいに真っ黒な水面が波打った。俺はソーサーに乗せられたコーヒーフレッシュの先端をパキリと割りながら言葉を返す。 「百々人先輩はミルクがひとつだけ。でも、」 「疲れてるときはお砂糖みっつ。アマミネくんも、レッスン後はお砂糖をみっついれる」 おそろい。そうにこにこと笑う百々人先輩から一度目をそらして、スティックシュガーを真ん中から割った。これはプロデューサーのクセだけれど、確かに片手で出来るのはいいかもしれない。失敗することもあるから外ではやらないけれど、事務所では時々こうやって試している。 1958 85_yako_pDONE絵に文章つけさせてもらったやつです!最高ピクチャ【https://twitter.com/nappapa_sram315/status/1544364544147210240?t=ZFtzeuA0_oYNfF-WuKFc4Q&s=19】戦うウォリアサ(鋭百)です。ケガします。捏造です。(22/7/6) 4439 85_yako_pDONEFes鋭百(ウォリアサ)ぜーんぶ幻覚!手癖!両思い!呼称も捏造してます(22/7/5)転職活動「僕ね、転職活動しようかと思ってさぁ」 「はぁ……」 モモヒトさんが俺に口を開くのは珍しいことで、大抵そういうときはロクなことがない。独り言として聞き流してもよかったが、経験則からして無視するほうが面倒そうだ。 俺たちは報告に向かったエイシンさんを待っているところで、モモヒトさんは飲んでいたバイタルドリンクの瓶をその辺りに投げ捨てて言葉を紡ぐ。コロコロと転がっていく瓶を拾う人間はここにいなかったが、俺はモモヒトさんの言葉を拾うのに手一杯だから見逃してほしい。 「僕はマユミくんと一度、本気で戦ってみたいんだよね」 「はぁ」 知っている。と言うか、この組織に属している以上、知らない人間のほうが少ないはずだ。ここまでは知っている話だったが、流石に続きは知りもせず、見当もつかないことだった。 3056 85_yako_pDONEFesの鋭百(ウォーリア×アサシン)です。全部幻覚!(22/7/1)ビショップは奪われてしまった 一息に飲み干した液体が喉を焼く。吐いた息からアルコールが香って酩酊を加速させていく。酒には疎いから味などわからない。ただ、ダイスで選ばれたのがこの無味無臭の毒だっただけだ。 6が出たらアルコールそのものみたいな酒、2が出たら赤ワイン。残りがなんだったかは覚えていないが、5が出たことだけは覚えている。だからウォッカ、のはずだ。ウォッカが、脳をぐちゃぐちゃにかき回している。 「マユミくんと戦いたい」 それはモモヒトの口癖だった。ことあるごとに、それこそ挨拶のようにモモヒトはその言葉を口にする。俺の返事は大抵NOだが、それではフラストレーションも溜まるだろう。だから定期的に模擬戦で相手をしているのだが、最近はその頻度がやたらと増えてきて困っているのだ。 4249 85_yako_pDONE百々人と天道とP。冷蔵庫のものを勝手に食べる牙崎に手を焼く三人です。(22/6/28)ももは魔除けになるらしい「百々人、名前借りていいか?」 右手にサインペンを、左手にコーヒーゼリーを持った天道さんが僕に問いかけてきた。僕が疑問を返す前に天道さんはおまじない、と口にして「百々人の名前を書くと漣に食べられないんだ」と笑う。 そこでようやく合点がいく。事務所の冷蔵庫に何かを入れるときには名前を書くルールがあるから、牙崎くんが食べないように僕の名前を借りたいということだろう。そう、牙崎くんは冷蔵庫にあるものを勝手に食べる。 「いいですけど……僕、一度食べられたことありますよ?」 僕も一度やられた。正直かなり怒ってるし根に持ってる。そんなこと、言い出せなかったけど。 「そうなのか。でもその一回だけだろ? 享介と四季が実験してたみたいけど、百々人の名前を書いとくと漣は手を出さないんだと」 2544 12345